28ページ目 王様の質問 リーズ視点
クロが料理長と一緒に部屋を出ていった。
そのあとすぐに私たちも場所を食堂へ移すことになった。
カリンは国王様と何やら話している。
緊張はしているようだが淀みなく答えているのが凄い!
「リーズ」
「お父様!」
「大丈夫か?リーズ?話は聞いたがやはり心配でな」
「大丈夫です。お父様。クロが守ってくれたから」
「そうか」
「あの・・・お母様は・・・?」
「遠征討伐中だ。そうでなかったらもう一波乱はあった」
「・・・よかった」
親が遠征に言っているのを聞いて良かったと思うのもどうかと思うが、良かったという他ない。
お母さまはこの国でもトップレベルの実力者だ、私たちではどうにもできない。
周りを見ると大臣たちがニヤニヤと笑いながらコチラを見ている。
何故笑っているのかは分からないが気分は悪くなった。
食堂へ着き私たちは指定された場所に座った。が、すぐ隣に女王様が居る・・・。
他の偉そうな大臣たちが自分より下座になっている・・・・。
大臣たちの顔が怖い・・・・・。
ヤバい、ポンポン痛くなってきた。
「気にするな、これは詫びなのだからな。まあ、作るのはお前の使い魔だが・・・・」
気にするなって言われても無理だ。
私は落ちこぼれでこんなところに来るなんて夢にも思っていなかったからマナーなんて勉強していない。
私が失敗してお父様に迷惑かけたらどうしよう・・・・
「そんなに緊張しないで普通にしていればいいのよ?もし何かあっても私が庇ってあげるから」
「は、ははい。お、お願いし・・・あああありがとうございます」
女王様の庇ってあげる発言で大臣の目が更に険しくなった!?
そうだよね。無名の中等部の学生に女王様が庇ってあげるなんて言えばそうなるよね?
私の精神的HPはドンドン削られていく、まるで猛毒の沼の中にいる様だ。解毒剤は、存在しない。
「ところで、リーズ・エライン」
「ひゃ、ひゃい!」
「あなた、リーズちゃんが驚いているわよ?」
「む、スマン。して、あの使い魔は何なのだ?」
「へ?」
意味が分からない。クロはクロでわたしの使い魔だ。
「人型の使い魔は、まあ珍しいが問題ないとしてあの強さだ。どんなスキルを持っているんだ?」
「は、はい。普通の、スキル、だけかと・・・」
ユニークスキル”無限進化”はさすがに伏せたけれど、それ以外は本当にコモンスキルばかりだ、しかも私たちが寮の管理まで押し付けているのでやたら家庭的なモノが多い。
そして、私が知らない間に結構スキルを取得している。いつの間にしたのよ?
「あなた、個人のスキルの詮索はマナー違反よ?特に騎士や冒険者にとっては命綱なのはあなたが一番わかっているでしょう?」
「そうだが、【看破】を持つお前の言う事ではないな」
「あら?おかげで色々助かったでしょう?」
「まあ、そうだが・・・」
王女様は看破を持っていらっしゃるのか、私もあった方が良いかしら?
「私が見た限りでは、お洗濯とかお料理とかお掃除とかそんなものばかりだったわよ?」
「は?それであの戦闘力は意味が分からんぞ?」
コチラを見てくる国王様、クロは人に言うなと言ったけれど、国王様になら問題ないわよね?
というか、仕方ないわよね?
「クロはクラスに【シーフ】と【錬金術師】を持っていますので・・・」
「武器の作製と近づく前にバレたのはまあ、納得いくが・・・・」
「何か問題でもあったの?」
「アイツの使った剣。俺のミスリルソードをバターみたいに斬りやがったんだ。ドワーフ謹製の逸品をだぞ?」
ザワッ!
周りの大臣たちが動揺する。
「ドワーフ謹製の剣がそう簡単に折れるわけが・・・」
「事実だ。その場で、何もない空間から抜き出しやがった。アレは【オメガ】ではないかと俺は睨んでいる」
ザワザワ・・・
更に動揺し始める大臣たち。
【オメガ】私だって知っている。
騎士・冒険者の最高実力者の切り札。最高ランクになる為には習得が必須と言われているユニークスキルであり個人武装。
使えるだけでどこにだって仕官できる。最高のステータス。
この国に優秀な騎士・冒険者はたくさんいても扱える人は数えられるほどしかいない。
それをクロが?
主人権限でクロのグリモアを確認する。
そこには、【オメガ】のスキルなんて無かった。
当然の事なのだけれど、私は少し落ち込んだ。
「どうしたの?リーズちゃん?」
「今確認したのですが、【オメガ】のスキルは無かったので」
「まだ定着していないのかしらね?」
【オメガ】は完全に扱えるまで何度も発現させ、慣れなければスキルとして魔導書に現れないそうだ。
「アレで通常のスキルだという方が俺は困るぞ」
「もし【オメガ】だったとしても違ったとしても、将来有望ね」
「ああ、違ったら本当に化け物だよ」
クロは分からないことが多い、いつも弱いからと何重にも嘘をついている。
この話をクロが聞いたらきっと”そういうこと”にするだろうと思った。
「で、お前は何か無いのか?リーズ・エライン」
「へ?わ、私ですか???」
「そうだ。あいつを呼べたんだ、お前にも何かあるんじゃないかと思ってな」
「い、いえ。私は本当に何も無くて」
「そうか。では、1つ言っておいてやろう。お前にあの剣は大きすぎて重すぎだ。もっと小さくて軽い片手剣にするべきだな」
「それは・・・」
「命令ではない、俺の個人的な意見だ。何ならお前の優秀な使い魔に相談するといいだろう。何かやってくれるかもしれんぞ?」
面白そうにそういう国王様。
確かにクロも私には今の武器は合わないと言っていた。
元騎士で今でもトップクラスの実力を持つ国王様にいただいた助言だ。帰って考えてみよう。
「それで、アイツの料理は美味いのか?」
今までの国王然とした雰囲気から一転。少しそわそわしながらそんなことを聞かれた。
「あなた、がっつき過ぎですよ?」
「仕方ないだろう。俺の楽しみなんて食事くらいだ」
「そうですね、これから磔ですからね」
「言うなよ、考えないようにしていたのに。で?どうなんだ?味の方は?」
「え、えっと寮の皆は満足している、と思います」
「ほう、それは期待できるな」
「国王様。満足していると言っても彼女の主観であり、本当に満足しているかは分かりません、あまり期待しない方がよろしいですぞ」
「全くその通り。本人も言っていたではないですか味に自信が無いと。過度の期待はしない方がよろしいかと」
何なのこの大臣たち、食べてもいないのにクロの料理をバカにして!
アンタたちだって自分で料理できないでしょう。
私は心の中で悪態をつく。
「おやおや、今の我々の発言でエライン候の娘さんは気を悪くされたらしい。」
「まったく、常に最高の料理を食べている我々が美味いと思うような料理をあんなメイドが出せるはずが無いですからな。ハッハッハ」
!しまった、顔に出ていた。クロなら相手に悟らせずに涼しい顔をしているのだろうに・・・。
「あら?それならもし美味しければあなたたちも磔の刑をやってみる?」
「女王様、それは賭けになりませぬ。あのメイドの料理が美味いはずが無いですからな」
「なら、美味しければ磔でいいのね?」
「ええ、磔でも何でもやって見せましょう」
大臣たちはそう言ってまた好き放題言いだした。
女王様は余裕の表情で微笑んでいる。
「かあさま、おりょうり、おいしくないの?」
「そんなことないわよー、きっと、あなたの為にうんと美味しい料理を作ってくれるわ」
「わーい、おいしいおりょうりー」
イローナ様は無邪気に喜んでいる、何だかホッとするわ。
「リーズ、本当に大丈夫なのか?」
お父様が心配そうに聞いてきます。
お父様もクロの事は何も知らないから不安なんだと思う。
私もうまく説明できないから「大丈夫よ」としかいうことが出来ない。
「彼女の料理は食べたことが無いし、私も楽しみだな」
カリン!しまった。今まで何もしゃべらないで聞くだけだったから居るの忘れていたわ。
「リーズ、君はまさか私の事を忘れていたのかい?」
「えっと、あははは」
乾いた笑いしか出ない。
「私は今回、完全に部外者の様なものだからね、大人しくしていたんだ。別に気にしないさ」
「ハハハハハ、仲間のおかげでずいぶんと美味い目を見る事ができた生徒もいるようですな?」
「全くだ、私も何か旨い目に会いたいよ」
この人たちは誰かを貶めないと会話ができないのだろうか?
さっきからずっと誰かの悪口を言っている。
「ああ、そうそう。カリンと言えばセルグリンド学園の学園長もカリンという名前でしたな」
「ええ、あのチビ婆、我々の要求も再三無視しおって今度会ったらガツンと言って身の丈の違いというものを教えてやりましょうぞ!」
「ははははは、それは良い!!」
もう嫌だ、同じ空間に居たくない。
国王様も女王様も何故何も言わないのだろうか?
国王様は少しニヤニヤとして女王様はさっきと同じ微笑みをしているだけだ。
お2人はこの大臣たちとは違うと思っていたのに・・・・
バタンと扉が開いた。
「皆様、お待たせしました。料理をお持ちしました」
クロが数人の料理人と一緒に食堂へ入ってきた。




