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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
39/211

39ページ目 初めてのダンジョン3

オークを回収した私たちはそのまま進むことにしました。

「しかし代わり映えの無いダンジョンだな」

「そうね!ずっと一直線だもの」

「探索は・・・楽でいいですよね?」

「このダンジョンを作った奴は何を考えてるのかしら?」

「防衛はし易そうですよね?直線ばかりですし。攻略も楽ですが」

「挟まれなければ楽ね」

今話しているのはダンジョンの感想です。

長い直線と小部屋がいくつか、それだけのダンジョンです。

一体どんな意図でこのダンジョンを作ったのか分かりません。

現れる魔物(デモン)もオークとボアばかりで私たちの進み方では安全圏で察知できますので特に苦労することなく進めます。

「直線通路長すぎない?どこまで続いてんのよ!」

「そう言わずに進むしかないさ」

皆様、すこしグッタリした感じでそのまま進んで行きます。


「止まってください」

「ん?どうしたんだクロ」

「そこ、罠があります」

「どこにあるのよ?」

「通路の地面です。少し盛り上がっているでしょう?」

「あ、本当です。四角く盛り上がっていますね」

「何か乗せてみる?」

「オークでいいんじゃない?」

罠の上にオークを投げてみると周囲の壁・天井から無数の矢が飛んできました。

死体は動かないのでスイッチが押したままになり矢は当たり続け、矢が出なくなるころにはウニの様になっていました。

「よく分かったな」

「矢の出る範囲も結構広かったし、誰かが踏んでいたら大変だったわね」

「この為の直線通路だったのでしょうか?」

「どういうことです・・・?」

「同じ様な通路、風景が延々と続いて気力が落ちてくる。更に代わり映えも無いから自然と油断も生まれる。ソコに今の様な罠があれば見落として踏んでしまう可能性は高いわ」

「それに、奥でボスと戦ってからの帰りとなると更に注意力も散漫になると思いますし、オークたちに追われている最中でしたらそこまで気を配ることもできないでしょう」

「なるほど、確かにそんな状態だと気付けないな」

「うちのメイド(斥候)は優秀で助かったわね!」

「では・・・この先に魔物がまた居るのでしょうか?」

「注意して進まないといけないわね」


しかし、その先には注意していた罠も魔物も無く大きな扉の前まで進めました。

「どう思う?」

「ボスでしょ?」

「ボスですね・・・」

「ボスじゃないの?」

「きっとボスね」

「ボスですね」

全員一致でボスの部屋だと当たりを付けて、扉を押し開けるとそこは今までの小部屋の倍以上の広さを持つ大部屋で壁にはご丁寧に明かりが付けられ、部屋の中を照らしています。

部屋の奥に佇むのは今までのオークよりも1回り大きく立派な鎧と大斧を持ったオークでした。

「全員、戦闘準備!」

サブリ様の指示で全員、戦闘がいつ始まってもいいように構えます。

「ブモオオォォォォォォ!!」

オークが大斧を構えながら突っ込んできます。

「早いぞ!解散!!」

私たちは陣形を崩し、オークが通り抜けた後すぐに魔法と矢を放ちます。

が、オークが思った以上に早く全て外れてしまいました。

オークは再び構え、突進してきます。

私たちは再び散らばりますが、オークはサブリ様に狙いを定め、追っていきます。

「くそ、来い!」

サブリ様が大盾を構え、オークの大斧とぶつかります。


ガイィィィィィィィィィィィン!!


鉄と鉄のぶつかる激しい音が聞こえ、サブリ様はオークの力に耐えきれず後ろへ吹き飛ばされてしまいます。

「「サブリ!」」

サファ様が攻撃に走り、キャンディス様も攻撃の魔法を唱えます。

しかし、オークの振り回す大斧によって近づけず、魔法も大斧で打ち消されてしまいます。

リーズお嬢様にサブリ様の回復を任せ、カグヤお嬢様と私も弓と魔法で攻撃しますが全て打ち消されてしまいます。

突進攻撃で近づいて大斧の乱舞で攻撃する。

単純ですが、私たちの力では攻撃を止めることも、ダメージを与えることもできず持久戦になってしまいました。

「どうするの、サブリ。こちらの攻撃は通じないし、向こうの攻撃は避けるしかないけれど?」

「どうするって言われても、逃げるにしてもあの気の遠くなる直線だ、絶対に追いつかれる」

そう、私たちには逃げるという選択肢がありますが長い長い直線が待っているのです。

オークの突進を横に避けることでしか回避できない私たちにはあの直線でオークから逃げ切ることは出来ないのです。

「どうするの!このままじゃジリ貧よ!」

「ま、魔法ももうあまり使えません」

「何であのオークは疲れて無いのよ!」


「ブモォォォォォ!!」

オークの攻撃を避けながら作戦を考えますが、良い案が出てきません。

皆様、少しづつ疲れが溜まってきて攻撃を回避するのが危うくなってきました。

リーズお嬢様も息が上がってしまっていますし、パーティーの士気が下がってしまっています。

そう、自分たちはここで死んでしまうという諦めの感情が出てきてしまっています。

本当はこんな勝ち方はしたくなかったのですが、死んでしまってはどうしようもありません。

私は少し大きな魔法を使う為に魔力を集中させます。

「クロ?」

リーズお嬢様は怪訝な顔をされますが、カグヤお嬢様が直ぐに察して

「クロが何か思いついたみたいだから、オークを引き付けて!」

カグヤお嬢様の言葉に皆様が最後の気力を振り絞るかのようにオークの注意を引いてくださります。

「準備できました。離れて下さい!」

私の声に反応して直ぐに退避してくださいます。

水球(アクアボール)!」


「「「は?」」」

「ちょっと!何でそんな攻撃魔法でもない魔法使ってるのよ!何の為の充填(チャージ)よ!!!」

私が使ったのは【水球】水の球を作り出すだけの魔法です。

本来なら充填も何も無しで撃てる初歩以下の魔法です。

火球(ファイアボール)】なら、炎のダメージを期待できるかもしれませんが、私が使ったのは【水球】ダメージは期待できないのです。

「ちょっとクロ!大きいだけの【水球】なんてどうするのよ!?」

「アレでどうするつもりなの」

「アレでは、オークにダメージなんて無理ですよぅ」

「皆!動きを止めるな!」

皆様、私が使った魔法は完全に無意味と判断して次の攻撃に備えています。

オークもタダの水の球が飛んで来るだけなので悠々とコチラへ歩いてきます。

「ちょっと、早く逃げなさいよ!」

オークは【水球】を避けず(・・・)にそのまま進んできます。

そう、避けずに進んで来るのです。

今までの様に大斧で振り払うでもなく、避けるでもなく、笑いながら進んできます。

【水球】の中を進むときは少し進みにくそうにしていますがそのまま歩いてきます。

そして、不意に立ち止まり両手をゆっくり振り回します。

急にゆっくり走る挙動を取ります。

「「「???」」」

「あのオーク、どうして【水球】出てこないのかしら?」

オークの異変に気が付いたリーズお嬢様が呟きました。

「確かにそうだな。変にゆっくり手を振ったり、走る動作をしているだけだな」

「まさか、出られないとか?」

サファ様がまさかといった感じです。

「クロさん、何をしたのですか?」

キャンディス様から質問があったのでお答えしましょう。

「えっとですね、全身お風呂に浸かった状態で手を素早く振ることは出来ますか?」

「え?出来ません、ゆっくりになってしまいます」

「つまりそういう事です」

「え?」

「つまり、全身が水に浸かって素早く動くことが出来ないという事ね」

「はい。その通りですカグヤお嬢様」

「じゃあ、手を振ったり走るマネみたいなのをしているのは」

「水を振りほどきたいのでしょうね。あの状態では呼吸もできませんし」

「でもオークは移動出来てるじゃない、何で出れないの?」

「何でってそんなの私がオークに合わせて【水球】を移動させているからですよ?

本当は突っ込むか避けてコチラへ来た時に挟み込むように次の【水球】を撃つつもりだったのですがそのまま入ってきたので充填した魔力が無駄になりましたね」


皆して【水球】から出ることの出来ないオークを眺める。

段々と動きが遅くなり、ついには動かなくなりました。

「やったの?」

「ああ、動かなくなったな」

「た、助かったんですね・・・」

「ええ、そうね・・・」

皆様、呆然としていますが

「こんなの!納得できるわけないじゃない!!!」

サファ様は怒りだしました。

「サファ、気持ちは分かるが落ち着け。あのままじゃあ、俺たちは全滅していた。

誇れる勝ち方ではないが死ぬよりはずっと良い」

「だけど・・・・」

結局、サファ様も少し時間が経つと冷静になられ納得してくださりました。

「皆、アイテムの方はどうだ?」

今のオーク戦でかなりのアイテムを消費しました。

アイテムの残りは皆様心許ないはずです。

アイテムの残りがもうほとんどない事を告げて今日は帰ろうとしたときです。

突然、敵の反応がありパチパチと拍手が聞こえてきました。

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