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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
32/211

32ページ目 大精霊の集まる場所

緑が青々と生い茂り、美しく大きな湖の近くに造られた大きな街がある。

森と湖の恵みを受け、栄えている世界有数の都市だ。

今日も数え切れないほどの人々が行き交い、命をつないでいる。


神殿都市:モイラクイル


ゼルパノス大陸にあり、信仰を司る神殿の本拠地がある国だ。

世界中に大精霊が現れる場所は数多く存在するが、ココほど現れることは無い為ココに大神殿が建てられたのだ。


私はサンドロ・ロロ。

神殿の大司祭の役職に就いている。

大司祭の役目は1つ大精霊様と交流をし、恩寵を授かること。

大神殿の最奥であり、最も神聖な祈祷の間で常に清められている。

壁には大精霊様が好むとされる白亜の鉱石の壁に大精霊様たちの文字と言われている古代文字が書き廻らされ、祭壇の前にひれ伏し私は祈り続けている。


最近、不思議な変化があった。ここ数日、光の大精霊様が毎日お姿を現せて下さった。

今までなら1月に1度現れて下されば大喜びでだったのに、連日してコチラにお越し下さる。

精霊、特に大精霊様からすれば人間などそこらに居る羽虫の如き存在だというのに、毎日お越し下さるとなれば、私の歓喜の思いも分かってもらえるだろう。

他の司祭たちにもこの事は伝えてあるので、皆一層に祈り、各々の仕事に取り組んでいる。

街の方も軽くお祭り騒ぎになっている。


「シャイナ様、本日もお越しいただき、ありがとうございます」

『気にしないで下さい。私は街の人が騒いでいるのを眺めているのが楽しいだけですから。』

「はい。しかし、何故急にこんなにもお越しいただけるようになったのですか?」

『少し。気になることがありまして。人の多いココならば分かるのではないかと思ったのです。』


光の大精霊・シャイナ様、私たち人間に最も友好的な大精霊様。この方が私たち神殿の懇願を聞いてくださり、他の大精霊様に働きかけていただくことにより我々はその恩寵を授かることが出来ている。

そのお方が気になる事があると調べに来られることは光栄なことであり、同時に不安でもある。

大精霊様が気にされるような事が起きているのだから。


私はそんな事を思いながら大精霊様に尋ねようとしたときシャイナ様とは別にもう一つの光が現れました。

これは、まさか!!


『やっほー。シャイナちゃん。ココに居たんだ。探したよー。』

ソコにおられたのは大精霊・ウンディーネ様。

水を統べられる大精霊で精霊水(スピルウォーター)もこの方の恩寵によるもの。


いや、今はそんなことはどうでもいい。

大精霊様が複数現れるようなことは神殿の長い歴史の中でも1度として無かった。

例え、ただの気まぐれであったとしてもこれは物凄い事だ。

その場に居合わせることのできた私は何と運が良かったのだろう。


『あ。お爺ちゃん。今日もいるんだね?。暇なの?。』

「いえ、ココでの祈祷が私の役目ですので」

ああ・・・なんという事だ。ウンディーネ様が私を覚えていて下さった。

道端の石と何ら変わらないであろう私を覚えていて下さった。

これほどうれしい事はない。


私の感動など他所にウンディーネ様はシャイナ様とご談笑されている。

余程、嬉しいことがあったのか喜色の色がうかがえる。

『それで。どうして私の所へきたのです?。』

『ああ。そうだったわ。私。すごくいい所を見つけたのよ。だから。皆にも教えてあげようとおもって。』

『へえ。そんなにいい所なの?。』

『ええ。だから。あなたも来ない?。他の皆はとりあえず行ってみるって言っていたわ。』

『そうね。では。私もいってみようかしら。』

今何と、他の大精霊様も集まられる場所がある?

是非私も行ってみたい。もし、そんな場所が本当にあるのならその場所に新しく大神殿を作ると言っても

皆、諸手で喜ぶはずだ。

「ウンディーネ様、その場所は何処なのですか!!」

思わず叫ぶように聞いてしまった。しかし、叫ばずにはいられなかった。

『うん?。クロちゃんのお家よ?。』

「・・・・その、クロちゃんというのは?」

『うーん。人間の事はよく分からないけど。メイドさん?。』

メイド?クロなる人物の事は分からないが、大精霊様が個人の家に集まるなど、今まで聞いたことも考えた事も無い。

しかもウンディーネ様から良い所と言われている。

大精霊様に良いと言わせる事の出来る女性、メイドらしいがそれはもう聖女ではないか!!

これは何としてもそのメイドに会い、聖女として神殿を導いてもらわねばなるまい!


「ウンディーネ様、そのクロ様は何処におられるのですか?」

『え?。あなたも来たいの?。この大陸に居るわよ。』

「おお!それで、どこに?」

『わかんない!。コス何とかの王様に聞いて。行こう!。シャイナ。』

私が、急いで聞きすぎたせいかウンディーネ様たちは去ってしまわれた。

私は自分を抑えられなかったことに反省しながら直ぐに行動に移すことにした。

コス何とかならコスカート国だろう。

近い国で良かった。別の大陸ならかなりメンドウになっていたところだ。

私は早速、祈祷の間を出て司祭を呼びつけることにした。


僧兵は私がこんな時間に部屋から出てきたことに驚いて色々尋ねてくるが、そんな事に構っている暇はない!

「ミショーを!直ぐにミショーを呼べ!何をしていようとも放棄して私の部屋に来るように伝えろ!いいな!」

「は、はい!!!」

普段の私からは発せられるはずのない威圧と言葉に僧兵は驚いて走っていった。



「お、お待たせしました。大司祭様」

息を切らせているのは司祭の一人、ミショー・エリドリシ。神殿のNo2であり、私の右腕でもある。

何やら陰で色々と暗躍しているそうだが、今はそんなことはどうでもよい。

「大司祭様、普段からは考えられない様な形相とお声で命じられたと僧兵が申してありましたが、どうされました?」

「うむ」

私もあの時は気が動転していて怒鳴り散らしてしまったが、今は大分と落ち着いている。

「ミショー、あなたにお願いしたいことがあります」

「はい。何でしょう」

「これからあなた自らが行き、コスカートのイヴァン国王と面会できるように約束を取り付けてきてほしい。それも可能な限り早くです」

「は?それはどういう・・・」

納得できないという顔をしている。

当然のことだ、内容はタダのパシリこの様な連絡の仕事は神官の仕事であり、司祭が行う事では無いのだからこの返答も当然だろう。

「恐らく、あなたが行けばイヴァン国王と謁見できるはずです。あなた自身の口から私のお願いを伝え、あなたの口から私に返事を伝えてください。他の物を挟むことは許しません」

本当は自分で行き、その足でクロというメイドのの所へ行きたいが立場上、そうもいかないですからね。

「これは非常に重要な話になるのです。ですから、神官に任せることは出来ません。もちろん、他の司祭にも頼めません。あなただからお願いしているのです。分かりますね?」

「はい!わかりました。」


ミショーは私のお願いの重要さが分かったらしくすぐに行動に移してくれました。

さて、私は外行の準備を始めましょうか。



クロ視点


お昼前に寮を出てお城の前に着いたのがお昼過ぎ、遠くは無いのですが結構距離がありますね。徒歩だと。

私は馬に乗れませんし、持っていないわけですから必然的に徒歩になるわけです。

貴族の方が暮らす区画に入ると門番の方が奇異の目でコチラを見ていますが無視してお城に向かいます。


「止まれ!城に何用だ!!」

まあ、当然、門番さんに止められるわけです。

国王様にお会いしたいわけですが、私が言っても絶対に通らないでしょう。なので・・・

「はい、ヤニツェク・レメントギター様はおられますか?とても大切なお話があるのですが・・・・」

そう言うと、門番さんは私を上から下まで見て少しニヤついて分かったと言って別の兵士さんが向かっていきました。


待つこと数分。ヤニツェク様がお城から現れました。

良かった、今日はお城勤めだったのですね。

「なあ、クロ君。君はどういう言い方で私を呼び出したんだい?」

何だか、少し疲れたような顔で聞いてこられます。

「ヤニツェク様にとても大切なお話があると門番さんに話しました」

「・・・・」

私は間違っていません。大精霊様が居つくなんてとても大切なお話です。

「その言い方だと誤解を生むと思わないのか?」

「?どんな誤解を生むのですか?」

「・・・まあ、いい。それで、私に何の用だ?」

「あの、ココではちょっと・・・できれば2人きりになれるところでお願いします」

私がそう言うと

「ヒュ~、隊長も隅に置けねえなぁ~、コリーン副隊長はどうするんですか?」

ヤニツェク様についてきた他の兵士がヤジを飛ばしてきます。

「うるさい!お前らは黙ってろ!!」


「すまないが、私も仕事中だ。わざわざ時間を作ることは出来ない」

「わかりました。ではお耳を・・・・で、・・・・・・・ます」

「ちょっと来い!」

そう言って私の手を急に引っ張てお城へ入っていきました。

部下の兵士さんたちは、はやし立てながら私たちの後をついてきます。

仕事は良いのでしょうか。

立派な扉の前で止まり、兵士さんに話されます。

「国王様にお会いしたい。」

「国王様は謁見中です。いくら隊長でもお通しできません」

「承知している。そして、その上で命令している。国王様にはメイドが来たと伝えてくれ」

兵士さんは意味が分からないという顔をしていましたが、ヤニツェク様の威圧に負け確認の為に中へ入っていかれました。

「直ぐに入って来るようにとの事です」

「すまない。無理をさせたな」

そう言って私とヤニツェク様は部屋の中へ入っていきました。

当然周りの兵隊さんはわけが分からないという顔をしていました。


「国王様、申し訳ございません。メイドが来たので連れてまいりました」

「うむ」

部屋の中には国王様、警護の兵士さん、法衣をきた神官様?2人が居ました。

神官様は私を一瞬睨んだ後、すぐに国王様の方へ向き直られました。

私はヤニツェク様に連れられて、神官様の隣に並びます。


「して、クロ俺に何の用だ?」

「はい、まずは謁見の邪魔をしてしまった事誠に申し訳ございません」

言い方が正しいかどうか分からないですが、まずは謝らないとですね。

割り込んでしまったわけですし。

「フン!」

1人の神官様は明らかに鼻を鳴らします。

「そんな挨拶はいい。それより何の用だ?簡潔に述べろ」

国王様から怒りのオーラを感じます。

当然ですよね。仕事に割り込んで、しかも割り込んできたのがただのメイドなんですから。

見た目だけでも不機嫌になりますよね?

あれ?豪華な椅子から何か・・・国王様の背中から何か棒のようなものが・・・・

ああ。磔の刑は執行されているのですか。ぱっと見、磔とは分からないですね。

それで期限が悪い出のしょうか?

早く言えと言われていますが、他に人が居ますし言っても大丈夫なのでしょうか?


「ああ、その者たちなら問題ない。神殿の司祭たちだ。お前の報告を聞いてもさして問題ない」

そうでしょうか、大精霊様の事ですし、問題しかない様な気もしますが国王様が問題ないと言っているので大丈夫なのでしょう。

「はい、では簡潔に・・・・。大精霊・ウンディーネ様が家の寮に居つくそうです。後、お友達も呼ぶと言っていましたので報告に上がりました。以上です、それでは失礼します」

「待て!貴様!!我々の謁見を邪魔しただけでなく、大精霊様が居つくなどというう大ウソを!!」

司祭様の1人が猛然と抗議してきます。

そうですね?私でも同じ立場なら抗議しますよ?でも事実なんですよ?変わってくださいよ。

「よい」

「しかし!」

「よいと言っている」

威圧込みでそう言われて黙り込む司祭様。

もう1人の方はそのまま話を聞いておられました。

「クロ、カティに詳しく話しておいてくれ」

「わかりました」

そう言って私は部屋から出てカティ様の所へ連れていかれました。


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