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プロローグ

_____________________________________


昔々あるところに、大きな王国がありました。


その王国に一人の青年が住んでおりました。


青年は魔術を使えず、小さい頃から同年代の子にいじめられていました。


いじめに耐えかねた青年は魔術を捨て、剣の道を歩むことにしました。


青年は毎日毎日、朝から寝るまで剣の鍛錬を繰り返します。


そして鍛錬を続けた青年はやがて王国で一番の剣使いとなったのです。


ある日、王国は巨大な漆黒の龍に襲われてしまいます。


龍に兵士たちが魔術や剣で立ち向かいますが、傷1つ付けられません。


王国の滅亡だ、と誰しもが思った時、ただ一人、青年だけは諦めませんでした。


そして、青年は魔術で剣や体を強化してもらい、龍に立ち向かいます。


やっとの事で、龍の攻撃を避け、一太刀浴びせることができました。


そのまま青年は龍の背中に飛び乗り、背中から剣を何度も何度も突き刺します。


剣が効いているのか、龍はもがき苦しんでいます。


あまりの痛さに龍は翼を羽ばたかせ、青年を連れ、どこかへ飛んで行きました。


_____________________________________


(ここはどこだ……?)

気を失っていたようだ。

目を覚ますと、湖に囲まれた草が生い茂った土の上にいた。

湖の奥は密林になっており、光がなかなか入ってこない場所であった。

頭痛が激しく、とても頭が働かせることができない。

しかし、なぜ自分はこのようなところにいるのだろうか。


(ん?これは……。)

自分が寝ていた傍に表紙に龍と剣の紋章が書かれた一冊の分厚い本が落ちていた。

ペラペラとめくっても全て白紙である。

これは一体なんなのだろうか。


(一体なにがどうなって――!)

いろいろなことを考えていると、何かの複数の気配を感じた。

人のような気配ではない何か獣のような気配だ。

殺気のようなものは感じられないし、

幸いにも、まだこちらには気が付いていないらしい。


(クソッ、体がだるいし、頭も痛い……。)

体が重くてしょうがないが、ここで考えていても埒が明かない。

何かの気配がこちらに気づく前に、一旦ここから離れることにした。

_____________________________________


(深い森だな……。)

最初の湖から離れて、だいぶ歩いた。

現在、森の中を道に沿って歩いているが、日の光もまばらにしか入ってこない。

しかし、道はしっかりと人一人が通れるぐらいには手入れされており、

途中途中でポーションやら薬草、木の実が落ちていることから、

人の出入りを思わせるような痕跡はチラチラと見えた。

道中結構な獣に襲われたが、帯刀していた剣でなんとか撃退してきた。

しかしそれに伴って、身体中が痛いし、疲れも限界まで来ている。

獣との戦闘によるダメージもなかなか辛いものだ。


(ふっ、なんで俺がこんな目に……。)

今日は尽く不幸な日だと思い、馬鹿らしくなって笑えてくる。

あの場からすぐに離れ大事には至らなかったが。

しかし、なんだか大事なことを忘れているような気がする。

思い出そうとすると激しい頭痛に苛まれるし、本当にわけがわからない。

とにかく、今は森を抜けることに専念するか。


「ここは、いい場所だ。」


それから、歩いている途中に川を発見し、ほんの少し休憩を挟むことにした。

おそらく、湖から流れている川だろう、自分が来た方角から流れてきている。

水はかなり澄んでおり、飲んでも問題なさそうだ。

一息休憩を取れたところで、ふと辺りを見渡してみると、


「ん?」


川の向こう側に誰かが倒れているのを発見した。

遠目ではっきりとわからないが水色の髪の女性に見えた。

獣に襲われたにしては服はボロボロになっておらず、綺麗な状態を保っている。


(急いで助けないと……!!)

自分にも余裕はないことは承知であるが、

やはり倒れている人を助けなければいけないという正義感にかられた。

川に橋がかかっており、そこから向こう側へ行けるようだが、

そこから渡ろうとした瞬間――――。


(なんだ!?この気配は!?)

かなり殺気が籠った気配、ここから一歩でも近づいたら八つ裂きにされるような、

そんな禍々しいオーラが女性の周りを包み込んでいる。

橋を渡ることさえもできずに立ちすくんでしまい、

自分の無力さを感じてしまった。


(あれは、なんなんだ!クソッ!)

近づくことさえも許されないその気配から、

助けられないと本能的に察してしまった。

万全な状態の俺に勝てるかどうかもわからないモノに、

今現在の俺が挑んでも、どうにもならないだろう。

ただでさえ、自分も他人の心配をしている余裕はない。


(触らぬ神に祟りなし、ということか。)

さっきのオーラを触れてしまったせいか一気に疲労感が出てしまった。

このままでは、本当に森で野垂れ死にになってしまう。

女性のことは気がかりであるが、

早くさっきのヤツがいるここから離れて森を抜けることにした。

_____________________________________


(結構、歩い、たな……。)

やはり、あの後も何回か獣に襲われた。

あれはコウモリや妖精、スライムのようなものがしきりに襲ってくる。

なんか妙に猛々しかったし、木の棒を握る握力もほとんど残されていない状態だ。

途中に落ちている木の実や薬草で体を騙し騙ししているが、もう体が限界を迎えている。


(そろそろ、限界……か……。)

さすがにもう歩くことさえできなくなってきた。

そもそも、この森はどこまで続いているんだ。

それにあの禍々しい気配は襲ってこないとは限らない。

こんな深い森を抜けることって、本当にできるのだろうか。

そういった不安が頭の中をぐるぐると回っている。

不安に苛まれる中、ふとした疑問が頭の中に浮かんだ。


(そもそも俺はなんでここにいるんだ……?)

ここにいる理由ってなんだろう、そもそも俺はどこから来たんだろう。

元居た場所、あの場所はなんだろうか。

自分の正体、自分の名前は、自分の顔は、髪は。

疲れも限界を迎えており、不安と疑問に押しつぶされそうになっている。

しかし、そういった不安や疑問の中で一つの答えを導き出すことができた。


(これは……。)

まさか記憶喪失ってやつだろうか。

自分の名前や顔、出身を思い出せない現象、病気ようなものだ。

物語とかそういうので聞いたことがあるが、いざ自分がなってみると、

違和感しか感じられない。


「ははっ……。」

乾いた笑いをしてしまい、初めて声が出た。

こんなボロボロの体で記憶喪失という事態を再確認してしまい、

身も心も力尽きてしまうような脱力感に駆られた。


(……ん?)

何か微かにだが、人の声のような音が聞こえた。

きっと風で草木の葉が揺れ擦れ合う音だろうと思ったが、

一応、聞き耳を立ててみることにした。

聞こえてくる方角は進んでいる方向で間違いないようだ。

あと少しだけ、ほんとあと少しだけ頑張ってみよう。


「……はや――――。――――い。」

(人の声……!)

確かに聞こえた、幻聴じゃないはずだ。そう願いたい。

最後の力を振り絞って、声が聞こえるほうへと足を向かわせる。

徐々に徐々に声が鮮明に聞こえてくる。

声へ近づくにつれ、獣の気配も次第になくなってきた。

人の声に近づくにつれ、木々が段々と少なくなっている。

光がだんだんと濃ゆくなっていく。


(もうすぐだ、あと少し……!)


_____________________________________


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