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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
43/211

43ページ目 調味料探し

リーズ視点


姉様も一緒になって私たちは今、依頼人の元に向かっている。

「意外でした、姉様もこういったクエストを受けるのね」

「報酬次第よ、この依頼は魔物(デモン)を倒すよりずっと良いもの」

「ま、討伐とアイテム探し、どっちが楽かと言えばアイテム探しだな!」

そうよね。

身の危険も少ないし、魔物と戦うよりずっと楽よね。

「でも、このクエスト。アイテムの入手ランク、”S”なのよね」

姉様のその言葉に私は慌てて確認すると確かにアイテムの入手難易度が”S”になっていた。

難易度Sなんて国が発行するクエストでしか聞いたことのない難易度だわ。

一体どんなアイテムを探さなければならないのかしら・・・。


依頼人の領地長の所へ行くと他の学生たちもたくさんいた。

「これは、厳しいクエストになりそうだな」

「どうして?」

「少しは考えなさい、リーズ。この場に居る全員が同じアイテムを探すのよ。そして、報酬がもらえるのは1組だけ」

「え!それって物凄く競争率高くない!?」

「だからそう言ってるじゃないの・・・・」

どうしよう。私たちの前に何人も並んでいるし、もしかして私たちの順番になる前にクエスト達成の人来ないよね?

「大丈夫ですよ、リーズさん」

私が不安な顔をしていたのか、キャンディスが今回のあらましを説明してくれた。

「今回のアイテム収集?クエストはアイテムギルドから販売された新しい【調味料】という事です」

「調味料?」

「はい。量はそんなに販売されなかったらしいのですが、たまたま購入したのが有名な料理人たちだったのです。

その調味料を使うと今までの料理とは一線を画す料理になるらしくて、調味料を購入した料理人たちは血眼で探しているそうです。」

「で、その噂を聞いた他の料理人たちもこぞって探しているってわけ!」

「うちの料理長も?」

「ううん、料理長は初めに調味料を買った側みたい」

つまり、今回私たちはその新しい調味料を探すようね。

クロを連れてくればよかった。

周りの話に聞き耳を立てていると、もうすでにアイテムギルドへ問い合わせが殺到し、調味料も予約でいっぱいになりいつ買えるか分からない状態みたい。


「あら、ミューズ。あなたたちも受けてくれるの?」

「ええ、報酬が凄いしね。魔物を倒すよりも良いわ」

「相変わらず、合理的ね。もう、街中の噂になってるから私のクエストの条件だけ話すね?」

条件?調味料を持ってきて終わりではないのかしら?

「悪いんだけど、持ってきてもらった調味料は私が封を開けて確認させてもらうわね。

で、お願いした調味料だったら報酬を渡して、違った場合はそのまま返すわ」

つまり、間違った調味料だとそれに掛かった費用も何も返ってこない。

「ちゃんとした調味料はあるの?」

「ええ。あそこに。でも、舐めたりしないでね?もう、あれだけしかないから」

見ると、味見用の小皿に一たまりあるくらいしかなかった。

「スキルで鑑定とかしていってもいいよ。出来るなら複製でも全く同じなら報酬は払うわ」

「それって生産職が有利じゃない!」

「もともとソレが本職だからね。でもお手上げみたい。量が少なくてよく分からないんだって」

「つまり、皆、条件は同じってことね!」

「え?ええ、たぶん・・・」

後も詰まっているので、私たちもその調味料を確認して別の場所へ移動したわ。


「なあ、ミューズ。君は何か心当たりはあるか?」

あ、クエストの時はしっかりと切り替えられるのね、よかったわ。

「いいえ。今まで調味料なんて興味も無かったからさっぱりよ」

「私もー。料理なんて作らないしなー!」

「「右に同じく」」

「・・・・・」

普段から料理しない人ばかり集まっているんだから分かるはずないのよね・・・。

「ねー、リーズ。クロは今日は居ないの?アイツ、料理美味かったでしょ!」

「クロは今日明日はいないわ。ポーション作ってる」

「何でポーション?」

「人気があるのよ、クロのポーション。あ、姉様1本どうぞ」

「どうして急に渡してくるのよ?」

「クロが知り合いには試供品で渡しとけって」

全く、分からないわね。国王様が買って下さるんだから他に売る必要ないのに・・・・。

「それより、主を置いてアイテム製作に勤しむなんて!」

「姉様、良いの!今の私たちの一番の収入源だから(クロ談)」

何でか姉様はクロに厳しい感じがするのよね。

この前の森に行く前もそうだったけど・・・。

「後発組になってしまっているが、回れる所は全て回ろう」

------

----

---

「どうだった?」

「ダメね。他の依頼人の所も回ってみたけど、皆条件は同じ感じよ」

「自分で開封、確認か。まあ、報酬額が額だからなー・・・」

「今日は解散だ。明日また集まろう」

サブリがそうしめて私たちは解散した。

早く寮に帰ってクロにも聞いてみなくちゃ!


寮に帰ってもクロは居なかった。

メイサに聞くと夕方にお城へアイテムの納品へ行ったそうだ。

晩御飯はどうするのかと思ったけど、既に作ってあり、各自で温めて食べて欲しいとのことだった。

最近、私に対する扱いが雑になってる気がする。

晩御飯は美味しかった。

夕食後、皆が集まった時に今日のクエストの事を聞いてみると皆狙っているらしく情報も新しいものは無かった。


翌日


「おい!調味料が出品されるぞ!」

「え!嘘!?直ぐに買いましょう!」

「バカ、値段見てみろ!」

「ゲ!何よその値段!ほとんど儲からないじゃない!」

「ええ。しかもオークション形式だからこれからドンドン値段が上がるわよ」

「競りにならないように一気に落とそうとすると・・・・完全に赤字ですね・・・」

「こんな値段、払えないわよ」

ハァ、と皆一緒にため息をつく。

いくら有名人が欲しがっているからってこの値段はないわー。

こんな値段にしたらお金持ちだってほとんど買えないじゃない・・・。

「あれ?姉様。昨日他の同じ依頼を出してる人にも会いに行ったのよね?」

「ええ、それがどうかしたの?」

「その中にお城はあった?」

「あるわけないでしょう。あっても入れないわよ。どうしてそんなこと聞くの?」

「だって、街の有名な料理人は皆欲しがっているのよね?なら・・・」

「! 王宮の料理長が依頼を出さないのはおかしいわけか」

「ええ!」

「お城の料理人が依頼を出さない理由は・・・」

「入手ルートが確保できている」

「既にその調味料を持っている」

「つまり、誰かがその調味料を城へ届けている!」

やった!凄い前進よこれで出どころが分かるかも!!!

私たちのテンションは一気に跳ね上がった。

「でも、どうやってその運び人を探すんですか・・・・?」

キャンディスの一言で一気に下がったわ。

そうよね、お城に出入りする人なんて1日に何人もいるもの。

お城に食料を持っていくときに一緒に入れていくわよね・・・。

「気軽にお城の中の事とか聞ける人なんていないしねー」

「当然、入ることもできないしな」

「商人さんだって、教えてくれませんよー・・・」

「でも早くしないと誰かがクエストを達成してしまうわ」

「下手したら捕まりそうだもんね」

どうしよう、お城に出入りしていてお城の内情を聞ける人なんて・・・・

お城に入れる人なんて・・・・?

あれ?クロって今確か・・・

思わず変な笑いが込み上げてきた。

そうよ、クロが今お城に納品に行ってるんだからクロに聞けばいいのよ。

もともとクロに調味料を見てもらおうって言ってたんだし、丁度良いわ。

「どうしたの、リーズ?」

「変な笑み浮かべちゃって、気持ち悪いよ!」

「気持ち悪くないわよ!解決策が見つかっただけ!」

「マジか!?どうするんだ?」

「クロが帰って来たら万事解決よ!!」

皆は納得できない顔をしていたけど気にしないわ!

さあ、クロ!早く帰ってきなさい。


迎えに行こうって皆言っていたけど、お城には入れないしね・・・。

入れ違いにならないように寮で待っていたけど、とても長い時間に感じたわ。

結局、クロが返ってきたのは昼過ぎだった。

「ただいま戻りましたー」

「クロ、ようやく戻ってきたわね。とりあえずココに座りなさい」

「? はい」

皆いることに不思議がっているわね、無理やりぽっかたししょうがないかな?

「クロ、聞きたいことがあるの」

「何でしょうか?」

お城の事は言わない方が良いのよね。

「最近街で噂の調味料の事は知ってる?」

「はい、皆様探されてますよね」

「ええ、だからあなたのスキルで出どころを突き止めて欲しいのよ!」

そう、ビシ!とクロに命令したのだけれど、

「すいません。無理です」

「なんでよ!!!」

あっさり否定された。

皆の眼がとても冷たい。

「どんなアイテムか分からないと流石に・・・」

「そ、そうね。そじゃあ、料理長の所へ行きましょう」

そう言ってクロも連れて食堂へ向かうとそこは阿鼻叫喚となっていた。


「あああぁぁぁぁぁぁ!!これじゃないだってーーー!!!」

「全財産使ったのに違うなんてーー!!!」

「だまされた~~~~」

そこには騙されて調味料を購入した不幸な生徒で溢れかえっていて、報告へ行く他の生徒はどうなのか確認する視線の槍が飛び交っていた。

この部屋に入るのが、怖い。

私たちが食堂に入ると一気に注目された。

そうよね、サブリに姉様は中等部の中でもトップなんだから皆注目するわよね。

とりあえず、クロに調味料を見てもらわないと!

料理長のいる部屋へ入ると料理長が椅子の上で三角座りをしてた。

「あら、ミューズ。頼んでいた物は見つかった?」

その顔には若干諦めの雰囲気が見えたわ。

そうよね、これだけの生徒が失敗しているのだもの・・・

「もう一度確認させてもらっていいかしら?」

「ええ・・・いいわよ・・・ハァ・・・」

「クロ、お願いね!」

「できれば材料だけでも判明させて」

「というか、複製して!」

「あ、味の確認とかできないからな」

クロが調味料の前に立って匂いや色の確認をしているのを期待の目で見守る。

そうして、クロが私の前に歩いて来て、

ムニィィィィ

思い切りホッペを引っ張られたわ!

「フ、フヲ。らんらのひょ?」

「リーズお嬢様、コレ、分からなかったのですか?」

「分かるわけないでしょう!」

ホッペをさすりながら反論する。

「作っているところ、何度も見てましたよね?」

「へ?何言ってるのよ!見たことないわよ!」

一体いつ作ったっていうのよ。

え?作った????

「料理長さん、おいくつ必要なんですか?」

私を無視して料理長と話し始めたクロ・・・。

「それは、大瓶2本ほどあればうれしいけど・・・」

料理長も話半分で答えている。

「大瓶2本ですか、それでは少しおまけしておきますね」

「うん。ありがとぅ・・・」

意気消沈気味に答える料理長の前に大瓶が2本と小瓶が1本置かれる。

「これでいいですか?」

そう言って蓋を開けるクロ。

「うん・・・。って!ええ!!」

あ、ようやく料理長の頭が起動したみたい。

「どうしてあなたがそんなに持ってるの!?これ、とっても高いのよ!」

物凄い勢いにクロも少し引いているわ。

しょうがないわよね、散々探して見つからなかった物がポンと出てきたんだもの・・・。

「クロ、どういうことだ?」

サブリのもっともな質問に

「どうもこうも、これは私が作った調味料ですけど?」

「クロが、作った?」

「はい。このくらいの量なら寮の食糧庫に置いてあったはずですけど?」

ギギギと皆がコッチを向いて睨んで来るの。

へ?コレ、私が悪いの!?

「「「リーズ!!!」」」



調味料を手に入れてきた?私たちにお礼にと料理長が一品作ってくれることになったのは嬉しいんだけど、

クロが作った調味料を使った料理長の料理>クロの料理の図が思い浮かばないのよね。

他の生徒の恨めしそうな視線の中、私たちは料理をいただいた。

「凄く美味しいわ!」

「美味しいです!」

絶賛する姉様とクロ、満足そうに頷いている料理長。

「「「・・・」」」

「どうしたの?もしかして美味しくなかった???」

不安そうに聞いてくる料理長、笑顔でコッチを見てるクロ。

うん、分かっているわ。この間の様なヘマはしないわ!

サブリたちも理解しているみたい。

「いや、美味しかったんだが、僕の好みの味とは少し違ったんだ。ごめんな?」

「「「わ、わたしも!」」」

サブリに便乗する私たち。

この瞬間、私たちはクロの料理の方が良かったんだなと互いに直感で確信した。


ちなみに、この高額クエストはこの日のうちに他の依頼者もクエストを取り下げたことで落ち着いた。

他の依頼も受けようと思って確認に行くと何処ももう調味料を受け取った後だった。

「残念ー、もっと設けられると思ったのにー!」

「まあ、しょうがないよ。結構儲かっただろ?」

「というか、私たちがもらって良かったの?クロ一人の功績じゃない?」

「いいのよ!今回私たちはパーティで受けたんだし、クロは私の使い魔(ファミリア)だしねー」

「それなら、余計にクロに渡すべきじゃない?パーティーを組んだ時に居なかったんだし、ソロクリアでしょ?」

「「「!」」」

クロ、あなたは私たちに報酬別けてくれるうわよね?ね?

「リーズお嬢様が分け合いたいのならそれで構いませんよ」

アリガトー、クロ。ホント良い子。

「甘いわね・・・」

姉様はそんなこと言ってたけど、少し嬉しそうだった。






ミューズ視点


「ふぅ・・・」

調味料探しも無事に終わった。

リーズがもっとしっかりしていれば昨日のうちに終わっていたのだけれど・・・

それよりも使い魔のクロには感謝しないと、彼女の喜ぶ顔が見れたのはあの子のおかげだし。

追加報酬の料理も美味しかったし。

サブリたちはアレが好みでないって・・・・

私はそんなことを思いながらベッドに倒れこんだ。

今日は疲れた。リーズ、元気そうでよかった。

ダダダダダダダダダダ

バタン!

「ミュ、ミューズ!!」

「そんなに息を切らしてどうしたの?」

同室の子が物凄い勢いで部屋に入ってきた。

普段はもっと落ち着きのある子なのに・・・。

「どうしたのじゃない!このポーション!どうやって手に入れたの!?」

そう言って昨日リーズにもらったポーションを突き出している友人を見つめる。

「どうって、妹にもらったんだけど?」

「嘘言わないで!いくらアンタの家族がお城で働いているからってこんな物手に入るわけないよ!!」

「そのポーションがどうしたのよ?」

今日はもう疲れたからソッとしておいて欲しいのだけど・・・

「コレ!アイテムギルドにもまだ出回ってない王国兵専用の新ポーションなの!昨日たまたま家に帰っててお父様も同じもの持ってたから聞いてみたらそう言ってたの!」

「見間違えの可能性は?」

解析(アナライズ)掛けたけど該当なかったわよ!1本数万はするわよ!!!」

「ええ~~~~!!!!」

私の眠気は吹き飛んでしまった。

リーズ、何でこんな高級品持ってたのよ、何か言ってた気もするけど・・・

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