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ファミリアエッセンス  作者: 玄亀
23/211

23ページ目 ルーシー

「それで、カリン様はどのクラスなのですか?」

「ああ、私は後衛型の魔術師だよ。メインは風だな」

「それでは、後衛2人、前衛2人ですね」

「何だ、クロ。君も戦えるのか?」

「少しなら」

簡単な情報の交換・確認をしながら森へ歩いていきます。

「あ、タンク(壁役)なら私の使い魔(ファミリア)もできます」

「私のは鳥型だから偵察がメインだなー。そして見つけたのを遠距離から攻撃して倒す」

「森やダンジョンでは無理ではないのですか?」

「いやいや、索敵(サーチ)のスキルを持っているからそこは問題ないよ」

・・・・

・・・

・・


「さて、近場と言いましたが一番近くのアイテムでも結構距離がありますね」

「アイテム採取の訓練だもの、そんなものじゃないの?」

「あ、あまり近すぎるとパーティーで行く意味がなくなりますよ?」

「ある程度の魔物(デモン)なら私が1発で蹴散らしてやるさ」

他のお2人の意見もあって最初に予定していたところよりも少し奥へ探しに行くことになりました。

森の入り口に着き、入ろうとしたときです


「あら、リーズ。まだこんな所に居たの?あなたは落ちこぼれなのだからもっと急がないと間に合わないわよ?」

そこにはリーズお嬢様そっくりな女の子がパーティーを組んで立っていました。

「ミューズ姉様・・・」

「あら、パーティーを組めたのね。皆さん愚妹をお願いしますね」

「は、はいぃ」

「ふん」

緊張して返事をするルーシー様と面白くなさそうに返すカリン様。

「でも、いつも一緒にいる娘が居ないわね?ついに愛想を尽かされたのかしら?」

「ち、違うわ。カグヤは他の娘とクエストに出かけただけよ」

「そうね、そう思うのはあなたの勝手だものね?」

「っく・・・」

他のパーティーメンバーの方も笑っています。やはりどこの世界でも落ちこぼれというのは馬鹿にされるものなですね。

「それでは私は行くわ。あなたみたいに遊んでいる暇はないから」

そして、通り過ぎる時に私に

「ああ、あなた。朝のメイドね?どんな子に呼び出されたのかと思ったらまさかリーズなんて、災難ね?」

災難?何が災難なのでしょうか?自由にさせていただいているのでこの格好以外殆ど文句は無いのですが・・・

「・・・問題は感じませんが?」

「・・・そう」

少しホッとした顔に見えたのは私の見間違いでしょうか?そのまま森の奥へと進んで行ってしまわれました。


「き、緊張しましたー」

「やはり、学年のトップは威圧感があるな」

「お嬢様のお姉様なのですか?」

森の中を目的地を目指しながら歩いていきます。

「ええ、ミューズ姉様よ、何でも出来る姉様と何にも出来ない私はよく比べられるのよ」

「今は勝てなくても今後勝てるように頑張りましょう」

「・・・ハァ、ありがと」

「?」

「クロは知らなくてもしようがないが、本当に何でもできて、王国騎士団からスカウトが来ていると噂されるほどだからな」

「高等部の方なのですか?」

「い、いいえ。私たちと同じ中等部ですけど、とても優秀な方なので」

「飛び級も有りなんですね」

「実力主義だからな」

リーズお嬢様を横目で確認すると何か考え込んでいらっしゃるようで、声をかけることが出来ませんでした。


「地図で見るとこの辺りだな」

「そ、そうですね」

「どうしましょう、別れて探しますか?」

「魔物が出たとき危険じゃない?」

「リーズはクロが居るなら大丈夫か?」

「ええ」

「なら、私はルーシーと向こうを探してみるよ」

「わ、分かりました」

「見つけたり、魔物が出たら大声を出して読んでくれ」

「分かったわ」

「分かりました」

こうして、カリン様、ルーシー様と別れて収集アイテムを探すことになりました。



「ねえ、・・・クロ」

探し出して少しした頃、リーズお嬢様が話しかけてきました。

「何ですかお嬢様?」

「やっぱり、マスターがこんな落ちこぼれじゃあ、クロも嫌よね?今朝もさっきも私は皆からバカにされている」

「そうですね」

この言葉に泣きそうな顔になりながらコチラを見るリーズお嬢様がいます。

「ですから、しっかりと実力をつけて皆さんに自慢できるマスターになってくださいね」

「クロ!」

「大丈夫ですよ?異世界(日本)の知識でも何でも使ってお嬢様をしっかりレベリングしますので」

「え?」

「まず、お嬢様に合った武器を選び直して、基本的な戦い方の反復練習、スキルも見直してよりお嬢様の希望に沿った状態へなるように模索します」

「え、クロ?」

「まずはスキル関係でしょうか?今のお嬢様は戦略の幅が狭すぎますので」

リアル女騎士育成ゲーム。楽しそうですね、ゲームの様にサービスシーンばかりとはいかないでしょうし、こういったシミュレーションは苦手ですが”最弱を最強に”はゲーマーとして1度はやってみたいですよね?

リーズお嬢様は泣きそうな顔から真っ青な顔になっていますね。



カリン視点

一応、魔物も出るがクロが居れば時間稼ぎくらいは出来そうなので私はルーシーと一緒に別の場所にアイテムを探しに来た。

「よし、この辺りを探すか?」

私はアイテムを探し出すがルーシーは立ったまま動かない。

「ルーシー?」

「ん?ああ、ゴメンなさい。ちょっと考え事」

「ルーシー、口調が・・・」

「ええ、こっちが素よ。まったく、学園長がわざわざ名指しで呼び出して紹介するくらいだから何かあるんじゃないかと思って探りに来たらタダの過保護で見下し満載のメイドじゃない。」

急に口調が変わったルーシーに驚く。あんなにオドオドしていたのに今ではヒドイ言いようばかりだ。

「丁寧風に言ってはいるけどアレ、お前は何もできないって言ってるようなモンよ?まあそれで納得しているあの娘もあの娘だけど。それにこんな近場でアイテム収集って、こんな所初等部でも余裕で行き過ぎるわ。これじゃあ、わざわざ私が来た意味がないじゃない。」

「おまえ、情報ギルドの人間か?」

声のトーンが少し下がって剣呑さが出ているのが分かる。

ギルドの人間が嫌いというわけではない。

この女がいけ好かないだけだという事はすぐに分かった。

「ええ、あなたはどこのグループから観察に来たの?あのメイドどう見る?」

「私は普通にパーティーを組んだだけだよ。どう見るも何もまだ組んだばかりだからね、何とも言えんさ」

「へぇ?まあいいわ。私は今日でこのパーティー抜けるから。この後そのことを言ったらあのメイドきっと「今日はありがとうございました、またパーティーを組んでくださいね」とか言うのよきっと。計られてふるいから落とされたことにも気が付かずにね」

パーティーを組んで間もないが、クロには好感を持っていた。

「今もリーズお嬢様にお説教しているわよ?遠回しにお前はダメなんだってね」

だから、ここまでぬけぬけというルーシーに対して怒りが沸いてきた。

「この距離ですらコチラのことを察知できないなんて斥候として落ちこぼれね。まあ、主人が落ちこぼれなら使い魔も落ちこぼれなのは当然かしら?」

「おまえ!」

ガ!!

すぐ横の気に氷の杭が1本撃ち込まれる。

「ヒーラーじゃなかったのか?」

「ええ、ヒーラーよ?設定ではね?教えた情報なんて初等部でも使える(スキル)ばかりだもの。あなたの事は調べていないけれど、今ので分かったんじゃない?私に敵わないって。反応すらできていなかったでしょう?」

高圧的にコチラを見下してくるルーシーを相手に私は何も言い返すことが出来なかった。

「ち、いつまでかかっているのよ。サッサと見つけて切り上げましょう。そ、それではさがしましょうか?」


今までの態度が嘘のようにオドオドしたルーシーに代わって私たちは目的のアイテムを探し始めた。

程なくして、リーズたちの方から見つかったと声がかかってきた。


「あ、あのリーズさん、クロさん。私このパーティーは合わなかったみたいで、すいませんが今日で抜けてもいいですか?このままでは私の目標のポイントに届きそうになくて・・・、本当にゴメンナサイ!」

報酬を受け取り、教室へ着くと直ぐにルーシーが切り出した。

ご丁寧に涙まで浮かべている。

落胆の色をするリーズ。

「分かりました。今日はありがとうございました、またパーティーを組んでくださいね」

さっきルーシーが言った通りの言葉を話すクロ。

「はい、その時はぜひ」

ルーシーが去り際、私にだけ見える顔で醜く笑っていたのを私は見逃さなかった。


クロはリーズを慰めているようだ。

「良かったのかい、クロ?」

「何がですか?カリン様」

「ルーシーだよ。パーティーを組んで1日で別れを言い出すのは流石に・・・」

「彼女がそう判断したのですから、私たちがどうこう言う事ではありませんよ。今日の報酬でも満足していただけた様ですし。カリン様はどうされます?」

リーズは不安な目でコチラを見つめている。その目は自分はまた見捨てられるのかと聞いているようだった。

「私はまだ君たちの事を良く知らないからな。もう少し君たちと関わってから決めるよ」

「ありがとう、カリン!」

やはり、初日でルーシーからパーティーを抜けると言われたことが効いていたのだろう。

私がそう言うと花が咲いたような笑顔になる。

この笑顔を見ると、彼女が言っていたことが正しいとしても私は彼女が許せなかった。

そして、彼女の事を何も知らず良く思っているこの2人を不憫に思いクロにだけ彼女の事を打ち明けた。

「まあ、彼女の事は気にするな。もうパーティーを組む事も無いだろうからな」

「はい。それよりカリン様。これから軽くどこかに3人でお食事でも行きませんか?」

「クロ、私は確かに気にするなと言ったが気にしなさ過ぎではないか?」

「え?私たちの上辺だけの(どうでもいい)情報をいい気になって持って帰った方の何を気にするのですか?」

「は?」

「彼女、私たちのステータスを解析(チェック)してましたよね?あんなに魔力を出して調べたのに気づかれた可能性を疑いませんでしたし、こちらがチェックしたことには気づいていない様子でしたし、色々とわきが甘いですよね?」

「・・・いつからだ?」

「あった時からですが?学園長のお人形さん?」

私の事もすっかり見破っていたらしい。

しかもコイツ、しれっととんでもない事言ったぞ。

「何故今まで言わなかった?」

「時と場合によっては合わせると昨日言いましたけど?」

「それで、この情報を私に漏らしていいのかい?」

「口調戻っていますよ。知っていたことですか?問題無いですよ、しっかりチェック(マーク)できましたので」

「・・・」

「クロー、早く行きましょー」

「すみません、リーズお嬢様はもう3人で行く気みたいなのでお付き合いお願いしますカリン様」

ふむ、学園長としてではなく生徒のカリンとしているのだから断る理由も特に無いか。

「分かったすぐに行く」


私は以前、彼女の事を期待外れと思ったが誤りだった、期待から外れたというのは間違っていない。ただ、彼女は要注意だと今日の事で思うようになった。落ちこぼれに呼ばれた未知の存在、私も大神官同様、彼女に興味を持ち始めた。まずはこの後の食事で彼女の好きな食べ物でも調べてみるか。

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