42ページ目 報告とアイテム探し
【仮面】がやってきた翌日の朝、私は昨日と同じように厨房に立たされていました。
今日、街を出ることを伝えると縋り付いて頼まれたのでやむなくです。
リーズお嬢様たちには先にギルドへ行って報告してもらうようにお願いしました。
朝食の時間帯が過ぎ、食堂で待っているとリーズお嬢様たちと偉そうな人が一緒に入ってきました。
ギルドマスターでしょうか?威圧感が凄いです。
「君がクロか?」
「そうですけど?」
「率直に聞こう。【仮面】とはどういう関係だ?」
リーズお嬢様の方を見るとジェスチャーで謝っておられるので、別の方から先に昨日の事が漏れたのでしょう。
「リーズお嬢様たちが逃げる為の時間稼ぎという建前で少し戦っただけですよ?
元々、自分の宣伝の為に見逃すつもりだったようですし、その時に少し戦えたので興味を持たれたのではないでしょうか?」
新しくダンジョンに居座った魔人の確認をして来いとか言わないでくださいよ?
「そうか、しかしこのことは陛下には報告しておく。」
「へ?あ、はい。分かりました」
それだけ言うとギルドマスター?はそのまま宿から出て行ってしまいました。
「ごめんなさい、クロ私たちが行った時にはすでに別の人が報告していたみたいで・・・」
「構いませんよ、どちらにせよ報告は必要でしたし」
「「「?」」」
「それでは、帰りましょうか」
「さて、学園にも着いたし。今日はもう解散でいいか?」
「そうね。クエスト受注は明日以降にしましょう。さすがに今回は疲れたわ」
「あ、私今回の報酬で武器を新しくしてくるね!」
「ああ、待ってくださいよぉ~・・・」
皆様直ぐに散っていかれます。
「リーズお嬢様、私も行ってきます」
「分かったわ。でも出来るだけ早く帰って来てね。お腹ペコペコよ」
そう送り出された私は急いでお城へ向かいました。
お城の前まで来ると1人の男性の門番さんが揉めていました。
「急用なんだ。順番を待っている暇なんて無い!」
「ダメだ!お前の言う書簡は陛下にお渡ししたんだ、大人しく順番を待て!」
言い争っている2人の横を別の門番さんに挨拶をしながら通り過ぎようとした時に揉めていた男性がコチラを見て
「おい!あんなメイドは普通に通してギルドからの使者の俺は順番待ちか!?」
男性は相当怒っているようでそっちを見ると
「「あ・・・」」
ホルゾンのギルドで見たことのある男性でした。
私はそのまま中に入ろうとすると
「おい、待て。お前中へ入れるなら俺も連れていけ!」
何かムチャクチャな事を言い出しました。
「こっちは急用なんだよ!入れるなら連れていけ!!」
分かってますよ。【仮面】の事でしょう?
私も今からまさにその報告に行くのですから・・・・。
「・・・・おのー、すみません・・・」
「お知り合いなのですか?」
「ホルゾンで少し・・・・」
「・・・分かりました。どうぞ・・・」
ギルド員はフンと鼻を鳴らしてお城への道を歩いていきました。
何処へ行けとも言われなかったので私は謁見の間へそのまま行くことにしました。
先ほどまで怒っていたギルド員は冷静になって案内人が居ないことに気が付きオロオロとしながら私に付いて来ています。
「おい・・・そんなに勝手に歩いて大丈夫なのか?」
「?あなたが先に歩かれるので何処へ行けばいいのか知っているとばかり思ったのですが、知らないのですか?」
「当たり前だろ、王城に入るなんて初めてだよ!」
「そうですか・・・」
ギルド員の言葉など右から左で頭の中は今夜の晩御飯とイローナ姫へのお土産を忘れてしまったと反省しながら歩いていきます。
その間もギルド員は何やら言っていますが無視です。
謁見の間の前の兵士さんに国王様への謁見のお願いをすると直ぐに入ることが出来ました。
今回は誰もいないようでした。
「クロ、お前また何かやらかしたのか」
扉を開けて挨拶をする前にそんな言葉が飛んできました。やらかすとかヒドイですね。
「失礼します、国王様」
「し、しし失礼します国王陛下・・・」
「ん、ソイツは誰だ?お前の連れではないだろう?」
「わ、私はホルゾンのギルドの者です!」
「ああ、書簡の・・・・で?クロ、お前もこの書簡の件か?」
「はい、そうです」
どうやら国王様は書簡の内容の確認中だったようですね。
「フム、クロ。お前の報告を聞かせろ」
と言われたので当たり障りの無い報告をしていきます。
「なるほど、内容も誤差程度か。直ちにダンジョンの調査用の騎士を選抜しホルゾンへ向かわせろ!あの【仮面】が場所を譲るような相手だ、くれぐれも油断するなと伝えろ!」
部屋の中で待機していた兵士は直ぐに伝令を伝えるべく部屋を出ていきました。
今回の報告はこれで終了ですね!
「それでは、私はこれで」
「待て!」
帰れませんでした。
「何でしょうか?申し訳ありませんが、今日は食べ物はありませんよ?」
「そんなんじゃねえよ!変な噂になるからそういう振りはやめろ!」
「では次からは国王様の分は無しで・・・」
「あ、それは下さいお願いします。じゃ、なくてだな!クロ。お前、大丈夫か?」
少し威圧の込められた言葉、これは【仮面】を倒せるかと聞いているのでしょう。
しかし、隣に部外者が居るのに答えたくありません。
居なかったとしてもあんなのともう戦いたくありません。なので
「ギリギリでした。今回は本当に運が良かっただけです」
「そうか、わかった。2人とも下がっていいぞ」
お城から出るまでの間、隣を歩くギルド員に変な人を見るような目で見続けられたのでお城から出ると一目散に寮へ走って帰りました。
夕食?他のお嬢様の要望により宿で作ったオーク料理になりましたよ。
食事の片付けも終わり、部屋へ戻ると私宛の手紙が来ていました。
この世界で私に手紙を出すような方は居ないのですが・・・・
確認すると国王様からで、ポーション追加の依頼でした。
謁見の時に言って下さればよかったのに・・・・。
「すみません、リーズお嬢様。明日、明後日お休みをいただいてもよろしいですか?」
「ん?どうしたの?」
「国王様から、ポーションの作成依頼です。量が多いので時間が掛かります」
「分かったわ。私も数日はゆっくりするつもりだし、頑張って」
手伝うとは言っていただけないのですね。
薬草を煎じるのとか結構大変なんですよ?
翌朝。
「じゃあ、クロ。言って来るわ」
「あれ?お休みされるんじゃ」
「クエストの確認はしないとね!」
ずいぶんと冒険者らしくなられましたね、リーズお嬢様。
騎士はどのような仕事の受け方なのかは知りませんが、意欲的な事は良い事です。
さて、ポーション。作りますか・・・・。
リーズ視点
クロは2日ほど籠りきりって言ってたし、受けれても簡単な採取クエストくらいね。
カグヤも私より早く出て行ったみたいだし、別のクエストでも受けるのかしら?
今日明日の予定を考えなら歩いているとサブリたちが前からやってきたわ。
「おはようリーズ!」
「おはよう。サファ」
「なあ、リーズ。お前今日暇か?」
「ええ、クロに予定があって今日明日は暇だけど?」
「良かった。なら俺たちとクエストを受けないか?」
昨日までクエストを受けていたのにもうクエストに誘うなんてタフね、サブリ・・・。
「ああ、別に外に出てのクエストじゃない。街中でのアイテム探しだ」
私が直ぐに返事をしなかったので慌てた感じでクエストの内容を教えてくれた。
「私が一緒で良いの?」
「今回は人数が必要なの!上限はあるけどね!」
「ならお願いするわ」
どんなクエストだって経験の少ない今の私には必要なのよ。
「よし!じゃあ依頼人の所へ行こう」
サブリたちに付いて行った先は学校の大食堂だった。
「大食堂の料理長が依頼人なのよ!」
料理長が?何度か話したことはあるけど何を依頼するんだろ?
「あら?サブリ。久しぶり」
「あ、ミュ、ミューズ。ひ、久しぶり」
後ろから声がしたので振り返るとそこにはミューズ姉様がいたわ。
「ど、どどどうしたんだい?ミューズ。き、君が一人でいるなんて珍しいね」
そう。いつもは他の生徒と一緒に居るのに今日は一人なんて珍しいわね。
そしてサブリは相変わらずね。
直ぐに分かると思うけど、サブリは姉様に片思い中。
姉様は全然眼中にない様だけど、一緒にいるとサファとキャンディスの機嫌が一気に悪くなるので面倒くさい。
「で!ミューズ!アンタは何してんの!!」
「あら、あなたたちと同じよ。料理長のアイテム探しの依頼よ」
「そ、そうか!なら一緒に行こう!」
「ええ」
そう言って歩き出す二人。
その二人を射殺せそうなほど睨みつけながら後を歩くサファとキャンディス。
そしてその後をついて行く私。
もう、帰りたい。




