31ページ目 お部屋クラフト
「それじゃあ、行って来るわ」
「はい、いってらっしゃいませ。リーズお嬢様、カグヤお嬢様」
リーズお嬢様はカグヤお嬢様とお買い物にお出かけです。
何でも、全員参加のクエストも一段落ついて大体の方が休憩に入られるそうです。
大事ですよね、お休み。自分でペース配分をしないといけないお仕事とかだと特にです。
やりすぎてもダメ。休みすぎてもダメ。配分が大切です。
「さて、それでは私も始めますか」
お嬢様をお見送りし、メイドとしての仕事も済ませた私はお部屋の増築を始めました。
【増築】といっても魔導書を使ってカタログから好きな物を選んで項目を埋めていくだけ、
大きさ・色・配置その他諸々を全て魔導書で行えてとっても楽チンです。
ゲーム感覚でドンドン選んでポンポン設置。こだわりがあればもっと時間が掛かるのでしょうが、各部屋のコンセプトは大体決まっているのですんなりと決まっていきます。
和風の自室の完成です。
基本、休む為だけの部屋ですしこんなものですね。
洋風の物ばかり見る世界ですが、和風の家具・天井・壁・その他もちゃんとありました。恐らく私の補正なのでしょう。畳があった事が個人的には一番うれしいですね。
家具の選択や配置はもちろん図書館で確認しながら配置していったので落ち着きある感じになったと思っています。
少し広めに作ったのでお客様が来られても大丈夫です。
来られてもリーズお嬢様くらいでしょうし。
さて、次は調合室です。
調合室は学校の理科室とか実験室の様な感じです。
部屋に机だけと殺風景な感じでしたが調合器具を置いてみるとそれらしくなりました。
素材と器具の保管用に大型のアイテムボックスが必要ですね。後で買いに行くことにしましょう。
キッチンも作っておきます。
部屋から直ぐに移動できるところにあると便利ですからね。
お菓子や個人的なお料理はここで作るようにしましょう。
調理器具をポイントで出せないのでこれも後で買ってきましょう。向こうで使われていた便利な調理器具は少しずつ調べて作っていけば料理も楽にできるようになりますね。
ここまでほぼ1時間くらいです。
自室50分、その他10分くらいで物凄く適当に決めていっています。
しかし、今回の増築。ここからが本番です。
何を作るかと言えばお風呂です!そう、お・風・呂です。
大事なので2回言いました。
いつもは一番最後に入っているのですが、やはり精神的に落ち着かないのでこの機会に自分用のお風呂を作ってしまおうと思ったのです。
しかも、調子にのって室内・露天の2種類作ろうと思います。
ポイントが大変なことになりそうですが、国王様が本当にたくさんポイントをくださったので妥協無しで作っていきます。
といっても図書館で調べてサンプルのコピーになってしまうのですが・・・・・
それでも自分の理想のお風呂を作っていきます。
コピーだからと気にする必要は無いのです。私はデザインのお仕事をしているわけではないのです、良いと思ったものを真似るのです。
お嬢様に見られて入りたいと言われてもいいように最初から男女両方作っておくのです。
これで私は気にせずゆっくりとお風呂を堪能できるのです。
室内は全体をヒノキで作ったヒノキ風呂。
露天風呂は岩をメインにおいて日本の木なども設置して雰囲気を出していきます。
一度旅行で行ったときに気持ちのよかった寝湯とサウナも設置、残念ながら温泉は無かったので温めた普通の水となりました。
ここまであって温泉が無い・・・解せぬ。
風景もオプションでランダムというモノがあり、選択してみると絶景の風景が数時間ごとにランダムで入れ替わるとのこと、飽きが来ないというのは嬉しいですね。
この風景はどうやって表示?しているのかしら???
同じものを男女用に2つ作って完成!
ちなみに、露天風呂は湯舟自体は繋がっています。
あまり分けすぎると掃除が大変ですからね、掃除するのも自分ですしできるだけまとめないと。
そうだ、昨日ウンディーネ様にいただいたアイテムもここに設置しておきましょう。
水宝玉というアイテムで、宝玉は水質をとくても良くしてくれるアイテムです。
脱衣所の前に共用のくつろぎスペースを設置、これで1日の疲れを癒すことのできる空間の完成です。
ふむ、なかなかの出来ではないでしょうか?コピーばかりですが・・・・
それにしてもこの浴場だけでかなりの面積を使っているのですが大丈夫なのでしょうか?
魔法に対して突っ込んだら負けなのでしょうか。
『あらあら。素敵な水場ですね。』
「はい。気合を入れて作ましたので・・・・・」
声がしたので振り返ってみるとそこにはウンディーネ様がいらっしゃいました。
あれー?おかしいですね。ココは魔法で作り出された空間で、ある意味別世界のはずなのですが普通にウンディーネ様がおられますよ?
「あの、どうしてココに?」
『あなたが水場を作っているのが分かったから来てみたのよー。』
「ここって別空間ですよね?」
『世界中に存在する精霊にそんなこと関係無いわよー?』
「そ、そうですか」
『それにしても。ココは何だか落ち着くわ。うーん。違うわね。あなたの傍が落ち着くのかしら?』
「私の傍ですか?」
『ええ。何というか。そうねー。存在がしやすいというか。干渉しやすいというか・・・』
「あ、何となくですが分かりました」
え、何ですかソレ!?私何もしていませんよ?マイナスイオンとかそんなものも出ませんよ、普通の人ですよ?
『とにかく。私は落ち着けるのよ。』
「そうですか」
『そうなのよ。しばらく居させてもらうわね。』
「へ!?」
まさかの居候宣言!?え?どうすればいいのですか私。精霊様の対応の仕方なんて知りませんよ?
『大丈夫よー。私が勝手に居るだけだから気にしなくっていいわ。』
気になります。
『別にずっと居るわけではないわ。人間でいうお家みたいな感じかしら?そう。お昼間は仕事に言って夕方には帰って来るみたいな・・・・』
毎日ココに帰ってこられると・・・私の心労がマッハですよ。
『あ。お家賃もちゃーんと払うから。』
手をポンと合わせる感じで可愛く言ってこられるウンディーネ様。
「お家賃?」
『ええ。この空間・・・ううん。この寮で使うお水は全部私が管理してあげる。あ。でも一つだけお願いがあるの。』
「お願い・・・・」
『お水は精霊水でいいかしら?普通のお水って一度変換しなくちゃいけないから地味にメンドウなのよ。』
「ブッ!?」
思わず吹いてしまいましたよ!普通の水にするのメンドウだから精霊水ねって・・・・・
『うふふ。よろしくね。』
そう言いながら湯舟に精霊水(お湯ver)を満たしていくウンディーネ様。早速有言実行されています。
「ただいまー」
あ、どうやらリーズお嬢様が帰ってこられたみたいですね。
「へー、クロが部屋作ったんかー。これは見せてもらわなアカンなー」
「あの子どんな部屋作ったのかしら?」
「ねえ、部屋がいくつもあるけど、どれかな?」
「クロー、どこー?」
お嬢様方がわいわい言いながら入ってこられたので、
「あ、こっちです。リーズお嬢様ー」
あ、思わず反射的に返事をしてしまいました。ウンディーネ様の事をどう説明しましょう・・・・。
そう思って考えているとお嬢様方が入ってこられました。
「あ、お帰りなさいませ、リーズお嬢さま!?」
「ただいま。どうしたのよ?クロ」
「どうしたじゃあないですよ!何で皆さんタオル1枚何ですか!!」
「何でって、ココはお風呂でしょ?お風呂に入るんなら当然じゃない?」
「ひゃー、こりゃあまた派手にやったなー。どんだけポイント使ってん、ていうか持っててん」
「ねえねえ、向こうにもお風呂あるよー!しかも外に居るみたいになってる!!景色凄い!!!」
「木の匂いが良い感じー、これじゃあ寮のお風呂入れないね」
「湯加減もちょうどいいよー」
キャッキャと思い思いの感想を言っているお嬢様方。
ええ、確かに一度は見せろとせがまれてその流れでそのまま使われるかもと思ってこんなにしましたが入浴前提で入ってこられますか・・・・・。
「あの、私、男なんですけど・・・」
「クロちゃんは一流のメイド!一流のメイドはそんなこと気にしません!」
即座にそんな意味の分からない返答をされるお嬢様。
私は一般人です。お年頃なので物凄く気になります。
「ええやん、役得、役得。今夜使ってもいいんやで?」
「メイサ何に使うの?」
「それは、なぁ?」
ニマニマとコチラを見て笑っているメイサお嬢様。
「しかし、ここまで凄いのは王宮にだって無いぞ。まあ、私が作った物と雰囲気が全然違うから君の居た世界の物を参考にしたのだろうが、コレは凄いな。ココの生徒がうらやましいよ」
平然といつものように混ざっている学園長。当然、タオル1枚です。
「ハァ・・・・」
『苦労しているのね。』
同情してくださるウンディーネ様。
もう、ドウニデモナッテクダサイ。疲れました。
「それで、ソコに一緒に居る美人は誰だい?」
分かっているのに聞いてこられる学園長。
ソレでようやく気が付いてコチラに集まってくるお嬢様方。
「え?あの人、人間じゃないよね?」
「全身水だよね?」
「え?もしかして・・・・」
「・・・・」
『どうもー。初めまして。私は精霊のウンディーネです。私はココが気に入ったのでココに居ることにしました。』
「「「へ!?」」」
意味が分からないといった感じでコチラを見られるお嬢様方、私だって分かりませんよ。
『あ。ココに居させてもらう代わりに。この寮のお水は全部私が管理してあげるから任せてね。』
「「「え!?」」」
『ただ。お水は全部精霊水になるの。ゴメンね。』
「「「ええーーーーー!?」」」
もう、叫ぶことしかできないお嬢様方。
そうですよね、精霊様がいきなり居ついて、水の管理までしてくれて、おまけにその水がとっても貴重な精霊水なのですから・・・・
「クロ、良かったね?これで君は上級なポーションを作りたい放題だ」
「はい・・・嬉しい限りです」
出るなら血の涙を流したい状態です。
普通ならこれ以上の幸運は無いと言われるはずですが、私の心のライフポイントはもう0です。
精霊水で回復するんですかね?心のライフポイント・・・
『あ。クロちゃん。』
「はい、何でしょうか?ウンディーネ様」
『私。お友達にもココを紹介したいから。皆連れてくるね。』
「え?ちょっと待ってください。ウンディーネ様!?」
言いたいことを言って直ぐにどこかへ行ってしまわれたウンディーネ様。
言われている通り、大精霊様は人には制御できないらしい。
「ねえ、クロ。今、ウンディーネ様・・・・」
「言わないでください。リーズお嬢様。私ももう、限界です・・・・」
「なあ、ウチ等どないしたらええ?」
「お風呂をゆっくりと満喫してください。学園長もご一緒にどうぞ」
「悪いね」
「いえ、もう、精霊様と比べたら人間の偉い人なんて・・・・」
「・・・そうだな」
「国王様に、報告に行ってきます。お嬢様。お夕飯、遅くなるかもしれません」
「わ、分かったわ・・・・いってらっしゃい・・・・」
皆さん、何か言いたそうな顔をされていますが、私が余程酷い顔と声をしていたのでしょう。疑問をグッと飲み込んで私を送り出してくださいました。




