38ページ目 初めてのダンジョン2
「さて、ココから未知の領域になるわけど、準備はいいか?」
サブリ様の質問に皆様、気を引き締め直し頷きます。
「では昨日決めた通り、クロに索敵をしてもらいながら進む。リーズ、君の魔法も今回の探索の鍵だ。頼んだぞ!」
「ええ。分かっているわ。光よ!弾丸と成りて敵を貫け!シャインバレット」
リーズお嬢様の放った光弾がゆっくりと通路を進んで行きます。
昨日の夜、立てた作戦は私が索敵をし光魔法を使えるリーズお嬢様が先を魔法で照らし通路を確認しながら進むというものです。
各々光源は持っていますが、こうすることでより安全に先を確認して進むようにしたのです。
【シャインバレット】光属性の初級魔法で光属性の弾を飛ばす全ての基礎となる魔法です。
リーズお嬢様はソレを一定間隔で使い続けなけれいけないので、かなりハードです。
魔力が無くなってしまっても、私が回復用のポーションを大量に持っているので長時間の運用が可能です。
はっきり言って、鬼の所業です。
はい。私が発案しました。ダンジョン内で否定もしましたが・・・。
昨晩、作戦を検討中にリーズお嬢様が自分にもできることは無いかと聞いてこられたので、魔導書を確認させていただき、この作戦を再びお話しました。
この作戦を聞いた時、他の方は反対されましたが、リーズお嬢様がやると聞かなかったのでやることになりました。
グループで自分だけ何もできないのって物凄い罪悪感ですよね?
期待している効果としましては、進路の状態の把握。光に反応するトラップの誘発。潜んでいる魔物の誘導です。
明かりが何も無い暗闇の中でソコソコの大きさの光源が移動しますので、通路全体が照らされて私もトラップの確認がしやすいハズです。
腐敗臭がきつくなってくる中、なだらかなカーブを抜けた先にランタンの光が見えてきました。
「クロ、敵か?」
「魔物の反応はありません」
「なら、同業者か?」
「リーズお嬢様。アチラに向かって魔法を、サブリ様は念の為に盾の準備を」
「わかった」「わかったわ」
リーズお嬢様の魔法で見えた先には、首の無い冒険者風のモノが立ってウロウロしていました。
光弾が行き過ぎても、コチラに反応する事も無く同じところを行ったり来たりしています。
「何ですか、アレ?服装は昨日の冒険者に似ている気がしますが」
「恐らくその冒険者ね。傀儡の術に似ているわね」
「死体を操る魔法?悪趣味ね!」
「どうしましょう?」
「少し大きめの部屋の様ですし、他にもいるかもしれません」
「じゃあ、どうする?」
「サファ様、この石をアレに向けて投げつけていただいて構いませんか?外しても問題ないので」
「分かった!」
ガイン!!
瞬間、通路からは見えなかった場所からたくさんの同じようなモノが現れて、石が当たったモノは無残な形にかえられました。
「どうやら音に反応して襲って来るようですね」
「アレに掛かっている魔法を知っていたのか?」
「いいえ、馬鹿の一つ覚えみたいな動きをしていたので試しただけです。音の感知もそれほどいいわけではないようですね」
「で、どうするの?」
「今、丁度固まっていますし炎の魔法で何とかできませんか?」
「分かりました。炎よ槍と成りて敵を貫け!ファイアランス」
複数の炎の槍が飛んでいき焼き尽くします。
炎が来た後、何度か石を投げ込み反応が無かったのでゆっくりと部屋の中へはいりました。
「これは、ヒドイな・・・」
「「うぇえ・・・」」
「くっ・・・」
そこには今までの冒険者の死体が多数ありました。
どれも腐り落ち、原型を保っていません。
「さっさと焼きましょう」
「ああ、それが俺たちにできる弔いだな」
「入口に戻ってそこから焼きましょう。後、焼く時は高温で一気にお願いします」
「ファイアランス」
「焼け残ったアイテムはどうするの?」
「私たちはいつも冒険者ギルドへ提出しています」
「盗賊なら全部持ち去るんだけどね!リーズ、あなたもしかして欲しいの?」
「ち、違うわよ!どうするのか気になっただけよ!」
「では、集めて誰かのアイテムボックスにまとめて入れていただけますか?私のアイテムボックスには食料も入っているので、できれば遠慮したいです。」
「なら、私のアイテムボックスに入れましょう。私はそんなにアイテム持ってきていないから」
「よし。それでは分かれてアイテムを回収しよう」
私たちは分かれて部屋の中に散らばるアイテムを回収し始めました。
「ん?これは・・・」
「何かあったの?クロ」
「はい。アイテムを集め終わったら皆様にお話しします」
「よし、アイテムはこれで全部だな」
「ええ!かなりの数ね」
「何人分でしょうか・・・」
「カグヤ、頼む」
「分かったわ」
カグヤお嬢様は遺品をアイテムボックスにしまいだしました。
「ねえ、クロさっき何か見つけていたようだけれどなんだったの?」
「コレです」
私はさっき拾ったモノを皆様の前に出しました。
「これは?」
「恐らく、魔物だと思います。内側を見る限り、昆虫系のようです」
拳くらいの大きさで丸いフォルムをしています。
内側には針の様な物が数本ついています。
「見たことはありませんか?」
「いや、無いな。どこに居たんだ?」
「この部屋の隅の方で複数見つけました」
「それは・・・フェイブレアンだと思います」
「キャンディス、それはどういう魔物なんだ?」
「えと・・・その針の様な物を対象の体に差し込んで操る寄生型の魔物です。強さも寄生した対象の強さに左右しますので、強さの判定が難しい魔物です」
「だとすると、ここから先はコイツがうじゃうじゃいるっていうの?メンドウね」
「サファ。多分、大丈夫だよ。死んだか弱っている獲物しか襲えないから」
「?」
「たぶん、この体の所為でしょうね。こんな細い足では体をとても支えられないもの」
「はい。今回寄生されていた冒険者は皆死んでいました。なので、死んだ後に何者かが規制させたのだと思います」
「普通に考えてダンジョンのボスよね?」
「はい。もし、この魔物が今までのルートにまで出てくるようになってしまえば被害はとんでもないものになります」
「よし、道中にいるフェイブレアンは全て討伐。最奥のボスを倒して安全を確保しよう」
「「「おー!」」」
「ところで、この辺りで少し休憩しませんか?」
「へ?休憩?」
「はい。サブリ様・カグヤお嬢様は前後の警戒、サファ様は魔法・・・寄生された冒険者の方を倒すために魔法たくさんを使われました。今はそんなに疲れていないと感じても、この先がどうなっているか分からないので休憩は取れる時に取っておくべきだと思います」
「ちょっとクロ!私も魔法使ったわよ?」
「あ、そうですね。リーズお嬢様もずっと魔法を使ってくださってますね」
「なんで付け足しみたいに言うのよ!!!」
「休憩中の警戒は私がしますので、皆様休んでください。」
リーズお嬢様をなだめながら皆様に休憩を進めます。
今の所、敵の反応はありませんが何処かで一気に現れる可能性もありますから、この大部屋で休んでおいた方が良いと思うのです。
まあ、死体がたくさんあった部屋で休憩もアレですが・・・。
「風よ吹け!ウィンド!!!」
サファ様の魔法のおかげで部屋の中の臭気が通路へ流されていきます。
「休憩って言ってもあんな臭い中じゃ碌に休憩もできないしね!」
「ありがとう、サファ」
「い、いいい良いのよサブリ。これくらい」
サファ様の動揺具合は見ていて面白いですね。
「あ、この携帯回復薬使ってください」
そう言ってカ〇リーメイト風に作ったアイテムを渡します。
「ありがと!クロ」
「なんで、携帯回復薬がこんなに美味しいんだ?」
「これ、HPもMPも回復しますよ!!!凄いです」
「やっぱり、クロの作るものは美味しいわね!」
「普通にお菓子で通るんじゃないかしら?」
皆様思い思いの感想を言いながらモグモグ。
「おかわり!」
ないですよ。少なくとも戦闘があるまでは・・・・。
休憩を終え、通路を進んで行くと敵の反応がありました。
「敵、前方からきます!数は10です!」
「多すぎねぇか!?」
「リーズお嬢様!前方に魔法を!」
「分かったわ!」
リーズお嬢様の魔法で前方が明るくなり、確認すると向けって来るのは豚の顔をした2足歩行のモンスターでした。
「オークか!」
「流石にあの数は受け止められないぞ!」
10体ものオークがかなりの勢いで突っ込んできます。
通路に横に2体並んで走って来るので避けることもできません。
あの質量に突っ込まれればさすがに戦線の維持なんてできないでしょう。
「水よ!我が敵を穿て水弾!」
なので私は複数の水弾をオーク目掛けて撃ち込みます。
「そんなのでオークの突進は止まらないって!」
「キャンディス!魔法を!」
「うん・・・!」
サブリ様の声でキャンディス様が魔法の詠唱を初め、カグヤお嬢様が弓を射ます。
私の魔法が一番前のオークに命中し、オークの速度が一気に落ち直ぐ後ろを走っていたオークは急に止まれるはずもなく前のオークにつまずいてドミノの様に前に倒れていきます。
一番初めに倒れたオークは他のオークの重みでつぶれてしまったようです。
下から汁が広がっていきます。
「・・・・!サファ、残りを叩くぞ!」
「!ええ!!!」
サブリ様とサファ様が突っ込みカグヤお嬢様とキャンディス様の援護で倒れこんでいるオークはあっという間に討伐されました。
「クロ、アンタ何したの?」
「何って一番前のオークを転ばせただけですよ?」
「あの魔法、あんなに強力な魔法ではなかったはずよ」
「そうそう!なんでアレでオークが倒れるのよ?」
オークを片付けてサブリ様とサファ様が戻ってきました。
「少し魔法に細工をしましたが殆ど自滅の様なものですよ?全力で突っ込んでいて急に止まれずに倒れて追い打ちを受けただけですし。動きを少しでも止めれれば誰がやっても同じようになると思いますよ?」
「その動きを止めることが大変なんだけど!」
「まあ、いい。回収できる素材は回収して先へ進むぞ」
と言ってオークをアイテムボックス(モンスター回収用)にドンドン詰めていくサブリ様たち。
「オークって何に使うのですか?」
「ん?肉は食えるし皮は防具になる。装備している武具も使える」
「へ?オークのお肉って食べるんですか!!」
「そうだけど?何おどろいてるの?」
私は異世界の常識を甘く見ていました。
どうやら食べれるものは何でも食べる。使える物は何でも使う世界の様です。
ボアは食べることに躊躇を覚えませんがオークをとか・・・・




