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周りの光に邪魔されながらも光り輝く星。太陽の光を受けながら照る月。深く濃い藍色、ぐらつきそうなくらい広い宇宙。
「綺麗…」
どんなに傷ついても、ここだけは偽らなくても安心できる。
聞こえているかわからないけれど、心で語りかける。
「1つお話をしよう」
“あるところに1人の小さい女の子がいました。その子は子供らしくなく、少し変わった子だったそうです。
静かで、我が儘も言わない。どこか気を使っているようで、見えないものが見えると言っている事もありました。
そして少女には妹ができました。ですが何時からか憎悪の対象になってしまったのです。
中学2年生の10月。転入した学校。少し可愛かった少女は周りにちやほやされましたが、あることがバレてからいじめられるようになりました”
―ここ、なんか知ってる。どこかのお屋敷なのかな…。―
「…夢か。なんで今…」
私は忘れていました。小さい時には覚えていたはずのこの記憶。
どうして今思い出したのかと気にしながら支度をし始めました。
あぁ、だるい。
いつもと同じ事を思いながら教室にはいり、いつもの授業。
見た夢がどうも突っかかって集中出来ない。原因がこれだけではないことはわかっている。
また辛く長い1日が始まる。
“目に見えない傷だもの。誰もわかってくれない。わかるわけないんだ。”
いつも泣いていた。辛いくせに笑顔でいた。笑っていればなんとなくその場は乗り切ることが出来るし。
1人は落ち着くし好き。でも、この独りは違う。
聞こえてくる冷たい言葉は私に向けられ、強く刺さる。
“卒業まで…卒業までの、我慢だから”
感じていた思いは誰にも伝わらず、夢の中で自分やクラスメイトを何度も殺していた頃が懐しい…
今は1月。もう目と鼻の先に受験が迫っていた。
クラスでは受験のピリピリした空気はなく、みんなは何の危機感も持っていなかった。
当たり前だ。ただ呑気に生きてきたこの人達に危機感などない。
なにも乗り越えたことがない、脳みそはまだ小学生だ。
これから壁にぶち当たって絶望するところを間近で見られないのは残念だ。
偉そうに言っているが私も同い年だ。私になにが言えるんだか…(笑)
「はぁ…。人を呪わば穴二つ!」この言葉を思い出していつも自分の軌道修正をしている。
私は少し早く高校が決まっていたので気が楽だった。
この札幌の地を離れ、ずっと北を進んだところにある小さな島の小さな高校に1人で行くことにしていた。
色んな思考がぐるぐるしている中でぼんやりと書いた絵。
あの場所だ。15歳になってから夢の中でいきなり思い出した場所。
広い廊下。丸い両開きドア。
全体は黒く、所々に灯りがついている。あたたかい光…
「私って誰なんだろう。」