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ファーストゲーム セカンドライフ  作者: 竹輪ヒロ
序章〜平凡を奪われた少年〜
6/8

依頼変更 大鬼狩り〜色別等級 黄〜

魔法

この世界の法則を書き換える魔の法。基本、超常現象を意図的に引き起こす能力を言う。行使には、プログラムである詠唱と魔法の名前を唱える必要がある。名前だけの場合、早く唱えられるが、効力が落ちるというデメリットもある。スキルは、持ち主の技量に合わせ、腕輪がプログラムを組み立て、魔法が行使されている、というメカニズムである。詳しいことは、また後ほど。

 前回解説した通り、色別等級 黄は、ある程度強いモンスターに割り振られる危険度だが、その強さは、緑のモンスターなど話にならない。特に、オーガはその最たる例と言えよう。その怪力は、巨木すら薙ぎ倒し、その皮膚は、(なまくら)など、決して通さない。知能こそはさほどないが、一体だけで、戦局をひっくり返せる。


「そうか・・・!中枢のゴブリンの数が異常に少なかったのは、オーガが食ったからだ!」

「オーガがって・・・食うのか!?ゴブリンを!?」

「オーガはゴブリンの亜種であり、上位種だ!空腹がひどいと、ゴブリンすら食う!それに、オーガがいるとしたら、監視役も、異常な数も、それほど食料に困らなかったということ!オーガがいてもおかしくない巣だったのだが・・・まさか、ここにきてそれに気づくとはな!」


 ホンダが悪態をつく。ゴブリンは、人間のように、金銭を欲しない。最も欲しい物は、武器と食料。特に、食料があれば、群れがより長く存続できる。食料を奪い、食らい、繁殖し、また奪う。この繰り返しにより、群れはどんどん巨大化していく。必然、群れの規模=食料の数という式が成り立つ。そして、食料の数が多いということは、栄養を多量に摂取できるため、その上位種、オーガが誕生しやすいということである。

 オーガが誕生した場合、自動的に群れの長は、オーガになる。これが、この群れに長ゴブリンがいなかった理由である。


「ど、どうすんだよ、こんな奴!倒せんのか!?」

「・・・逃げたほうが賢いが・・・」

「ここで倒しましょう!」


 ホンダとミズキ。二人の相談といえない相談に、アマハが割り入る。


「アマハ!?」

「ホンダさん!補助魔法をお願いします!」

「何を言っている!確かに、魔法は使えなくは無いが、お前が黄色のモンスターと戦うのはあまりにも無謀だ!殺されるだけだぞ!」

「それでも!今ここで逃げたら、このオーガはどうなるんですか!いずれこの洞窟を出て、近くの村や街を襲うかもしれないんですよ!」

「だとしてもだ!倒せないのを分かっていて挑むバカがどこに・・・クッ!」


 会話が終わるのを大鬼は待ってくれない。手にした棍棒を振り上げ、力任せに振り下ろす。三人はとっさに回避し、誰も傷ついていないが、あれを食らったらどうなるのかは地面が物語っていた。棍棒を叩き付けられた地面は周りにヒビを入れ、砕けていた。棍棒は何故か折れていないが、そんな不自然さよりも恐怖を先に感じた。あの一撃が、何発でも来るのだと。


「四の五の言ってられないようだな・・・燃え盛る炎の力を勇者に!『剣よ、炎を宿せ(バフ・スパーダ)』!」


 杖のかざし、唱えられた魔法がアマハの剣に宿り、赤いオーラを纏う。


「凍える氷の力を戦士に!『盾よ、氷を宿せ(バフ・スクォード)』!」


 更に唱えられた魔法が、アマハの盾に纏い、青いオーラを纏う。


「ハァ・・・ハァ・・・」


 この戦いで魔法を六回(その内、消耗が激しいのを一回)使用したホンダの体力は、もはや限界だった。杖で体を支えなければ、今にも倒れそうだ。


「ありがとうございます!」


 ホンダの補助を受け、アマハがオーガへと駆け出す。素早く動き、オーガの心臓へ剣を突き出す。だが、その攻撃は棍棒で防がれる。まるで、剣を扱うかのように・・・・・・・・・


「えっ!?」


 今の攻撃が防がれるとは思わなかったのか、アマハが驚く。その驚きをすぐに消し去り、再び攻撃する。首、右腕、腹部、左足、胸部、右足、左腕、腹部、右腕、左足。立て続けに攻撃するが、十撃の内、六撃が防がれた。それでも、尚、攻撃し続ける。真正面からはダメ。なら、スピードで撹乱しようとする。だが、それにすら追いついてくる。


「なに、こいつ・・・!本当に、ゴブリンの亜種なの・・・!」


 オーガなど、巨体は鈍いというイメージがあるだろう。確かに、筋肉が多かったり、体が大きければその分、体重も重くなる。しかし、それはあくまでイメージに過ぎない。

 体重が重かろうが、速い人間はいる。オリンピックなどに出場する選手を見れば分かるだろうが、彼らはとても鍛えられた筋肉を持っているにも関わらず、非常に素早い動きを見せる。あれは、ある栄養素により、その動きが実現する。プロテイン・・・要するに、たんぱく質である。肉体の成長に欠かせないたんぱく質。トレーニングをした後に、たんぱく質を摂取することにより、より大きな筋肉の成長を促す。

 たんぱく質が、筋肉を作り、その筋肉が、速さを生み出す。当然、それは生物であるオーガにも言える事だ。成長期に多大な栄養を摂取したオーガは、誕生したその瞬間から、先天的とも言える恵まれた筋肉が出来ていた。そこから、更に、栄養。主に、たんぱく質を摂取し、成長を続けることにより、速さと力を兼ね備えたモンスターが生まれる。


 しかし、それはオーガの最大の武器ではない。これでは、ただの大きいゴブリンとも言える。その武器とは・・・


 人間じみた動きをするということである。


「あっ!」


 オーガは、アマハの攻撃に合わせ、剣を弾き、体を捻って、棍棒を横へ振りぬく。アマハはとっさに盾でガードするが、気休め程度の効果しかなかった。棍棒を受けた左腕から、骨が折れる嫌な音がなり、アマハは乱暴に打たれた野球ボールのように軽快に飛ぶ。壁に激突し、漫画のように壁にヒビを入れ、めり込んでいた。


 これが、オーガの最大の武器であり、色別等級 黄にカテゴライズされる最大の理由である。普通のモンスターなら、ここでは、ただ、腕の力だけで、攻撃してただろう。しかし、このオーガは剣を弾き、体を捻った。敵の攻撃を潰し、全身を使って攻撃したのだ。今までのゴブリンどころか、人を除く霊長類に、敵の攻撃を弾いたり、全身を使って攻撃するなど出来ないだろう。


 何故、オーガにそんなことが出来るのか?これは、ある種の進化である。ウミイグアナという動物がいる。このイグアナは、陸でエサを取ることをやめ、海を潜り、海草を取ることを選んだ。しかし、陸上生物であるイグアナが、海に潜ることなど出来ない。そう。ただの一回で潜れるわけなどない。何度も何度も海に潜り、海に体が適応していき、我々の想像を遥かに超える回数を挑戦したとき、イグアナは海に適応した体を得た。そして、以降は、繁殖を行うだけで、ウミイグアナが生まれるようになった。これが、進化である。

 もっとエサが取れるように。生存競争に勝つことを選んだイグアナは、効率を求めた。オーガも同じである。もっと敵を殺せるように。散々、人間と戦ったある一匹のゴブリンは、戦いの中で、ゴブリンの中でも突出した肉体を得た。優秀な遺伝子と遺伝子の記憶を得た。

 そして、そのゴブリンが繁殖し、その子供が、優秀な遺伝子とその遺伝子の記憶を元に、進化の一歩を踏み出した。肉体が変化を初め、数週間もすると、そのゴブリンはゴブリンと呼べる者ではなくなった。オーガへと、進化したのだ。卓越した筋力。強固な肉体。そして、遺伝子に刻まれた戦いの記憶。人間の動きを遺伝子が記憶し、それがオーガになって、初めて発揮されるようになったのだ。鳥が空を飛ぶように。魚が水中を泳ぐように。遺伝子の記憶が、生物を進化させる。


 その進化を、アマハ達は知らなかった。


「アマハさんッ!」


 ヒサコの叫びが洞窟内に響き渡る。アマハがオーガに立ち向かったが、一方的な暴力の前に、為す術がなかった。補助魔法をかけてもらっていたとはいえ、まるで歯が立たない。

 今回の戦闘において、アマハが受けた攻撃はオーガのたった一撃。ゴブリンの攻撃は盾などで防ぎ、ダメージを受けなかったが・・・その盾諸共、全身がズタボロになっていた。棍棒を受けた左腕からは、血が滴り、壁に激突し、裂傷が生じ、体の至るところから血が出ている。アマハはガックリとうなだれ、死臭らしきものすら漂ってきている気がする。たった一撃でこれである。これが大鬼(オーガ)。これが怪物(モンスター)。これが、色別等級 黄である。


「ホンダさん!アマハさんが!」

「分かっている!分かっているが・・・!」


 ヒサコの弓では、オーガに有効なダメージを与えられるとは思えない。かといって、ホンダの魔法は補助専門。実は、ホンダは攻撃魔法がロクに使えないのだ。そのため、魔法無しで、敵と戦えるように体を鍛えてきたわけだが・・・オーガ相手では、巨像と蟻。踏み潰されるのがオチだ。では、ミズキはと言うと・・・やはり、恐怖に飲まれてしまっている。さっきのゴブリンとは訳が違う。絶対的な絶望。ミズキには、オーガが死神にすら見えた。


 怖い。死にたくない。ここから逃げたい。いっそのこと、ここから逃げてしまおうかとも思ったが、それは出来ない。それは、この三人を見殺しにすると同義だったからだ。

 逃げよう。でも、見殺しにはできない。だからどうした。このままでは殺される。


 そんな自問自答を繰り返している内に、オーガがアマハに止めを刺さんと、棍棒を振り上げている。流石にミズキも動くが、距離が遠く、どうあがいても間に合わない。

 だが、ヒサコの弓なら遠くでも届く。ヒサコが弓を放ち、オーガの右腕に刺さる。棍棒を振り下ろそうとする腕を止め、ヒサコを見る。オーガの標的が、アマハからヒサコへと移った。


「ホンダさん!ミズキさん!私が気を引いている間に、アマハさんを!」


 ホンダは、返事をせず、アマハの所へ走り出す。ミズキも、少し躊躇ったが、走り出す。

 ヒサコは、ある程度距離を保ち、矢の本数が、残り十本とわずかしか無いため、集中して、ただ一点にオーガの左足を攻撃し続ける。オーガの攻撃が素早い上、激しく、地面や壁が破壊され、飛散する(つぶて)で、微量のダメージを受け続けるが、深追いをしなければ、棍棒そのものは当たらない。


「右を持て!急ぐぞ!」


 アマハ元へたどり着いたミズキ達は、アマハを壁から出し、方を担いで、オーガからさらに離れる。その間も、ヒサコの囮は続く。矢は残り二本。かれこれ五本が、オーガの足に刺さったが、一向に止まる気配を見せない。


 ヒサコは、ただ、オーガの気を引くためだけに、矢を集中的に放ったのではないということは分かってもらえるだろうか。ヒサコは、オーガの足を止めるために、矢を集中的に放っていたのだ。アマハが倒れた以上、現時点では、オーガを倒せるものは誰もいない。なら、逃げるしかない。だが、確実にオーガは自分達を追ってくるだろう。その為の、足止め。オーガの足にダメージを与え、走れなくする。そういう算段だった。


 しかし、オーガは止まらない。痛みなど感じていないかのように、暴力を振るい続ける。それでも、どうにかするしかない。


「・・・やるしかない」


 ヒサコは矢を番える。狙うは、眼球だ。眼球を潰せば、どんな生物だろうと、痛みを感じざるを得ない。それに、視界を奪える。だが、それが出来れば苦労はしないだろう。足が縦長の面であるのに対し、眼球は小さな円(人間よりは大きいが)であるため、難易度が段違いなのは言わずもがな。オーガは頭を大きく動かすため、的が著しく動く。それに、眼を狙うということは、確実に、攻撃を視界に入れるということ。動きこそは人間だろうが、脊髄反射をするかは分からない。しかし、反応はされる。間違いなくだ。それでも、やるしかない。一部の確率より、確実。絶対に怯ませなければならない。


「当たれ!」


 矢は、半ば祈るように放たれた。限界まで引き絞られ、ヒサコ打てる中で最速の矢は、確かに眼球に向けて打たれたのだが、オーガが上体を左へ大きく反らし、かわされてしまった。だが、ヒサコにとって、それは想定済み。二本目は、既につがえていた。大きく反らしたことにより、それが隙となった。ヒサコは、百発百中の腕を持っている訳では無い。だが、確かな腕を持つ。その腕をスキルにより、確実なものにする。


「『無駄無しの弓(フェイルノート)装備(セット)』!」


 ヒサコの弓が、緑色のオーラを纏う。狙撃手にとって、絶対に外せない場面というものは訪れるもの。そんな状況でも、外してしまうこともある。それを克服するのが、無駄無しの弓(フェイルノート)というスキル。放たれた矢が確実に、狙った場所に当たる。対処するには矢、そのものを破壊しなくてはならない。しかし、無駄無しの弓(フェイルノート)は、命中補正だけでなく、速度にも補正をかける。弾くことも、かわすことも許さない。それが、無駄無しの弓。

 しかし、これはできれば使いたくはなかった。体力を大きく消耗するため、倒すことを前提に使わなくてはならない。足止めのためには、使いたくはなかったのだ。だから、使う以上当てなくてはならない。


「狙いは左目!射抜け!『無駄無しの弓(フェイルノート)』!」


 その矢が放たれた瞬間、オーガの左目に矢が突き刺さった。誰にも認識できなかった。分かったのは、音と結果だけ。その音も、矢が放たれた音と矢が風を切る音が混ざり、よく分からないものになっていた。そして、見えるのは矢が刺さったという結果だけ。矢が深々と刺さった左目からは、蛇口から水が出るように、血が溢れ出てきている。過程を消し飛ばした。そう言われても違和感を抱かないほどのスピードを無駄無しの弓は見せた。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」


 言葉ではなく、ただの音でしかない叫びが、洞窟に響き渡る。すぐ真横でジェットエンジンが起動しているのではないかと思うほどの爆音に、ミズキ達は耳を塞ぐ。眼を攻撃すれば、痛みを感じざるを得ない。それは確かに合っている。有効だとも。だが、それをやる相手がまずかった。


「〜!〜!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」


 痛みと視界を失ったことにより、オーガはパニック状態に陥る。棍棒を振り回し、暴れ回る。地面をえぐり、壁を壊し、叫びで洞窟内が震える。仕方なかったといえば、仕方ないが、眼を狙うのは、致命的なミスだった。


「ハァ・・・ハァ・・・・・・いけないッ!」


 ヒサコが息を飲む。音を聞いたからだ。ピシッという固いものにヒビが入る音を連続で。そして後悔した。自分の愚かさを。目を潰すに行く、では甘かった。殺す気で打つべきだったと。ひたすらに後悔した。

「ホンダさん!早く逃げてぇッ!!!」


 ホンダに呼びかけるが、その言葉は届かない。オーガの叫び声、破壊音など、雑音が酷すぎるからだ。それに、耳を塞いでいるため、耳による情報収集は使えない。今まさに洞窟が崩れようとする音など、聞こえるはずがなかった。


 そして、崩落は始まった。洞窟の外側を主とし、天井が崩れ落ちてくる。オーガの攻撃に耐えきれなくなったのだ。落下する音は聞こえたが、もう遅い。崩落からは逃れられない。


「チィ!」


 ホンダはアマハを抱え右へ、ミズキは左へと、上から降ってくる岩をジャンプし、回避する。あの場にいたら死んでいたと思い、ミズキはホッとする。


「ボサっとするな!上を見てろォ!」

「えっ!?」


 ホンダに言われ、ミズキは上を見る。それと同時に、ミズキの真上の天井が崩れる。反応するのが遅かった。これでは避けられない。崩れた天井は、重力に従い、ミズキのいる場所へと落ちる。


「うわあぁ!」

「クソッ!世話が焼けるガキが!」


 崩落が崩落を呼び、洞窟内はあっという間に、崩れてしまった。




 しばらくして、洞窟内の崩壊は完全に終わった。松明がある程度落とされたため、周囲は良く分からない。目の前に何かがあるのが分かるので精一杯だ。それに、激しかったため、大抵の人間は無事ではすまないだろう。無事なのは精々、強靭な肉体を持つオーガと肉体強化がまだ効いていたアマハくらいだ。ヒサコは体力が尽きたとはいえ、少し動けたが小さな岩が降りかかり、軽度の打撲を負った。ミズキは、目の前が何かに覆われているため、良く分からない。しかし、すぐにそれが、自分を守ってくれた黒い魔法使いだというのは、横にぐらつき、倒れたことで分かった。


「あ、あんた・・・なんで俺を・・・!」


 暗いため、良く見えないが、息がか細く、出せる声も大きくないことから、ホンダが無事ではないのは分かった。それに、ミズキをかばったという事は、あの崩壊をまともに受けたということ。打撲だけではすまないだろう。


「・・・昔の・・・俺の知り合いにそっくりだった・・・臆病で・・・決断してもすぐ迷って・・・お人好しだった・・・重ねて見えちまったんだよ・・・お前と・・・そいつに・・・」


 ホンダは、かすれた声で話した。


「その臆病なところ・・・迷うところ・・・お人好しとは言えねぇが・・・俺は・・・お前が嫌いだ・・・覚悟・・・したんだろ・・・だったら・・・胸・・・張れ・・・よ・・・」

「・・・おい・・・なんで黙ったんだよ・・・なんか喋ってくれよ・・・おい・・・おい!!!」


 かすかに息をしている音は聞こえる。しかし、瀕死であることには間違いない。ヒサコとアマハも動けない。ミズキは・・・戦うことすら出来ない。


 今の今まで順調だった。しかし、たった一体の怪物の参入により、状況は一変する。これが、ハンターの戦いである。その戦いも、全滅という形で終わろうとしている。左目から矢を引き抜き、オーガが、アマハへと歩み寄り、その大きな左手で、掴む。


「・・・おい・・・なにする気だ・・・待て・・やめろ・・・!」


 ミズキには、オーガがこれから何をするのかが直感的に分かった。これからアマハは、あの手で握りつぶされる。松明がまだついているのが質が悪い。残酷な死が、ハッキリと見えるのだから。自分と同い年でも、戦うことを受け入れていた少女が、今まさに死のうとしている。それなのに、自分はこうして怯えている。


―――俺は何をしている?


 隅でガタガタと。


―――決断したはずだろ


 周りに頼ってばかりで。


―――守られてばかりで


 自分に言い訳ばかり言って。


―――子供みたいなことばかり言って


 そんなものが通じる世界でもないのに。


―――人が死にそうなのに動かない


 甘えてばかりいる。


―――情けない


 誰かが何とかしてくれると思っている。


―――情けない


 自分はもう。


―――俺は自分を


 日常から引き摺り下ろされたというのに。


―――殺したいほどに情けない・・・!



 衝動的に、ミズキは走り出した。


「ウオオオアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」


 魂が高ぶり、感情が燃え上がる。自分への不甲斐無さ。アマハ達への罪悪感。そして、生きたいという欲望が、ミズキを突き動かす。


―――弱音を吐いてんじゃねぇ!何時まで甘えてんだ!戦うことを選んだって言うのにガキみてぇに震えやがって!てめぇが選んだんだろ!だったら・・・だったら・・・!


「そのツラ上げて!胸張って歩けえええええええええええええええ!!!!!!!!」


 拳を握り締め、オーガの顔へ飛び、右腕を前へ振りぬく。情けない自分諸共、殺す気でぶん殴った。オーガ倒れ、その手からアマハは投げ出され、ミズキは優しく受け止める。


「アマハ・・・ホンダ・・・ヒサコさん・・・ごめん。俺は、弱かった。すげぇ弱かった。だから俺は・・・弱い俺と決別する。こいつを倒して!」


 アマハをその場に降ろし、ミズキはオーガに追撃を仕掛ける。彼に、不思議と恐怖は無かった。それどころか、敵に近づくほど、勇気が湧いてきている。


 オーガは立ち上がり、ミズキに怒りの眼を向ける。それでもミズキは怯まない。

 地面を強く踏み、矢が刺さっている左足を蹴る。ある程度ダメージが溜まっていた左足に、更に衝撃がかけられ、オーガはたまらず、膝を突く。


 ミズキは、膝からオーガの体を登り、あごを殴り上げる。拳に痛みが走るが、そんなことは気にならなかった。というより、ミズキは何も考えてはいない。敵の弱所を視覚的に判別する拳士系統のスキル、『合理的な殺人ウィーク・スタッブ』の情報を元に、ミズキの闘志が、ミズキを動かしている。


 そして、がら空きになった首に拳を叩き込まれ、オーガは嗚咽をもらす。何度も何度も首を殴り、その度に嗚咽も繰り返し出る。しかし、オーガも黙って殺されるようなモンスターではない。首を殴っているミズキを叩き落とそうとする。ミズキはそれを、頭を掴み、逆立ちをするように器用にかわし、仕返しとばかりに、額に膝蹴りをする。だが、ダメージがあったのはミズキの方だった。いくら、クラスによる能力補正があるとはいえ、例えるなら、ミズキはレベル1の戦士。常人よりは強くても、オーガよりは、肉体的に弱い。


 額を蹴り、距離を離れる。だからといって、攻撃の手は休めない。彼はただの拳士ではない。魔法が使える魔拳士なのだ。

 学んだことは無い。しかし、彼の胸の奥から言葉が浮かんでくる。右手を開き、言葉を紡ぐ。

「我が手に集い、形を成せ。魔を退ける赤き明星となれ!『燃え盛る赤玉フャイア・ボール』!」


 ミズキは、自分の右手に集まった、ソフトボールほどの大きさの炎をオーガに放つ。とっさにオーガは棍棒でガードするが、ロケット弾のような爆発により、右手にダメージを負う。炎は棍棒で防がれてしまったが、それにより、棍棒を破壊することが出来た。狙ってないとはいえ、これで、オーガのリーチは奪えた。


 だが、それでもオーガの攻撃力は奪ったことにはならない。武器を失っても、オーガは戦闘スタイルは変わらない。ただ、叩き潰すだけ。その攻撃を食らったアマハは一撃でダウンした。それをミズキが食らえば、即死は免れない。ならば、当たらないようにするしかない。


 オーガがミズキめがけて突撃してくる。巨体に似合わず、実に速い。そして、その攻撃も速い。最小限の動きで、ミズキを追い詰めていっている。いくらか荒いが、その動きはボクサーのジャブに似ていた。ミズキはそれを紙一重で回避し続けるが、オーガの攻撃がどんどん速くなっている。このままでは攻撃が当たるのも時間の問題。何か対抗策を打とうとしたその直後、オーガが足で薙ぎ払ってきた。


「足払い!?」


 その動きはミズキにとって予想外のものだった。まさか、ただのモンスターが蹴るのではなく、足払いをしてくるとは。足払いと言ってもオーガがやれば、丸太で薙ぎ払うのと同義。当たればただでは済まない。後ろに飛ぼうも間に合わないため、ミズキはジャンプして回避しなけれなならない。しかし、それに重ねるようにオーガがジャンプしたミズキに右手で殴ろうとしている。空中に入れば、もう逃げ場ない。この一連の流れをこのモンスターが想定していたのだ。


「ッッオォ!!!」


 当たれば死は確実の攻撃をミズキは死に物狂いでよける。オーガの右手を蹴り、そのまま右足を軸に体を下に移動させる。しかし、無理があったのか、右足に痛みが走る。これでもう、素早い動きは出来ない。そろそろ勝負をつけなくてはならない。


「もう一発・・・!我が手に集い、形を成せ。魔を退ける赤き明星となれ!『燃え盛る赤玉フャイア・ボール』!」


 先に仕掛けたのはミズキの方だった。眩い炎の玉がオーガに向かって放たれ、胸に命中する。しかし、棍棒を破壊した炎でも、オーガを倒すには至らなかった。精々、黒い炭のあとを残しただけだ。だが、ミズキにとってそれだけでも効果はあった。

 攻撃を受けたオーガは眼を血走らせ、ミズキに向かって突進する。その動物的行動が致命傷になるとも知らずに。


それに対しミズキは、ただ、口を動かしただけだった。


「『凍える氷の彫刻アイシクル』!」


 ミズキの正面から巨大な鋭く尖った氷が突き出る。置かれるように作られた氷は走ってくるオーガの腹を突き刺し、突進を止める。

 ミズキは、オーガの行動を読んで、予め詠唱を済ましていたのではない。これは、詠唱破棄というものである。威力を下げる代わりに、魔法を素早く出すという一種のテクニック。もちろん、ミズキは詠唱破棄なんてものが出来るなど知らなかった。情報がまるで、腕輪から流れ込んでくるかのように頭の中に湧いてくるのだ。


「・・・・・!!?」


 氷が相当深く突き刺さっており、流石のオーガも痛みに悶えるが、それでも攻撃をやめない。殺意が痛みを凌駕しているという奴だろうか。しかし、先ほどより明らかに遅い。ミズキにとっては子供の攻撃となんら変わらない速度で見えた。その攻撃のくぐり、心臓に向けて渾身の一撃を放つ。今出せる中で一番の力を。


「『一打二撃サクセーション』ッ!!!」


 拳は一度だけ放たれたはずだった。しかし、衝撃は二つ。一つ目が強固な骨を砕き、二つ目が心臓を破壊した。全力で放たれた二つの衝撃は、オーガを破壊した。

 心臓を破壊されてもオーガはなお、動く。その生命力は驚愕に値するだろう。しかし、心臓を破壊されて、無事でいる生物など存在しない。オーガが最後に出来たのは、自分を殺した相手を見る。ただそれだけだった。


「勝てた・・・俺が・・・勝った・・・」


 今更になって、自分のしたことに驚く。それもそうだ。自分より遥かに強いアマハですら勝てなかった相手を今日、戦い始めた自分が倒したのだ。初めてのことが成し遂げられた。ミズキは、子供のようにうれしさで胸が一杯になった。


 しかし、そんな感動に浸っている場合ではない。負傷者三名。その内、二名は瀕死の重傷だ。ミズキは、比較的軽傷なヒサコの元へ走る。


「ヒサコさん!」

「ミズキ・・・さん・・・あのモンスターは・・・」

「もう、大丈夫です!でも、二人が・・・!」

「それなら・・・ホンダさんにこれを・・・」


 ヒサコが腰に着けてあるポーチから、緑色の液体が入ったビンを取り出す。何かの薬品ではあるのだろうが、その名称、効能を聞いている暇はない。ミズキはヒサコからビンを受け取り、ホンダへと走る。


「ホンダ!これ、ヒサコさんが飲めって・・・!」


 呼び掛けるが、ホンダは目を覚まさない。


「クソ!これじゃあ・・・いや、何も飲ませるだけが薬じゃない!」


 ミズキはホンダをうつ伏せの体勢にし、服を脱がせ、薬をかける。薬はどうやら効いたらしく、打撲痕が少しだけ消えていく。

「うっ・・・」

「気がついた・・・!大丈夫か!?」

「これが・・・大丈夫に見えるか・・・?オーガは・・・お前が倒したようだな・・・なら・・・」


 杖を支えに立ち上がり、ホンダはアマハに歩み寄る。


「我が祈りを聞き届けよ。穏やかな奇跡と優しき光をその手に持ち、生きとし生けるものに癒しを与え給え。『精霊の光(リカバリー)』!」


 ホンダが魔法を使うと青い光がアマハの体を包み、アマハのジワジワと傷を治していく。完治とはいかないが、先ほどよりは大分マシになっただろう。


「ハァ・・・ハァ・・・全く・・・この俺に・・・無茶をさせるとは・・・どういう了見だ・・・ヒサコ・・・」

「無茶でもしないと・・・皆無事ではいられませんから・・・」

「たまにだが・・・嫌なやつだ・・・お前は・・・」


 とうとう限界が来たのか、ホンダは倒れてしまった。気を失っているというよりも疲れで眠っているようだ。


「これで、皆さん生きて帰れますね・・・私は、アマハさんを担ぎますので、ミズキさんはホンダさんをお願いします」

「ヒサコさんは、大丈夫なんですか?」

「軽いアマハさんを担げる程度には、体力がありますから」


 実際、その通りで、アマハを装備ごと、ひょいっと担いでいる。しかし、軽いといっても160cmで体重53kg(ちなみに、この数字は日本人女子高校生の平均身長、および体重)程度プラス、胸当て、盾、剣。これらを含めてざっと60kgはありそうなものである。


「(もしかして、この人意外と肉体派か・・・?)」


 ミズキは、そう思わざるを得なかった。

 洞窟は入り組んでいたが、ホンダが壁に傷をつけていたらしく、特に迷うことも無く洞窟を抜けることが出来た。入ったときは太陽が真上に昇っていたが、今はすっかり暗い。今の季節がなんなのかは分からないが、確実に4時間近く洞窟内にいたということであろう。戦いを終えて緊張が抜けたせいか、洞窟から出た瞬間、ミズキの体がズシッと一気に重くなった。しかも、ホンダは身長が180cmで体重はおよそ68kg。更にローブと帽子、ポーチと杖もあり、担ぎにくい。そして、いくらハンターとして肉体的に(何故か)強くなっているとはいえ、68kgプラス荷物プラス担ぎにくいは厳しい。馬車・・・もとい、ホルセ車でも来ないものかと思い、ミズキは恐る恐るヒサコに聞いた。


「帰り道って、もしかして・・・徒歩?」

「辛いと思いますが、頑張ってください」

「・・・そうですか」


 心なしか、自分の体が更に重くなった。


 プラファーレスに着いたミズキたちはアマハたちを診療所へと預け、宿に向かい、依頼の完了を組合へ伝えた。


「はい、確認させて頂きますね。えっ~と、ゴブリンが・・・十・・・十五・・・二十一体!?」


 受付嬢は驚愕の声を上げた。確かに、二十一体などという数字は明らかに異常な数字だ。


「・・・あのぉ、失礼でしょうが、これ、本当ですか?」

「疑うのも分かります。でしたら、確認しますか?」


 ヒサコがナイフを取り出す。


「い、いえ!そこまでおっしゃるのなら、本当なのでしょう。それに、アナタにはお世話になっています」

「(え、結構、顔効くの!?)」


 ミズキの驚いた顔をよそに受付嬢は確認を進める。


「あれ、もう一個ありますね。これは・・・」


 袋の中のもう一個の耳を取り出す。すると、受付嬢の顔は今にも吹き出さんという驚愕の表情に変わった。


「・・・え、これって、オーガじゃないですか!!?」


 受付嬢が先ほどより大きな声を上げる。それだけではなく、宿内にいた他のハンターまでも、酒を吹き出すなど、驚きの反応を見せる。


「ちょ、ちょっと待てよ!オーガだぁ!?お前ら四人パーティだろ!?なのになんでオーガ倒せんだよ!?」


 一人の屈強そうなハンターが話しかけてくる。


「そうだぜ!オーガって言ったら、ランクCのハンター四人でも殺されるモンスターじゃねぇか!」

「ランク?」


 なんとなく、感覚で意味は分かるが、聞かずにはいられなかった。


「ハンターとしての階級のことですが、詳しくはまた後で説明しましょう」


 周りが騒ぎ立てるので、説明どころではない。騒がしいという点については、受付嬢も同意だった。


「ちょっと!皆さん!質問は後にしてください!まずは、依頼完了の手続きを済ませてからです!」


 受付嬢が止めても、ハンターたちは止まらない。それどころか、受付嬢の言葉など聞いていないように騒ぎが大きくなっていく。


「あ~もう!これじゃあ手続きが・・・」

「やかましいぞッ!」


 突如、良く声の張られた野太い声が宿に響き渡る。声の方向には泥まみれの二人の男女がいた。入り口にいるあたり、仕事を終えたハンターであろう。男のほうは黒いマントを羽織り、その下から鈍い色・・・鋼色とでもいうような鎧を纏っている。武器は一目瞭然だった。見立てだが、190cmはあろうという男の身長に負けないほど巨大な大剣。「力でねじ伏せる」という戦闘スタイルを暗に示すような無骨なデザインは見るものを圧倒させる。


 女のほうは簡単に言えば、魔女そのものだった。黒い帽子に赤の混じった紫色の髪。全身を包む黒衣からでも強大な存在感を持つ豊満な胸は、誘蛾灯のごとき逆らい難い魅力を放っている。しかし、ミズキが注目したのはそこでは無い。魔女のような女の持つ杖だ。世界広しと言えども、あそこまで歪なデザインの杖は無いだろう。せめて形容するなら、何かが混ざっているとでも言うべきだろうか。それぐらいしか、言葉が思いつかない。


 魔獣の様な男と魔女の様な女の登場により、あたりはシンと静まり返った。


「ギルバートさん。戻っていたのですね」


 ギルバードと呼ばれた男がカウンターへと歩き出す。ギルバードが近づくと、カウンターに集まっていたハンターたちが散らばっていった。


「なんの騒ぎだ」

「いえ、それがですね。オーガを討伐したという人が現れて・・・」

「オーガを?」


 ギルバートがカウンターに置かれているオーガの耳とミズキたちを一瞥する。


「未熟な体だが、大した腕だ」

「は、はぁ・・・まぁ、ヒサコさんなら、嘘はつかないでしょう。それで、どうでした?」

「手遅れだ。これ以上広がらないよう、吹き飛ばすことを勧める」

「吹き飛ばすって・・・そんなことが簡単に出来るわけ・・・」

「許可さえ貰えば私がやるわよ?」


 入り口にいた魔女が手を振る。


「だそうだ」

「・・・分かりました。今、許可を貰ってきますので、少しお待ちください。ヒサコさんも、待っていてください。すぐ、手続きを終わらせるので」


 そう言って、受付嬢は宿の裏へ行ってしまう。


 数分後、受付嬢が一枚の紙を手に戻ってきた。ミズキはちらりとしか見えなかったが、そこには「焼却許可証」と書いてあった。おそらく、この二人が行う破壊活動を認めるものだろう。どんな経緯があってこんなものが作られたのかはミズキには分からないだろうが。


 その紙を受け取り、二人は去っていった。


「今の二人は・・・」


 ミズキが受付嬢に聞いた。


「あの二人はランクAハンターのギルバート・ウィルメルさんとジャンネ・D・ウェチェさんです。ある依頼を頼んだんですが・・・内容は機密なので、伏せさせていただきます」


 一介の受付嬢が知っているのもどうかと思うが、そこは黙るミズキだった。


「さて、依頼完了の手続きですが、まず、達成報酬として3000エル。討伐報酬としてゴブリン一体につき、200エル。二十一体なので4200エル。オーガ一体で80000エル。合計報酬が87200エル。あなた方は四人パーティなので一人当たり21800エルです。お受け取り下さい」


 受付嬢が報酬が入っているであろう四つの袋をカウンターに置く。ミズキはその内の一つを手に取り、袋を開けてみる。中には金貨が二枚。銀貨が一枚。そして銅貨が八枚入っていた。この世界には紙幣を作る技術が無いため、このような硬貨になっているのだろう。ちなみに、エルとは、この世界の共通通貨であり、金貨が10000エル、銀貨が1000エル、銅貨が100エル。この中には無いが、真鍮で出来た黄銅貨が10エルに相当している。


「これで、手続きは完了です。お疲れ様でした。またの活躍をお祈りしています」


 受付嬢が笑顔でお辞儀をした。ヒサコもお辞儀で返し、ミズキもそれにつられる。

 二人は報酬を手に、どこか空いているテーブルを見つけ、そこに座る。


「はぁ・・・これで、初めての仕事が終わりか・・・」

「オーガと戦っているときは、とてもかっこ良かったですよ」


 ヒサコが微笑みながら話す。


「え!起きてたんですか!?」

「はい。オーガと戦いましたが、大した攻撃は受けてないので気絶には至りませんでした」

「な、なんか、今になって恥ずかしいな・・・」

「いいえ、誇るべきことですよ。あなたは、私たちを救ったのですから」

「・・・いや、あれは、結局は自分のためです。俺はただ、ひたすらに俺が情けなかった。この手で殺したくなるほどに。俺は、今までの俺と決別するために戦ったんです」


 ミズキが眼を細め、自分の手を見つめる。


「照れ隠しでもなんでもない。ただ、それだけが理由だった」

「・・・それでいいじゃないですか」

「え?」

「結果的にせよ、あなたは私たちを救った。過程や理由がどうであれ、それが褒められることなのは変わりません」

「・・・アマハの話みたいだ。今の俺って」


 ミズキは照れるように笑った。





~依頼達成~

リザルト

討伐数 ゴブリン二十一体

    オーガ一体


討伐報酬 合計 84200エル


依頼報酬    3000エル


負傷者 2名 一人は、魔法による応急処置済み、骨折など、尚重傷。もう一人は薬による応急処置済み、依然、軽度の打撲はある。


治療費  合計 18000エル(その内、骨折の治療費が14000エル)


手取り額    66200エル

ランク

ハンターの階級と実力を表すもの。最大、Sランクまであり、最低はEランクである。ランクによって受けられる依頼の難度が上がり、Cランクで色別等級 黄の依頼が受けられる。Aで赤。Sで黒だが、ここまで来ると、あってないようなものである。Sは極めて数が少ない上、黒の難度など、今の時代、存在しないからである。

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