110ページ目 観光クエスト 村の異変
冒険者の皆さんのおかげでこの村に何があったのかを聞くことが出来ました。
山が近く、あまり大きくないこの村ではそれなりに魔物の被害があるそうですが、村の冒険者(住民)が適当に間引いてそれほど被害は出ていなかったようです。
しかし、少し前から魔物が群れを成してまるで誰かに操られているかのような動きをし出したそうです。
王都のギルドにも依頼を出し、勇者が数名原因解明の為に調査に向かったのですが未だに戻らず、今回の襲撃では仕方なく村の冒険者だけで迎撃していたところ何者かに攻撃され、1人の冒険者が死んでしまったそうです。
村長さんの言う様に魔物は基本的に単独で行動します。
群れで行動する魔物も居ますが、今回村を襲った魔物は群れで行動するタイプの魔物ではありませんでした。
「それで、どうする?今この村は危険な状態だ。直ぐに立ち去るか?」
「だが、無理やり理由を聞いておいて何もせずに立ち去るのか?」
「人のように動く魔物とか恐怖でしかないぞ?」
「報告だけでも出しに行くか?幸い、あの馬なら直ぐに王都に着くだろう?」
冒険者の方達は何やら真剣に話あっておられるので私たちも邪魔にならないところに移動して話し合います。
「まず、今回の問題点は普段は群れない魔物が群れて行動するという事ですが、何か知っていることはありませんか?群れを指揮する魔物が存在するとか、長となる魔物がが生まれたらその魔物の指示に従うとか」
「聞いたことないわね。そもそもあの魔物たちはそこまで強くないから駆け出しの冒険者たちのいい小遣い稼ぎくらいにしか考えられていないわ」
「私が聞いたことがある中でも数匹程度が集まっているということで、群れという程ではないです」
「まるで操られているかのように・・・。ねえ、それってもしかしてテイマーが居るんじゃないかな?」
「「「テイマー?」」」
ティファ様の発言に皆聞き返します。
確かにゲームでは結構存在する職業です。
この世界ではまだ見た事はにですけれど・・・。
「テイマーは自分と波長の合う魔物なら操ることが出来るよ、だから急に動きが変わったって言うならその可能性もあるんじゃないかな?」
「だとすれば人間の仕業だな。でも、理由は何だ?」
「お金とか?」
「「「・・・・・・・・・・・」」」
理由に関しては特に思い浮かびませんでした。
ですが、人間のテイマーが魔物を操っているというのは十分に考えられますね。
となると気になるのが誰かに殺されたという方ですね。
「村長さんの話ではその死んでしまった方は一瞬ビクンとして急に死んでしまったのですよね?」
「そうらしいらね」
「死体を見せてもらう事はできますかね?」
「ちょっと!クロ・・・」
私の余りな発言にリーズお嬢様達も苦い顔をします。
と、ソコに丁度冒険者さんたちがやってきてその死体を確認しに行くとの事なので同行させていただきました。
安置されている場所には村長さんと家族の方だけです。
布がかぶせてあったので申し訳ないですが取らせていただきます。
傷は胸の位置に数センチほどの穴が1つ。
かなり鋭利な物でも突き刺したのか綺麗な穴が開いています。
・・・。
「村長さん・・・」
私は村長さんを建物の外に呼んで話を聞くことにしました。
「申し訳ございません。先に謝らせていただきます。」
「???」
私の謝罪の理解が出来ていない村長さんに説明していきます。
「私は恐らくこれから村長さんが怒るようなことを質問します。ですがソレをしなければ先に進めないと思いましたので先に謝らせていただきます」
私の言葉を聞くと村長さんは納得した様な顔で、
「なるほど。しかし、この村でアイツを恨んでいるような者はおらんよ。冒険者だったから軽くケンカをするようなことはあったと思うが殺そうまでは思わないはずだ」
理解の早い村長さんで助かります。
もしかしたら以前にも似たようなことがあったのかもしれません。
「後、あの方が死んでしまった場所は?」
「村の広場だよ。ある程度追い払って村に引き上げてきた時の事だった・・・」
「そうですか・・・」
沈痛な面持ちの村長さんにお礼を言って私は広場へ向かいました。
「ねえ、クロ。ココに何があるの?」
「その何かを探す為にココに来たのですよ、リーズお嬢様。皆さんも何か無いか調べてみてください。魔法の痕跡や道具の後など、何でも構いません」
と言いつつも私は真っ直ぐに彼が死んでしまった場所へ向かいます。
索敵と魔力領域は常に展開していますので、初めてココを通った時に異物があったのを覚えています。
ソコには男性の方の体にあったのと同じ位の大きさの穴、そしてその先には金属の小さな塊です。
私はソレを掘り出して確認します。
アニメやドラマのようにコレは○○だ!という事はありませんが、少なくともコレが何なのかは理解できましたし、コレの意味する所も理解しました。
もしかすると最近の魔物も・・・。
これは非常に危険な状態ですね。
急にこんなので襲われたら対処なんてできませんよ?
少し日が陰ってきた頃、魔物の遠吠えが聞こえてきましたので私たちは大事を取って村長さんの家へ入ることにしました。
私はリッターさん、ルビアさん、あと勇者を裏口へ集めました。
初めは訝しんでいた勇者も私が見つけた物を見せると黙り込んで私を見ました。
「本当なのか?」
「ええ、恐らくこの村の男性を殺したのは私たちと同じ補正者、つまりは地球の人間です」
日本人にとって銃とはあまり接点が無いようで、ある人にはとても身近なアイテムです。
まずはサバイバルゲーム。
日本でも場所が設けられ、好きな人は遊んでいます。
私もカタログを見た事がありますが、本物とそん色ないような見た目です。
弾の方はBB弾なので危険度はグッと減りますが。
次に猟師の方です。
猟期に山に入ったり、畑の作物を食い荒らす害獣を駆除して下さる方達です。
コチラで使われる銃はクレー射撃に使わる物もあって射程は4km以上に及びます。
猟師よりもクレー射撃に使う様な銃と言った方が分かりやすいかもしれません。
そして、ゲームに登場する銃器類です。
近年FPSゲームが増え、バトルロワイヤルのネットゲームやゾンビを倒すことが目的のゾンビゲーなど、銃を扱うゲームはとても多いです。
日本人にも一定数のプレイヤーはいます。
もし、そんな人たちが神様の力によって銃を手にすれば補正のかかりまくった悪魔の殺人兵器になってしまいます。
ゲームプレイヤーは様々な銃を場面ごとに使い分け進めていくことになるわけですので、狙撃中1丁だけということはまずないでしょう。
数キロ先から狙い撃ちが出来る、それはこの世界では常識の埒外であり、魔力の反応もなく、音がしても少しびっくりする程度に留まってしまいます。
もし発砲音を消す装置を付けていたら本当に誰も気が付けません。
「なあ、クロさん。相手は日本人なのか?」
「ソコは重要ではありません。相手は人と認識して銃を撃っています。どこの国の人であろうと非常に危険です」
「どうするつもりなんだ?」
「・・・」
私が答えないことによって察したのでしょう。
何かに耐えているような顔をしています。
「それで?私たちは何をすればいいのマスター?」
「リッターさんとルビアさんはこの弾丸から皆さんを守って欲しいのです。いえ、ハッキリ言いましょう。肉壁となってください」
「クロさん!」
勇者が声を荒げますが私は淡々とお願いします、その身を危険に晒せと。
「一応防御は最大まで引き上げて下さい。特にルビアさん、距離があるとはいえ貴女の紅殻を抜けてくるかもしれません」
「へえ、私の紅殻を?」
不敵に笑われますが、ココは命を大事に!です。
「すみませんが安全第一でお願いします。皆さんが注意を引いてくださっているうちに私が・・・」
「クロさん!俺にも何かできることは無いのか?俺だけ何もできないなんて我慢できない!」
大丈夫ですよ、貴方にしかできないことがありますから。
「皆さんと一緒に居て下さい。出来るだけ近くに」
「それは、どんな意味があるんだ?」
「貴方には勇者として補正がかかっているはずです。貴方を主役とした時に都合よく物語を進めることの出来る補正が・・・。それを使って皆さんを守ってください、大丈夫です。貴方はソコに居るだけで皆を守る盾になれますから」
お嬢様に手を出そうものなら後で潰しますが。
「分かった、しかし今夜襲って来るのか?」
「来るでしょうよ、せっかく生きのよさそうな獲物が大量に狩場に入ったのですから。群れてくる魔物はリッターさん、よろしくお願いします。ないとは思いますがリーズお嬢様達は絶対に迎撃に向かわせないでください。ルビアさんもリーズお嬢様達と一緒にお願いします」
私はお願いを済ませて気配遮断などのスキルを使って狙撃者を探しに外へ出ました。
主人公補正ってのは万能なんだよう!
実際とは違っても都合よく事実を捻じ曲げる力があるんだよう!
この世界は魔法もあるから更にいい加減でも何でもできるんだよう!




