46ページ目 中間報告 リーズ視点
「おはよ~」
まだ少し眠そうな声を出しながらリーズお嬢様が起きてこられました。
いくら同性しかいないからといってもその恰好はいかがなものですか?
「今日は皆早いのね・・・」
そうです、いつもならもっと遅くに起床されるのですが、今日は皆様とても早く起床され、朝食を摂られています。
「何言っとるん、リーズ。今日、”登校日”やで?」
「ふぇ?」
「ほれ」
そう言って指さされたカレンダーには赤色で丸をして登校日と書かれています。
「今からご飯食べていたんじゃ間に合わないじゃない!クロどうして起こしてくれなかったの!!!」
「朝ごはんが出来た時に1度起こしました」
「私、着替えてくる!」
慌てて部屋へ戻っていくリーズお嬢様を見て、
「すっかりオカンやな・・・」
そんなメイサお嬢様のつぶやきに皆様揃って頷かれますが、私からすると皆様も子供の様な感じですよ。
おかしいですね、結婚もしていなければ彼女もいたことが無いのに年頃の娘さんたちと大精霊様たちのお世話ですよ?
ラッキースケベ?
そんなもの起こっても喜ぶ前に次の問題が起こって流れます。
特に大精霊様の問題は下手すると寮が消し飛びかねないので最優先で処理します。
まあ、でも、最近は慣れてきましたね、私も大精霊様たちも・・・。
最近は大精霊様たちも落ち着いてきて家事の手伝いもしてくださって助かっています。
と、洗い物を片付けていると騒がしくリーズお嬢様が下りてこられました。
「クロ、ご飯大丈夫?」
「もう、この時間からでは無理ですね」
「そんな~」
「カグヤお嬢様にも待っていたただいているのですから、教室でサンドイッチでも摘まんでください」
リーズ視点
しまったー、やらかしたー。
今日が登校日だってすっかり忘れてたわ。
おかげで教室で朝食じゃないって思っていたら今日は皆集まるのよね?
そんな中で一人食事なんて出来るわけないじゃない!!
今日は経過報告の登校日、要するに今の自分の成績が公開される日。
強制ではないのだけれど、重要な連絡や普段パーティーを組まない生徒同士の情報交換とかも行われている。
何気なく周りの話を聞いているだけでもなかなか重要な情報が入って来るのよね。
「よお、リーズ。おはよう」
「あ、サブリ。それに2人も。おはよう」
サブリたちとはホルゾンのダンジョン以降よく話すようになって、ダンジョンの情報とかをよく教えてもらっている。
サブリたちはガンガンダンジョンに潜っているようだけれど、私は剣の訓練でそれほど潜れていない。
クロも特に何も言ってこないし、大丈夫。なのよね?
「おーし、お前らー、黙って座れー」
先生がいつもの調子で気怠そうに号令する。
「ほーい、中等部になって出来ることが一気に増えてー、やりたいことが山積みだろうからー、先生の言う事を素直に聞くようにー。そうすれば私も楽が出来てwin winだぞー。」
あの先生、自分が楽したいだけなんじゃ・・・・
「今回、学校からの連絡事項は無し。いつもこの状態だと良いのにな。ではお待ちかねー、中間成績発表ー。」
え?他に何か無かったの?
まあ、あの先生は前からあんな感じだったし、自分の事は自分で調べなければいけない。
これも先生の教育方針かしら?
「全員に返す前に上から10人だけ紹介するぞー」
この発表で現在の自分の成績がわかる。
まだまだ下なのは分かってるけど、この瞬間はやっぱり緊張するわね・・・。
10位----
9位----
8位----
大体は決まった生徒の名前が挙げられていくらしい。
元々実力があってその成績なのだから追い抜こうとする者はかなり頑張らなければいけない。
7位リーズ・エライン
え?
私?私、7位にランクイン!?
待って、理解できない・・・・。
周りの皆も信じられないといった感じで私を見ている。
が、先生はそんなことはお構いなしに順位を読み上げていく。
3位----
2位サブリ・プリジェント
1位ミューズ・エライン
お姉様、サブリは安定のトップ2。
むしろそのことより教室内は私の7位ランクインで騒然としている。
その中でも次々と生徒を読んで中間報告を渡していく先生、ブレない。
「さて、今回はこんなものだ、何か聞きたいことがある奴はいるかー?」
その言葉に私も含めた全員が挙手!
一糸乱れぬ統制された動きを見せる。
先生はダルそうに頭を掻きながら
「あ~、分かった分かった。リーズ・エラインの件だな?」
質問する理由など他に無いのだから当然だろう。
「結論から言うと、評価ポイントが他のヤツを上回ったから。これに尽きる。
が、それではお前たちは納得しないだろうから簡単な説明をしよう。私も詳しい事は分からないけどな!」
何で先生も分からないのよ・・・。
「まず、全員参加型の探索クエスト。3日目のポイントがかなり高かった。単品のポイントでは過去最高得点が出てるな・・・。」
「先生!それはどうやって取得するポイントなんですか?」
「知らん。学園長に直訴して聞いてこい」
質問する生徒をバッサリ切り捨てる先生・・・。
私3日目にポイントゲットなんてしたかしら?
「んで、次はホルゾンのダンジョンの未到達領域の発見と突破、そこに住む魔人の情報提供等々」
「でも、リーズ・エラインが活躍したとは思えません!」
「冒険者ギルドや一緒にダンジョンに潜ったパーティーメンバーから調書を取りしっかりと精査した結果だ。文句は精査した教師と学園長に言え」
「で、最近の調味料事件だな・・・」
「でもアレは使い魔が持っていたって聞きました。」
「お前らも、クエストに行って使い魔が倒した魔物の素材やポイントは主人のお前らがもらうだろ?ソレと変わらん。
それに使い魔が持っていようが家族が持っていようが解決したのはリーズ・エライン達のパーティーだ。メンバー全員に同数のポイントが振られている。文句があるなら(ry・・・・
後はアイテム販売で細々と・・・・だな」
と、こんな感じで説明を放棄した説明が行われた。
「じゃあ!使い魔の分のポイントを計算しないとどうなんですか!使い魔が優秀なだけじゃないんですか!!!」
やたら食ってかかる生徒だと思って見ると、始業式の日に私に何か言ってきた男子生徒だった。
名前はえーと・・・・知らないわ。
男子生徒の訴えに周りは最もだと頷きながら私を見る。
前評判が【最低の私】に負けたのだから自分たちはそれ以下という事になってしまう。
それを認めたくないのだろう。
私だって困る。
私はただ皆について行っただけなのに、こんなことになって困惑している。
「使い魔の分を除いたポイント?・・・・クフ、クハハハハハハハハ」
男子生徒の質問にピクリと反応した先生は急に笑い出した。
普段笑わない先生の笑い声はとても不気味だった。
「そのポイントが使い魔のポイントの追加前のポイントだよ。
使い魔の分も足してしまうと学園卒業分までポイントが貯まってしまうらしいぞ?
良かったなリーズ・エライン。卒業確定だ!ま、学園長がそんなものを通すかどうかは知らないけどな。
ちなみに報奨金、売り上げの方も凄いことになってるぞ?」
その言葉に教室中が驚いた。
私も驚いてクロを見た。
一瞬で注目の的になったクロは
「どうされました?」
と、魔法の入門書を読んでいたらしく話を全く聞いていなかった。
「なぁ、エラインー。使い魔に何をさせたらそんなにポイントと”金”が貯まるんだー?
薄給の先生にも教えてくれよーぅ?」
私はそう言われて始業式の日からクロが何をしたか思い出してみた。
森の探索:大精霊のウンディーネ様と仲良くなった。国王様を思い切りしばいて捕縛した。
お城:国王様に料理を出して気に入られた(現在何かあれば料理人として呼ばれてる)。
神殿:複数の大精霊様と仲良くなり、神殿の神官長様・国王様を寮でおもてなしした。
ホルゾンのダンジョン:未開拓領域の発見、突破方法の立案、途中の罠の無効化、ダンジョンボス討伐の補助(実際クロ一人で倒した)、魔人の足止め、街の宿でご飯作った。
ポーション:ポーションとポーションのレシピを王様に売った(ポーション販売現在進行中、神殿にも最近納品中)。
調味料事件:調味料の製作者だった。
簡単に思いつくのはこんな所かしら・・・・。
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
うん。
どれか一つで中等部は卒業できそうね。
どう説明しろっていうのよ!
誰も信じないわよ!こんなの!!!!
「やっぱりダンジョンでの活躍と調味料の事が大きいんじゃないのか?」
サブリがそう言って助け舟を出してくれた。
その2件以外は非公式だから周りには知られていないのよね。
「1人で魔人の足止めなんて上級の騎士や冒険者だって難しいし、やりたがらない。
それを十分に時間を稼いで脱出したんだからかなりポイントをもらってもいいはずだろ!?
それに調味料だってもっと値段を釣り上げて儲けられたのにかなりの量をアイテムギルドに卸したって聞いたぞ?」
うん。サブリの説明はあってる、その通りよ。
でも、クロがそれに対してどれだけ苦労しているかっていうのが問題だと思うの。
魔人:元々私たちは逃がす予定だった。クロのみターゲットにされたのでどんな戦闘があったかは分からないけれど、合流したときは息も上がらず、服も汚れ一つ無かった。
調味料:クロに詳しく聞くと学園長先生から儲け話が無いかと聞かれた(おこづかいが欲しいとしつこく言い寄られた)ので仕方なく調味料の販売を提案。一定量を学園長に渡したが学園長先生が値段を釣り上げまくったので結局クロがある程度の量をアイテムギルドへ卸した。(もちろん学園長先生は国王様、副学長、クロがこってり絞った。)
うん。
十分苦労してるわね。
学園長先生の件で・・・・。
「ま、そういう事だと納得しろ、おまえら。何なら同じことをしてみればいい」
先生のそんな言葉に誰も何も言わなくなった。
1人で魔人の足止めとか無理!
「まあ、まだ中間での成績だ。まだまだ巻き返しは出来るから頑張れよー。はーい、ホームルーム終ー了ー」
そう言って先生は教室を出て行ってしまった。
瞬間クロは女生徒たちに囲まれる。
私は輪からはじき出されてしまった。
「大丈夫?」
「カグヤ、ありがとう。大丈夫よ」
「しかしクロはすごい人気だな」
「普通出来ない事ばっかりだからね!話を聞いておこぼれに与りたいんだよ!」
皆のその気持ちは分かる。
私も他人ならそう思うもの。
「ねえ・・・クロさんの成績って・・・・どうなってるんだろう・・・・」
キャンディスの問いに私たちはふと考えたけれど、
「考えるだけ無駄なんじゃない?」
とカグヤの言葉に皆直ぐに納得してしまった。
あ、ミューズお姉様・・・・お姉様もクロの所寄ってる・・・・・。
「お前らうるせぇぞ!」
怒声がした方を見ればまたさっきの男子生徒だった。
「そんなもんインチキしたに決まってるだろ!そうじゃなきゃ、卒業分までポイント貯められるわけねえよ!!」
そうね、インチキしてるわね。
平気で国王様とか強請ってたし、多分学園長もクロに頭が上がらないはず・・・
「じゃあ、どうやってインチキしたっていうのよ!?」
「そ、それは・・・くそ!」
やり方とすれば学園長を(ry
言い返せなくなった男子生徒は悪態をついて教室から出て行ったわ。
これで少しは静かになるかしら・・・。
通知表って見る時ドキドキしたよね?ね?




