表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
25/211

25ページ目 森の中の襲撃者

「すみません、ウンディーネ様。どうやらここ(精霊の泉)で戦闘になってしまいそうです」

『では、私もお手伝いしましょうか?』

「ウンディーネ様の存在が公になってしまいますので控えられた方が良いですね」

「襲撃者くらい、私たちで撃退してやるわ!!ね、カリン!クロ!」

「ああ!」

「いえ、はっきり言って今の私たちでは無理だと思います。」

「え!?ちょっとどうするのよ!」

「どうもこうもないです。どうにか切り抜けないと危険。それだけです」

「私たちが標的でない可能性は?」

「標的でないのならわざわざ森の中を突っ切ってこないだろう、覚悟を決めるか」

「え?ちょっと私どうしたらいいの???」

「お嬢様はご自分の身を守ることを最優先にしてください、撃退はカリン様と私で!」

『では、私は泉の中から応援していますね』

そう話している間にもものすごい勢いでコチラへ向かって来るナニカ。


お嬢様とカリン様は後ろに下がってもらい私が前で防御姿勢を取ります。

「来ます!!!」

そのまま真っ直ぐ突撃してくかと思えば急に進路を変え、リーズお嬢様目掛けて強襲をしてきました。

「お嬢様!!!」「くっ!!」

移動速度を落とさないままの進路の急変更って、どんな化け物ですか!!!


ガキン!!!


何とかお嬢様の前に入りこめたのは良いですが相手の勢いを殺すことは出来ず吹き飛ばされる私。

勢いを殺すことが出来なかった所為で体が思うように動きません。

「ガッ!!」

顔を上げるとカリン様も別の方向へ吹き飛ばされてしまったようです。

「リーズお嬢様逃げて下さい!」

お嬢様は呆気にとられて動けないようです


「ふん、話ではできると聞いていたがこの程度か・・・」

襲撃者が何やら話し出しました。

年は40前半くらいでしょうか?がっしりとした体つきで軽装にロングソードが1本。

油断なくコチラを睨んでいます。

「ほれ、小娘。おまえはどうする?」

「!う、うわああぁぁぁ」

不用意に切りかかっていくお嬢様、もちろんそんな攻撃が通じるはずもなく、


キン!


あっさりと弾き飛ばされてしまいます。

「駆け出しなのは分かるが、これほど歯ごたえが無いとはな・・・・」

「こ、この!この!!」


キン!キン!キン!


思案顔で攻撃をはじき続ける襲撃者。独り言を聞いている感じですとコチラの事を知っているようですが・・・

このまま飽きて帰ってもらえないかと思っていた矢先、


「つまらんな、折角こんな森の中まで試しに来たのだ。期待外れだった罰に貴様の抱き心地でも試していくかな・・・・」


「ひっ!こ、来ないで!!!」

精一杯抵抗するもあっさりと武器をはじかれ押し倒されるお嬢様。

もう、恐怖一色に染まってしまい碌に抵抗もできない状態になってしまっています。

「急におとなしくなったな、まいい。まずは、上からだ」

ビリビリ

襲撃者がお嬢様の服を破いた瞬間、私の中の何かも一緒に千切れ去った。



殺す!



今までに自分でも感じたことのない明確な相手への殺意が自分の中で渦巻いた。

自分の中の全てが襲撃者を排除する為に蠢きだす。

向こう(日本)ではケンカなどした事も無く、荒事が起きそうな時は直ぐに別の場所へ避難し推移を見守ることしかできなかった。

アニメを見ても、自分は抵抗すらできずに消えていくモブだと思っていた。

そして、自分がその場面(シーン)に立ち会った、逃げ出すことのできない状態で・・・。


使い魔(ファミリア)契約どうこうも関係無く、俺はただただ望んだ。


【アイツを排除する力を!アイツを消す力を!アイツを殺す力を!!!】


武器(殺す力)は初撃で潰された、ならば創り直せば良い。俺は錬成師だアイテムの生成はお手の物だ。

動かなかった体も、激昂によってアドレナリンが大量に分泌されているのか今は問題なく動く。

相手の力量が分からない、知った事か!!!


咄嗟に錬金術でお嬢様の周りに土の杭を作り襲撃者を引きはがし、そのままお嬢様と襲撃者との間に割って入る。

「クロ・・・・」

飛び退いた襲撃者は獰猛な笑みを浮かべコチラを見ている。

頭の中では物凄い音でアラームの様な音が鳴り響いている。恐らくスキル進化の確認の為だろう

「ほう、お前が俺と遊んで(戦って)くれるのか、武器も無いお前が」


この状況を打破する為だ、どんなデメリットだって受け入れてやる。

意識を内面へ向ける。そこには【日本への帰還の不可】と表示されている。

はは、何だ、向こうへ帰る方法はあったのか。

自分の中に帰りたいという思いが強くあったのかは分からないが、そんなこと(帰還不可)がデメリットなら何の問題もない。安すぎるくらいだ。

「それとも先に欲しくなったのか」


迷わず、躊躇わず、ありったけの意思を込めてスキル【錬金術師】を進化させる。

自分の意志(ワガママ)を通せる力を手に入れる為に。

そう、それはお嬢様が()に望んだ力。

どんなモノでも打ち破ることのできる力。向こうではチートと呼ばれるお約束。

「ま、俺は2,3人くらい問題ないぞ?」


神殿の神官、エリザ様は意志の力が強ければ強いほど強い力が現れると言っていた。

イシノチカラ?

それならば今の私が負ける気がしない。相手への殺意が留まるところを知らない。

自然と両手が前にでる。

「なんだやる気か。魔法か?」


私は両手をゆっくりと広げていく。そう、刀を目の前で抜いていくように。

図書館(アカシックレコード)】、【錬金術】の同時使用で武器を創り上げていく。

日本刀の鍛錬の知識で基本構造を確定し、ゲームやアニメその他諸々の情報源で武器の強度(存在)を補強し、相手を殺すという殺意で切れ味を研ぎ澄ます。

今なら体が剣で出来ている人にだってなれそうだ。


魔力が物凄い勢いで減っていくのが分かる。

もう立っていられないくらいになっている。魔力がもう無いのなら周りからもらえばいい。

盗賊のクラスだって持っている。もらえない(盗めない)はずが無い。

しかし、回復は追いつかない。

効果の範囲が狭いのか、魔力の濃度が薄いのか追いついていない。

メンドウだ。もう、この戦いの間だけ持てばいい。体の悲鳴を無視して錬成を仕上げる。


虚空より振り抜いたのは1振りの日本刀。

ドス黒い感情の所為か刀身は真っ黒だ。

スキルを使って基礎情報を得たものの、ほとんどが自分のイメージで創られたマガイモノ。

日本刀の形をした私の殺意の塊。

この(殺意)で、強襲者を斬る!


「おもしろい」

強襲者は武器を構え、魔力を纏う。

斬り合い?出来ると思うなよ?オマエはそのまま斬られるだけだ。

強襲者の魔力を強奪(ロブ)する。

「!?」

水魔法の応用で相手の足元を凍らせる。

「クソ!」


ヒュン


ふらつく体で駆け出し切りかかったが拘束が弱かったのか足元の氷が割れ、避けられて剣を斬ることしかできなかった。

「なんだ!その剣は!!!」

教えてやる義理は無い。

逃げられるのも厄介だ、幸い強襲者は膝を着いているのでそのまま全体を拘束する。

コレデニゲラレナイ。


刀を振り上げた瞬間、後ろから誰かに抱きしめられた。

誰だ?索敵(サーチ)は切っていない、近づいてきたらすぐに分かったはずだ。

他にも近くに反応はあったけれどまだまだ距離があったはず。

後ろを確認するとそこにはお嬢様の顔がありました。

涙に濡れて顔はクシャクシャです。

「もう、いいの・・・」

「何故止められるのですか。お嬢様」

自分でも酷く冷たい声になっているのが分かる。

これはいけません。お嬢様に心配をお掛けしては!さっさとコイツを処分していつもの自分に戻りましょう。

「やめて!今状態でその人を殺したらクロが帰ってこなくなっちゃう気がするの!だから止めて!!!」

「お嬢様・・・」

「私は大丈夫だから・・・だから・・・お願い」

「!?」


強制的に殺意が無くなっていく感じがします。

これはお嬢様の強い意志による命令なのでしょう。

しかし、いくらお嬢様の命令といえ、私も納得が出来ません。

お嬢様の命令を聞き、私も納得できる方法・・・・・


「申し訳ございませんお嬢様・・・。いくらお嬢様の命令(お願い)でも、ソレ(攻撃中止)を聞くことは出来ません・・・・。」

「クロ・・・・ヤメテ!!!」

「! クロ、待て!!!」

お嬢様の必死のお願いも、コチラを見ているだけだったカリン様の静止も全て無視して、刀に錬金術をかけながら振り上げていた刀をそのまま思い切り叫びながら振り下ろしました。





「メーーーーン!!!!!!」

ベチーーン!!!

「ガハァ・・・!?」


森中に私の叫び声と叩きつけた竹刀の音が響きました。

「へ???」

「は???」

ガク・・・・・

意味が分からないといった顔で私を見ているお2人。

拘束されたまま気を失った襲撃者。

スッキリした顔の私。

微妙な空気が辺りを包みました。


「クロ・・・・何をしたの?」

「まずはこれを着て下さい。」

お嬢様に買えの服をお渡しします、年頃の女の娘が破けた服のままというのはいけません。

「ありがと。それで?」

「お嬢様が必死に命令(お願い)されるので、私の中で妥協案を探した結果こうなりました」

「剣で頭を斬って何故無事なのだ?いや、気絶はしているようだが・・・・精神攻撃用の武器か?」

「いえ、見てもらった方が早いですね」

そう言って刀を見せます。

「「これは?」」

「はい、竹刀と言って私の居た所(日本)の練習用の剣です。当たり所によってはこれでも十分に危険ですが、真剣で斬るよりは遥かに安全です」

「それはそうだが、しかし・・・」

「お嬢様に乱暴してそのままなんて私は許しません。まだまだ足りないのをコレで我慢したのですから」

「この人、大丈夫なの???」

「命に別状はありません。ステータスチェックも行いましたが、気絶が入っているだけです。やはり素人ではこんなものですか・・・・」


お嬢様たちと話していると奥の方から複数の声がしてきました。

「こっちで大きな音がしたぞ!」

「急げ!また逃げられるぞ!」

「まったく!毎回追いかけるコチラの身にもなってほしいものだ・・・」

そう言いながら現れたのは複数の兵士さんでした。

皆さんかなり立派な寄りを着ており、同一の紋章が刻まれています。

「な!?」

その場に現れた兵士さんは少しの間固まって思考停止した後、私たちを囲んで武器を向けて質問してきました。

「コレをやったのは誰だ?」

「私です」

「そうか・・・。お前たちコイツ等を拘束しろ!城で話を聞く!」

「ハ!」


「ちょ、ちょっとなんなのよ!!!何で私たちが拘束されないといけないのよ!!!」

訳も分からず拘束され、抗議するお嬢様。

すみません、お嬢様。だってこの人・・・

「何でだと?貴様!コスカートの国王であるイヴァン・クリフ・コスカート様にこの様な狼藉を働いて何でもクソも無いだろう!!!」

「へ?嘘・・・・」

呆然とするお嬢様。


スキル(索敵)に引っかかった時に確認して安心はしていたのですがまさかあんなクズだとは分かりませんでしたし、目の前であんな事をされたら誰だってキレますよね?

襲撃者の正体が直ぐに分かったカリン様は元より抵抗されませんし、正体を知っていて思い切り叩いた私も抵抗できません、正体を知って自分たちがしてしまった事の重大さが分かったお嬢様も抵抗できるはずが無く・・・


気絶したクズ(王様)と私たちはお城へ連れていかれました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ