109ページ目 観光クエスト 道中の訓練とか
ティファ視点
か、観光クエスト?
学園で学園長が言った言葉に私のテンションは上がったわ。
だって今までもそう言ったことはしてきたけれど、いつも側に護衛の兵がいて観光というよりも仕事の一環という感じの方が強かったの。
それがクロやリーズ、ジラールに来てからお友達になったココットたちと一緒に観光ができるなんて本当に夢のよう!
街に出てお土産を買ったり、夜には皆で集まって遅くまでおしゃべりしたり・・・。
私が今までできなかったことがこんなに出来るなんて!
そして移動は馬車。
多少は徒歩もあるだろうけど、基本は馬車。
今までの訓練の様に疲れないし汚れない。
何て素晴らしいお礼なのかしら!
初めての観光旅行!しっかり準備しなくちゃ。
その日の夜 王城
「と、言うわけで明日からクエストもとい観光に行くことになりましたので、コレをお渡しいたします」
そう言ってクロから渡された小さな箱を開けてみると、ソコには小さいけれど手の込んだことをうかがわせる綺麗な指輪が入っていた。
クロからのプレゼント!
何故このタイミングなのか分からないけれど、コレはアレよね?
私たちの関係が一歩進んだと思っていいのよね?
「ちょっとクロ!何で皆に指輪配ってるのよ!?そういうのは私だけって言ったでしょ!」
「いえいえ、そんな訳にはいかないですよ」
リーズの注意を無視してでも私にこんなに素敵な物をくれるなんて・・・。
リーズ以外は心なしか嬉しそうに指輪をはめる。
リーズも少し不機嫌だけど、顔はニヤ付きながら指輪をはめる。
瞬間、ズッシリとした倦怠感が私を襲った。
皆少し辛そう。
「クロ・・・。コレ・・・は?」
私の絞り出した質問にクロは軽く返してくれます。
「私のオリジナルで、装備した人の魔力を外に放出する陣術が組み込んであります。船で移動中の時から作っていたんですけど、ようやく完成しました。明日からの馬車移動もコレでしっかり訓練できますよ!あ、ちなみに一人一人丁度くらいになる様に作ったので無くさないでくださいね」
ズッシリと更に何かがのしかかった。
確かにこの指輪はクロからの私たちの為だけに作られたプレセントだ。
今ではエルフの里の秘術と言われている陣術まで使って作られたコレはトンデモない価値を持っている。
持っているけれど、使い道が訓練・・・。
クロの優しさが重い・・・。
私達は倦怠感に包まれながら夕食を摂った。
クロード陛下が私たちを心配して下さったけれど、クロが
「明日からの訓練の前準備です」
と言ったらあっさり引き下がってしまわれた。
幸いというべきか、この倦怠感のおかけで睡眠はバッチリとれた、いつもよりよく眠れたかもしれない。
朝起きると昨日の倦怠感は殆どなかった。
指輪はキラリと私の指で光っている。
朝食時、指輪から吸い取られる魔力の量が増えた。
クロに確認すると
「お皿を配膳するときにチョチョイと修正しました。明日からも修正しますから問題無いですよ?」
訓練は時間経過でキツくなっていくみたい・・・。
少し憂鬱だけど、観光のワクワクは止まらない!
私はたくさんお喋りした、今までできなかった分を一気にしたみたい。
皆に普段は聞けなかったことは勿論、ココットたちとも色んな会話をしたし偶然乗り合わせた女の子とも仲良くなれた。
街を出て少しするとクロはルビアを連れて御者の方へ行ってしまって帰って来なかった。
お昼を少し過ぎたころ、野盗の襲撃があった。
こういう時は直ぐに指輪を外して魔力をアイテムで回復して戦闘に備えるようにと言われていたけれど、ルビアが暴れて一人で片を付けてしまった。
夕食時に一悶着合ったけれど皆で美味しい夕食を食べることが出来て私は大満足だ。
夕食後寛いでいると私たちはクロに呼ばれた、ココットたちは自由参加で良いらしいけれど皆でクロの所へ行くと護衛の冒険者の人たちがいた。
「これから夜の訓練を行います」
え!?訓練ってこの指輪だけじゃないの?
まさかこの指輪を付けたまま模擬戦とかするの???
「安心してください。模擬戦とかそう言った類の訓練ではありません。どちらかと言うと講習になります」
思ったことが顔に出ていたのか、聞くよりも先にクロから答えが飛んできた。
けれど、講習?冒険者の方と?
「今日から夜に少しだけ時間を取っていただいて講習会を開いていただこうと思います。知識は大切です。現場で実際に起こった出来事の体験談を話していただく予定です。学校の授業とはまた違った意味で重要ですし、普通は冒険者の方にこんな事をゆっくり聞く機会なんてそうないですから貴重ですよ?」
現場の生の声ですよとクロに勧められて私たちはこの講習会を受けることにした。
強力な魔物の話から報酬を渋るメンドウな雇い主の話など様々な話が合ったけれど、どれも私たちは体験したことない事ばかりだからとても新鮮だった。
それに講習会とは言ってはいるもののその実お喋り会なので、一般の人が混ざったり商人さんの商売についての話になったりととても楽しかったし仲良くなってこの街ではこのお店がオススメとか役に立つ情報も集めることが出来た。
仲良くなった人と別れるのは少し寂しい感じがしたけれど、新しく旅に加わった人と話すのは新しい事を知ることが出来て有意義だった。
残念ながら指輪はクロが食事を配る時にササッと調整するようで、常に負荷がかかり続けている状態が続いた。
ココットが指に気が付いてニヤニヤしながら聞いてきたのでクロに確認を取って説明した。
内容に驚いていたけれど、クロならできても不思議じゃないねって流された。
思考の放棄ともいう。
それで、ココットたちに付けてもらったら指輪をはめた流れのまま昏倒してしまった。
慌てて指輪を取り外してマナポーションを飲ませたので大事には至らなかったけれど、クロには凄く怒られた。
クロの監視の元、冒険者の人にも装備してもらったけど相当きついらしい。
私たちを変な人を見るような目で見られたけれど、やめて欲しい。
私達はクロの言うとおりに訓練していただけなのだから。
何にせよ、訓練の成果が確認できるという嬉しい誤算もあった。
が、問題もあった。
クロが毎日違う料理を出すのはきびしいと言ってきた。
何時でも街で食材を買い足せる訳では無いからしょうがないのだけれど、お気に入りが出なくなってしまったのにはガッカリした。
後はお風呂!
汗はかいていないけれど、やはり入りたい。
リーズがクロに相談しているのを他の人にも聞かれて結局途中から毎晩クロがお風呂をしてくれた。
簡単な仕切りを作ってその中に大きめの【アクアボール】を浮かす。
私達はその中へ入ってゆったりする。
小さい子供からは絶対に目を離さない様にクロが親御さんに言っていた。
除きに関しては正面にクロが居座っていて、隣で【シャドウホース】が蹄を地面に沈め込ませたら誰も覗こうとしなくなった。
あの蹄で割られる所を想像したのかもしれない。
衣服は私達がお風呂から上がる頃には魔法で洗って乾かしておいてくれる、普通にいい匂いもするし高級な香水でも使ったのかな?
あと、順番は絶対に女性が先となった。
1回ずつ水は完全に入れ替えるから汚い、なんてことは無いのだけれど譲る気はなかった。
クロの背後に日を追うごとに影の触手の様な物の数が増えていっている気がしたけれど気のせいだと信じたい。
そんな感じで私たちは観光クエストを満喫した。
次の村を過ぎるとしばらく進み続けて王都に戻るのだと商人さんが教えてくれた。
長かったけれど振り返ればあっと言う間に過ぎ去っていた。
この村でも楽しい思い出を作ろうと思たけれど、村の雰囲気がおかしい。
まるで何かに怯えているような感じがする。
冒険者の人たちも異変に気が付いて交渉の結果、何とか村長さんに話を聞くことが出来た。
一体この村で何があったのだろう?
ココット視点(倒れた後)
「ねえ、ティファ。普段はどんな魔法の訓練をしているの?」
少しでも強くなれる秘訣を聞かないと!
「一定量魔力を消費する魔法を一日中発動させているよ。戦闘の訓練の時も維持し続けるのたいへんだよねー?」
「・・・」
ガンバレ!頑張るのよココット!
「そ、そう。私も頑張らないと!よーし私も魔法の特訓やるぞー」
「それじゃあ、クロにお願いして同じ指輪作ってもらえるか聞いてみるね?」
や~め~て~。




