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壊れ
壊れていく建物から、森の匂いがした
僕らが知らない人たちが、毎日生活していた場所
耳を澄ますとほら。聞こえるよ
彼らが今日も笑っている
壊れていく建物から、森の匂いがした
誰かの足跡が残る床と
誰かの匂いがしみ込んだ壁が
壊れ、壊され
混ざりあっていく
壊れていく建物から、森の匂いがした
みんなが築き上げた思い出は
建物と一緒に眠りにつこうとしている
妙に寂しくて、僕はただその場に立ち尽くしていた
壊れていく僕から、森の匂いがした
こうしてみんな、土にかえっていくんだね
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