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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
29/211

29ページ目 王様とお夕食

「遅くなりましてすみません」

そう言いながら、私は手伝ってくれている料理人と一緒に配膳していきます。

新人の方は少し緊張した様子で大臣たちに配っていきます。

私は被害者(メイン)なので、王族の方とお嬢様に配ります。


「それでは、蓋を開けて下さい。」

「ほう・・・」

「おいしそうね」

「まんまるー」

王様たちの反応は上々です。

「ナイフで1口サイズに切って、このタレを付けて食べてみてください。好みが分からなかったので、2種類用意しました」


「何だ!この料理は!!」

私が説明をしていると1人の大臣が叫びました。

「肉をグチャグチャにしてまとめるなど、まるで残飯ではないか!貴様、我々だけでなく国王様にこの様な

料理をお出しするとはどういうことだ!!」

まあ、間違ってはいませんよね。ミンチですから、お肉はグチャグチャです。しかし決して残飯などではありません。

ココに持ってくる前に試食をして、ミラノ様にOKはいただいています。

「しかも、美しさの欠片もない」

食材の配置?素人の料理に何を求めているのですか、この大臣たちは。

そんなことを思っていると

「おいしー」

イローナ姫が大臣の文句を吹き飛ばすくらい大きな声で感想を言ってくれました。

「メリッサ。これ、おいしいよ。はい!」

イローナ姫はお付きのメイドさんにハンバーグを差し出しています。

「申し訳ございません、姫様。私が姫様のお夕食をいただくわけにはまいりません。」

「だめなの?」

メリッサ様の分は無いのかという表情で私を見つめる姫様。

「大丈夫ですよ、姫様。後でメリッサ様にもお渡ししますので。さ、冷めないうちにどうぞ」

「うん!」

パァっと顔を明るくしてハンバーグを食べ始める姫様。

お嬢様もカリン様も美味しそうに感想を言いながら食べて下さっているので私としては大変満足です。

国王様、カティ様、そして最初は少し躊躇っておられたお嬢様のお父様も美味しそうに食べてくれています。

周りの大臣の非難?ミラノ様にそういう方と聞いているので特に何も思いませんね。


「この白い物は何?」

「はい、それはマッシュポテトと言います。カティ様」

「マッシュポテト?」

「じゃがいもを使った料理です」

「貴様!毒物を平然と出すとは・・・」

「毒の無い部分を使っていますので大丈夫です。」

「毒の無い部分?」

「はい、じゃがいもは芽の部分と変色した部分に毒がありますのでソレ以外の部分を使って料理しました」

大臣の言葉は予想通りなので被せて遮ってしまいます。

どんな理由であれ、王族の方にお出しする料理なのですからその辺りは十分に注意すると思わないのでしょうか?


「うさぎさ~ん」

「あら、イローナにはウサギさんが入っているのね。これは?」

「それはニンジンです。姫様にはそちらの方が食べやすいかと思いまして」

「にんじん、や~」

難色を示される姫様。

大臣が何か言いだす前に姫様に聞いてみます。

「ニンジンの何が嫌いなのですか?」

「えっとね、かたくてにがいの」

なるほど、確かニンジンは味が染みていないと小さい子には苦いかもしれませんね。

「姫様、今日は姫様にも食べやすいように柔らかく美味しく料理してあるので、1口だけでも食べていただけませんか?美味しくなければ直ぐにペってしてもらって構いませんので」

「う~~」

ニンジンとにらめっこをする姫様。

1口食べていただければ大丈夫だと思うのですが・・・

思案していると

「イローナ。お肉・・・ハンバーグは美味しかったか?」

「うん!」

「ポテトはどうだった?」

「おいしかった!」

「なら、そのニンジンも美味しいはずだ。食べてみなさい」


なんと国王様が助け舟を出しくださいました。

姫様はニンジンを恐る恐るといった感じで少しかじられました。

うさちゃんの片耳が・・・

そのまま何度か咀嚼され、

「やわらかくておいしい!」

そう言って残りのニンジンも全部食べていただけました。

姫様、ハンバーグ完食!

さすがに他の方よりは少なく作ったのですが、まさか完食されるとは思っていませんでした。

ポテトとか結構お腹に溜まりますし、残されるかと思ったのですが・・・・

「もうないの?」

おかわりを要求されました・・・・。

「うふふ。なら、私の分を食べなさい」

「おかあさま。ありがとう」

カティ様からお皿をもらうとそのまま食べ出しました、食欲凄いですね。


「それで、お前たちは何故蓋も取っていないんだ?」

国王様が大臣に質問されます。

「いえ、我々は・・・」

「なんだ、お前たちは国王である俺やカティ、それにいつも料理人を困らせているイローナが美味いと言っているのに1口も口にしないのか?俺の国の重鎮は礼儀知らずばかりだと思わせたいのか?」

国王様の脅しに大臣たちは渋々といった様子で蓋を取り、ナイフで切り分けていきます。

やはり、蓋をしていて正解でした。温かい状態で食べた方が美味しいですからね。


1口食べた大臣は一瞬止まったかと思うと一気に掻き込んで食べてしまいました。

食べてもらえたのは嬉しいですが、行儀が悪いですよ?国王様の前ですよ?イローナ姫の教育に悪いですよ?


「美味い!なんだコレは!おかわりだ!!!」

「ありません」

「何故だ!」

「人数分しか作っていないからです」

「これほど美味い物のおかわりが無いだと!?ふざけるな!」

そっちこそふざけるな!です。

今さっきまでボロクソに非難していましたよね?

残飯とか言いましたよね?

変わり身が早すぎやしませんか?


「ねえ、クロ。いつものはあるの?」

お嬢様はお腹が膨れて緊張が緩んだのか、大臣の話に割り込んでそんな事を聞いてきます。

ココは寮ではないですよ?国王様の前ですよ?

「【いつもの】とは何だ?」

そして興味を持たれる国王様。

いえ、用意はしてあるのですけどもね?

「少し待ってください」

そう言って料理を運んできたカートの上に小型の冷蔵庫を出します。

小さくて持ち運び可能!アイテムボックスなので量も入ります。

私のお小遣いで買った必殺アイテムです。

取り出したのは【ゼリー】です。

スプーンと一緒に皆様の前に置いていきます。

「何だコレは?スライムか?」

まじめに聞いてこられる国王様。

「スライムをご所望なら、今度捕獲して持ってきましょうか?」

食べれるんでしょうか?スライム。

まだこの世界でスライムを見たことは無いですが、やはりゼリー状なのでしょうか?

「いや、スマン。止めてくれ。で、コレは何という食べ物だ?」

「これはゼリーという食べ物です。国王様に言われるまでスライムみたいだとは思いませんでしたね。

この透明のプルプルした物はある薬草?を加工して作ります。中身の固形物は市場で買った果物です」

「あまいよー」

もう食べ始めている姫様。

国王様がモンスターかと聞いていたのに構わず食べますか・・・。

「ふふ。本当、甘くて美味しいわね」

「触感が独特だな」

大臣たちもハンバーグの件があるので文句なく食べてくださり、高評価を頂けました。

おかわりを欲しそうな顔でコチラを見ますが当然ありません。

というか、寮の皆様の分なのですよ!そのゼリー。


最後にコーヒーもどきを出だしして私のメニューは終了となりました。

姫様も同じものが欲しいとごねられたので、ミルクと蜂蜜を入れたコーヒーとは言えない何かをお出ししました。

これくらいしないと姫様には苦いでしょうしね。お嬢様?何飲んでみたそうにコチラを見ているのです?

分かりました、帰ったらお出ししますね。


コーヒーを飲みんで落ち着きながら国王様が

「リーズ・エライン。お前はいつもこんな料理を食べているのか?」

「はい、ご飯はクロが作ってくれますので」

「王族でも食べたことのない食事を毎食だなんて、贅沢ね」

「うぇ!?」

「確かに、このレベルの料理を毎食とは許せませんな」

大臣が冗談めかして言うのですがお嬢様はそれどころではなく、あわあわとしています。

「大臣様のご冗談ですよ、お嬢様」

私の発言で良かった~と安堵するお嬢様を見て笑う大臣たち。

最初は非難されてムっと来ましたが、今はそうでもありません。


「それじゃあ、皆一致で料理はおいしかったということでいいわね?」

急にそんなことを聞かれるカティ様。

「ええ、この料理なら文句無しですな。いやはや、食べもせずに非難した自分が恥ずかしい」

「なら、あなたたちもイヴァンと一緒に磔で良いわね?」

「「え?」」

一瞬でその場が凍り付きます。

「だって、私言ったじゃない。美味しかったら磔って」

「それはそうですが・・・・」

「最近、あなたたちの仕事が少し滞っていたからいい機会ね?」

「「はい・・・」」

死刑宣告はすまされたようです。

さっきまで談笑していたのに、今はお通夜の様です。

国王様は仲間が出来て嬉しそうです。


「学園長。私の料理はどうでしたか?」

「ああ、とても美味しくいただけたよ」

「それは良かったです」

「「は?学園長?」」

大臣の皆さんが国王様と、カティ様以外が驚いてコチラを見ます

「あ・・・・」

やってしまいました、私は分かっていたのでつい寮でおもてなしするときの感覚で話してしまいました。

「何だクロ、お前は気が付いていたのか」

「ええ、まあ、一応・・・・」

しどろもどろにしか返せません。

リーズお嬢様も驚いた顔のまま固まっています、面白いですね。


「さて、大臣諸君。私に何か言いたいことがあるそうだが、折角の機会だ。聞いてやるから全て言うと良い」

プレッシャーをまき散らす笑顔で大臣たちに質問される学園長。

大臣たちはガクブルですが、私は悪くないですよ?

「そういえば君は私の事をチビ婆と言っていたね?ん?」

大臣に逃げ場所なんて無かった。

自分たちの暴言を全て本人に聞かれていたのだから。

「カティ、磔の前に私が少し躾をし直しても構わないね?」

「ええ、しっかり躾てちょうだい」

女王様が快諾し、大臣たちは殺されてから、更に殺されるような状態となりました。


後日、大臣たちがどう躾けられたのか私は知らない、知らない方が良いと思います。

世の中知らない方が幸せなことがたくさんあるのです。

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