1周年記念SS バレンタイン&ホワイトデー
tagutomo様よりご提案のあった一周年記念SSです。
ちょっと1周年にはフライングだし、本編では未出のキャラとかも出てきますが、宜しくお願い致します。
一応今後の本編にも、ちょこっとだけ影響があるお話にしてみました。
tagutomo様。こんな感じになりましたが、如何でしょうか?ちょっと不安w
リザアース暦1006年2月14日。
今日も今日とて北極大陸の開拓作業中で御座います。
まぁ神素材やら北辺の行政区画なんかの建設は完了したので、居住区画の建設と転移魔方陣やらの修正が主な作業。
ちなみに昨日は“降神”の日だったので、魔石の量産をしていました。一応明日もその予定。
ギルドランクもとっくに“Z”になってるし、貯蓄額も“兆”を超えて“京”まで貯めてあるので、
北極大陸に俺の国を建国しても、それなりには税収が無くてもやっていける予定で居ます。
とは言え、最初期の税収としては転移魔方陣の使用料金だけになるだろうから、真面目に頑張っています。
相変らずダンジョン核破壊なんかのボロいギルド依頼だけは受けてるしね。
そんなこんなで、ちまちまと転移魔方陣の修正作業をやって居たら、本当に珍しくルナから念話で呼び出しがありました。
“ちょっと用があるので、一時的にでも“神の居住区”に戻ってきて欲しい”との事。
転移魔方陣の修正作業にある程度の区切りがついた所で、一旦作業を終了して戻ります。
「到着っと。さて、珍しく呼び出しがあったけど何の用ですかねぇ・・・」
主寝室(分体側)に到着。とっととリビングへ・・・。と?
「ただい・・・ってあれ?魂の神様。今日も来てたんですか?」
リビングには魂の神様ご一家とウチの家族も勢揃いしてました。なんで全員集合状態になってるの?
『やっほ~。お邪魔してるよ。
と言うか、正確には私がルナちゃんに頼んで呼び出して貰ったんだけどね?開拓作業中に悪いね』
「いえ、それは構いませんが・・・あれ?ルナの用って言うよりは、魂の神様が私に用事があったって事ですか?」
『ん~。半々かな?
私達も、ルナちゃん達も、リュウノスケくんに用事があったんだよね~』
「ん~何だろう???」
『まぁまぁ。とりあえずはルナちゃん達の方が先かな?』
「ご配慮感謝致します。ではお先に失礼致しまして・・・。主様?ハッピーバレンタイン、ですわ」
言いつつ、包装された小箱を差し出してくるルナ。
「・・・?・・・あぁ!バレンタイン!あったねぇ、そんな行事。
つーか、何でルナがそんな行事の存在を知ってるのさ?」
「とりあえず後もつかえて居りますので、先に受け取って頂けませんか?」
「あぁごめんごめん。有り難く頂きます。ありがとう」
ルナに続いて、タリズ、リヴィア、フェン、シファード、トウからも貰いました。
それに続いてレナ達お子様組みからも、俺の似顔絵が書かれたポストカードサイズの絵が添えられた小袋を貰います。
これって“家族チョコ”って奴かな?
ちなみに魂の神様ご家族も、魂の神様にお渡しし中。
「レナ?皆も?これってお父さんかな?皆、上手に描けてるね~。ありがとう。後で寝室に飾らなきゃね」
まだまだ幼いので戦闘訓練自体を禁止している分、文化系&給仕系スキルだけは既に上昇し始めた我が子達。
それなりにと言うか、多分年齢からしたら異常なほど上手な似顔絵です。
3歳程度でこれだけの絵が描けるって、この子らは天才じゃね?(親馬鹿)
一方、俺に褒められて嬉しそうにはにかむレナ達。実に可愛らしい。癒されるわぁ・・・。
一通りウチの家族から貰ったら、引き続いて美の神様&従ちゃん&接ちゃんからも貰いました。
こっちは完全に“義理チョコ”ですな。正直言って“面倒臭い事になった”と思案中。
まぁそんな気持ちは一切表には出さず、無難に有り難く頂きます。
その間にルナ達&レナ達も魂の神様へお渡ししてました。
『皆お渡しが終わったみたいだね。
んじゃ、コレもリュウノスケくん宛てだから渡しておくね』
と、何処からか大小12個の包みを取り出して俺に渡す魂の神様。
「私宛ですか?誰からの分なんですか?」
『ちっちゃい方がミーちゃん、クレマチスちゃんと陸くん達。後山吹ちゃんからの分だね。
大きい方は始祖の神様と私とミツハルくん、ヒロアキくんからだよ?』
「へ?始祖の神様とかの男連中からもですか?」
『うん“強敵チョコ”って言うのがあるらしいからね。せっかくだし、乗っかってみたんだよ。
あぁ!一応陸くん達の分も強敵チョコになるのかな?』
「へー。そんなのもあるんですね。まぁ有難う御座います」
『いやいや。
お返し、楽しみにしてるからね?お返しって3倍返しなんでしょ?いや~楽しみだねぇ』
「その辺を知っているって事は、やっぱり魂の神様発案のイベントって事ですか・・・」
『いや違うよ?元々はミツハルくんの世界にあった行事なんだよ?
まぁそれも“地球”と言うか“日本”的な行事みたいだし、ミツハルくんが逆輸入したって感じかな?』
「は~。ミツハルさんも厄介なイベントを・・・」
『ん?厄介って・・・そんなに大変なの?』
「ルナ達やレナ達に関しては問題ありませんが、ミツハルさんの所とヒロアキさんの所へのお返しがちょっと問題ですね。
ウチの世界由来の物は持ち出し不可ですからねぇ。神力由来で何か考えないと。
あぁ魂の神様の所も、一応同じですね。
どうすっかなぁ。食べ物系の消え物だと、3倍の判断が難しい・・・」
『まぁ楽しみにしてるよ?』
「何他人事みたいに言ってるんですか?魂の神様もルナ達やミーさん達からも貰ったんでしょう?」
『あ゛。そうだった!
どどど、どうしようリュウノスケくん!何も考えてなかった!』
「其処まで知りませんよ?どうせ美の神様や従ちゃん達にもお返しするんですよね?
本末転倒ですし、渡される本人に聞くのも何ですが、ついでに良いアイデアを聞いてみては?」
『・・・そうする。
後、今後この手のイベントは持ち込まない事にするよ・・・』
「妥当な判断ですね。まぁ1回限りなら何とかなるでしょう」
『せっかくだし、リュウノスケくん?何か良いアイデアって無い?』
「ん~。そうですねぇ・・・。
“日本”に行って、ホワイトデー商戦に参加して買ってしまうのが一番楽なんじゃないですか?
魂の神様なら何とかなるのでは?」
『ん~。それだと余り心が篭ってないと言うか・・・。
後、他の世界で“買う”って言うのも、実際は面倒な事が多いしね』
「だったら手作りしかないですね。
メジャー所だと、クッキーとか飴とかマシュマロが相場ですけど・・・3倍の判断が難しいですね。
その辺は実際に貰った物を確認してからの方が良いと思いますよ?」
『了解だよ。ちょっと考えてみるね。
後、ヘルプを頼むかも知れないけど、その時はよろしく。
ルナちゃん達もありがとうね~。ちゃんとお返しを考えておくからね?
そうそう。始祖の神様やミツハルくん達とヒロアキくんにはちゃんと渡しておいたから。
美の神!従と接も。ちょっと部屋に戻ろうか。せっかくだから皆で一緒に食べよう。
あ、リュウノスケくん。牛乳を貰ってっても良い?従達にはまだまだコーヒーは早いし』
「『出ろ!』どうぞ。
そうそう。お返しを作るのに、もし給仕室を使うのであればルナ達の誰かを一緒に連れて行って貰えばご自由にどうぞ。
食材なんかも好きに使って頂いて構いませんので」
『ありがとうね。それじゃぁまたね』
「はい。また~」
客室に戻る魂の神様ご一家を見送りつつ、ルナ達&レナ達に改めて御礼を言ったら、俺も書斎へ。
で、豪華椅子に座りつつ、貰ったチョコをルナから貰った分から順番に開封。
「ふむ。ルナ達は揃って生チョコ系か。ホワイトチョコのパウダーでコーティングとか、手が込んでるなぁ」
とりあえず、それぞれ1つずつ摘んで味見。
「全員ちゃんと旨いわ・・・あいつらの製菓技術も随分と上がったなぁ。もうとっくに俺を越えてるんじゃね?
ルナかフェン辺りがウィスキー・ボンボンでも作ってるかと思ったけど、お子様連中にも渡す事を考えて回避したのかな?
つー事はこれらも一応量産品って事か。まぁ十分に旨いから、文句も無いけどね。
お次はっと・・・トウのだな。ルナ達と比べてちょっと大きいけど、中身は何でしょね~?」
包装を剥がして中身を確認したら、丸いチョコレートにホワイトチョコが肉球の形ではめ込まれている感じの奴でした。
癒し系だなオイ。ちょっとほっこりしちゃったじゃないか。
「見た目は十分。お味の方は・・・これも旨いな。
テンパリングもしっかり出来てるせいか、チョコレートの色艶も問題無いし、舌触りも悪くないな。
う~ん。癒し系な見た目に反して、結構手間も掛かってそう。ちゃんとお返し考えないとな・・・。
とりあえず次行ってみよう。先にレナ達だな。
似顔絵に関しては後で寝室に飾るとして、何を作ったのかな~?」
レナ達。チョコレートクッキーでした。正確にはチョコチップ入りのクッキーの出来損ないって感じ。
形も微妙に不揃いなものの、努力したのが伺えるので問題無しです。つーか3歳程度が作ったとは思えない出来。
まぁルナ達の誰かに、少しは手伝って貰ったんだろうけどね。
味はとしては至って普通。ただ、コーヒーなんかと相性は良さそうな感じです。
愛娘達からだと思うと、どんな物でも嬉しいもんですわ。(親馬鹿じゃないはず)
が、この時点でルナ達へのお返しにクッキー系がボツになりました。
さすがに愛娘達が頑張って作った物を上回るレベルで作って返すとか、いじめにしか思えません。
続いて美の神様&従ちゃん&接ちゃん。
普通に一口サイズのチョコレート詰め合わせでした。系統としてはルナ達・・・と言うか、トウと同じ感じ。
小さめな板チョコの詰め合わせって感じです。
従ちゃんと接ちゃんも大体同じ。美の神様に手伝って貰って、成形だけをやったって所か?
味も美味しかったです。
ミーさん達(陸くん達も含む)はチョコレートのソフトクッキー系の詰め合わせでした。
クッキーと言うよりは、チョコレート仕様のマドレーヌとかフィナンシェって言った方が正解。
こちらも美味でした。
今回の件はミツハルさんの世界が発案らしいし、大量生産したのか7人共同じ物が入っていたのはご愛嬌。
コーヒーで軽く口直しをしたら、続いて山吹さんの分へ。
小さなチョコレートのロールケーキが入ってました。で、メッセージカード付き。
“主人共々、今後とも宜しくお願い致します”と達筆で書かれてました。
寡黙なイメージの山吹さんらしいと言えばそうなんだけど、このサイズであえてロールケーキを作る方が面倒だと思う。
「残りは男神様連中の“強敵チョコ”か。不安要素しか無いわ・・・。
つーか女子組みよりも箱がデカイのが、余計に不安を煽るっつーの・・・」
最初は始祖の神様から頂いた分を開封。
・・・普通の板チョコが1枚だけ入ってました・・・。他には何も無し。
マジで手ぇ抜きすぎでしょ!やる気ねぇなぁオイ!
とりあえず無かった事にして、魂の神様の分を開封。・・・と。
・・・ただの板チョコに、ホワイトチョコで“これからも家族共々よろしくね!”とメッセージが書かれただけ。
始祖の神様より少しはマシとは言え、やっぱり手ぇ抜き過ぎだろ・・・。
気を取り直してミツハルさん。
・・・魂の神様と全く同じでした。文面が“よろしくね!”と“よろしくお願いします!”の違いだけ。
まぁ長い付き合いだからいいけどさ。突っ込むのも面倒臭いわ・・・。
最後はヒロアキさん。
・・・またまた板チョコにホワイトチョコでメッセージが。
“ダンジョン最高!”って・・・アンタは何がしたい。そういうのは自分の世界で完結して下さいよ・・・。
つーか、強敵チョコって普通はこんな感じなの?
陸くん達の分は家族で量産した奴っぽいし、正直参考になりません。
俺って今までに強敵チョコって貰った事が無いから、イマイチ基準が分からんわ・・・。
「う~む。色々あったが、結局お返しが面倒臭い事に変わりは無いか。
マジでこの行事が定着しないように、俺の世界では今後は絶対に禁止って事で決定だな。
そうは言っても、既に貰った分に関してはお返しを考えねばならんのよねぇ・・・」
適当に貰ったチョコやらを摘みつつ、コーヒーを飲みながら何がいいか考えます。
「とりあえず全員のお返しに関しては神力由来の物ってのは決定でいいかな。
値段的には・・・ルナ達以外は、多分2千円程度の物だと思う。男神様連中の強敵チョコは別だが・・・。
ま、それだったら6千円ぐらいを目安にお返しするのが妥当か?
う~ん・・・。
面倒臭いからとりあえず先にルナ達の分を考えて、それのランクを落とした物をお返しにするか。
ルナ達だと何がいいかなぁ。
食べ物系って正直俺が作るよりも、ルナ達が自分で作った方が美味しいのを作りそうだしなぁ。
・・・だったら・・・アクセサリー系の装備品か?
いや・・・装備品・・・むぅ・・・あ!レナ達ってステータスチョーカーを持ってないんだよなぁ。
だったらアレの代用品にでもするかな?
ルナ達も同様にすればいいし、義理とか強敵チョコに関しても装備品じゃなくて単にアクセサリーなら問題無いか。
いい加減、ルナ達が首輪みたいなチョーカーを着けてるのも可哀相だしな。
バリエーションはあった方がいいだろうし、別にチョーカーを回収する訳じゃないから気分で変えられるでしょ。
値段的には3倍以上になる可能性が高いけど、今回限りのイベントとしたらまぁいいや。
ん~となると、デザインが問題だな。
・・・白金でちょっとしたネックレス程度にしとけばいいかな?
で、ルナ達の分だけはダイヤモンドを埋め込んで差をつければいいか。
・・・よし、それでいいや。んじゃ、その方向で行こう。
後はデザインの詳細を詰めたら終了だな。どうせ創造魔法で出して終わりだし、俺としても楽だしな。
まぁ次の従者訓練の日にでも纏めて作りますかね~」
とりあえず方向性は決まったので、亜空間に貰ったチョコやらを収納したらリビングへ。
リビングに残っていたルナ達に「お返しを楽しみにしててね~」と伝言してから北極大陸の開拓作業に戻ります。
転移する前に、ちゃんとレナ達から貰った似顔絵は主寝室(神体側)の壁に額を貼り付けて、その中に飾っておきました。
で、2月の16日。従者訓練の日なので、前日から居住区に戻って全員揃っての朝食タイム。
今日は魂の神様だけでなく、始祖の神様も来られてます。
いつも通りの軽めの朝食が済んだら、レナ達や従ちゃん&接ちゃんのお子様組みはワイワイ言いながら走って遊戯室へ。
一応美の神様とトウが付き添いで安全確保です。
最近の愛娘達のマイブームはウォータースライダー&流れるプール。
少し前にただの草原で遊ぶだけだと飽きてきたので、思い出して遊戯室を完全に遊び場化してみました。当然水着着用。
美の神様&従ちゃん&接ちゃんの水着に関しては、魂の神様からクレームが出たので露出少な目に変更してあります。
たま~に始祖の神様や魂の神様も遊んでるみたいですが・・・。まぁ大人でも楽しめるアトラクションだからね。
で、既に分体の俺を上回るスペックになったレナ達は有り余る体力にモノ言わせて遊び倒してるみたい。
従ちゃんと接ちゃんはそれに振り回されてる感じ。神としての格は従ちゃん達の方が上なのにねぇ・・・。
そんなお子様達を見送ったら、居残り組みでお茶しつつ雑談。
給仕はルナ達に完全にお任せしてます。もう俺がいちいち指摘する事も滅多に無いしね。ありがたや~♪
給仕が終わったら一緒にソファーに座って寛いでるから、実にのんびりしたものです。
『リュウノスケくんはホワイトデーのお返し、何にするか決めたの?』
「ええ。大体の方向性だけは確定しましたね。
後は創造魔法で出すだけだから、まぁ何とかなると思います。
ただ、このイベントって先日魂の神様もおっしゃってましたが、今回限りにさせて下さいね?
その代わりにちょっと奮発したお返しにする予定なので」
『ほぅ。もう決めたのか。ちなみに何にするんじゃ?』
「ん~。今ってルナ達はチョーカーを着けてるじゃないですか?それのネックレス版を渡そうかと思いましてね。
って、お前らそんな顔すんな。別にチョーカーを回収する訳じゃ無いんだから。
ちゃんと装備品としては同じにするんだから、心配しなくても大丈夫。
今後は好きな方とか、気分によってどちらでも使える様にするだけだから」
俺がチョーカーを回収するのかと思って、若干悲しそうな顔になったルナ達に慌ててフォロー。
まぁ数百年着けてるんだから、愛着があるんだろうね。
リザアース暦1000年時点での強制剥奪の件もあったんだし。
『それって高くない?まぁリュウノスケくんの創造魔法で出すだけなら、値段なんてあってない様な物だけど』
「単純に物価で言えば、確実に高いですね。他の方にお渡しする分も高くなる予定です。だから今回限りなんですよ?」
『なるほどねぇ。だったら遠慮は要らないかな?』
「ん?何の事ですか?」
『リュウノスケよ・・・ワシらのお返しのアイデアを一緒に考えてくれんか?』
「え~。それは各々でちゃんと考えましょうよ?」
『『頼むから手伝って(くれぃ)!』』
「始祖の神様も魂の神様も必死っすね・・・」
『頼むよぉ~リュウノスケくん~』
「こういう事は、相手の事を考えてる時間も大事なんですよ?」
『ソレ。美の神にも言われたよ・・・』
「でしょ?だからちゃんと渡す相手の事も考えてあげなきゃ駄目ですよ?」
『それは分かっているんじゃがのぅ。
如何せん、ワシらにはちと荷が重過ぎるんじゃよ。駄目かのぅ?』
「ん~。それじゃぁ1つだけ。
飴細工なんかどうでしょうか?始祖の神様や魂の神様なら造形の問題も大丈夫でしょうし』
『『飴細工?』』
「ま、実際に見て頂いた方が早いですね。ちょっと給仕室に行きましょう。そこでレクチャーしますから」
給仕室に移動したら、保存してある“飴”をコピーしてから、適当に柔らかくなるまで加熱して、鍋へ。
んで、鍋ごと湯煎しつつ、飴全体が十分に柔らかくなったら早速レクチャー開始。
「とりあえず見てて下さい」
言いつつ、適当なサイズに飴の塊を千切って、ぐにぐにと大雑把に成形。(ちゃんと手は洗いました)
後は鋏で切ったり、筋を入れたりして完成。とりあえず分かりやすく、ルナをモデルにナインテイルにしてみました。
「はい。こんな感じです。
まぁ手抜きしたので大雑把ですが、何となく獣状態のルナっぽいでしょ?」
『『おぉ~!』』
「後は適当な包装紙で壊れないように包んで、ちょっと高級そうな箱に箱詰めしたらOKなんじゃないですかね?」
『なるほど。これは良い!』
「他のはある程度特徴を掴んだデフォルメにして、必要人数分作ったら終わりですね。
ウチのルナ達ならこれで十分じゃないでしょうか?
ミツハルさん達“人型”だと、特徴を出すのが難しいかも知れませんが、そこは要練習ですね」
『なるほどのぅ。とりあえずこれは採用じゃな。他には何か無いか?』
「ん~系統的には似てますが、変わり玉とか金平糖とかでもいいかな?時間は掛かりますが」
『そっちはどうやって作るの?』
「え~っと確か・・・。色とか味の違う飴を45度ぐらいに傾けた鍋・・・と言うかタライを回転させながら加熱しつつ、
水っぽいぐらいの薄い飴と言うか、糖蜜を掛け続けるんですよ。
傾ける角度を浅くしたら、乾燥が速まって金平糖って言う、ツノがある飴になるんだったかな?
私は作った事がありませんから、詳細までは覚えていないので、試行錯誤して頂く事になりますけれどね。
確か、かなり時間が掛かる作業になったはずです。
作り方自体がうろ覚えなので今の説明も確実じゃありませんけど、その辺は何とかして下さい。
私も其処までは責任を持てませんし。
まぁ変わり玉だったら、お子様達には喜ばれるんじゃないでしょうかね?
とりあえず・・・『出ろ!』これが完成品です。こっちが変わり玉。もう1つのイガイガの方が金平糖です」
試食品として、お2柱にお渡しして味見して貰います。
『ふむ。変わり玉とやらは、舐めているうちに味が変わるのか。中々面白いのぅ。
これも良いかも知れんな。・・・魂の神よ。此処は共闘せんか?』
『と、仰られますと?』
『ワシが飴細工と箱やら包装紙を担当する。
変わり玉とやらと、金平糖とやらの製作をお主が担当してくれんかの?』
『なるほど。完全分業にして、生産効率を上げるのですね。承知致しました』
「んじゃ、OKですかね?」
『うむ。リュウノスケよ、助かったぞ』
「まぁ頑張って下さい。
あぁ!材料はソコにありますが、使う時はルナ達の誰かに言って、コピーしてから使って下さいね?」
『承知した。色々とすまんの』
「まぁ頑張ってみて下さい。私もこれ以上はアドバイス出来ませんから」
とりあえず必要だろうと思われる道具類(タライとか、かき混ぜる棒とか)を出したら、俺だけリビングへ。
始祖の神様と魂の神様は、早速製作・・・と言うか試作に取り掛かってます。
俺もとっとと自分が渡す分の製作に取り掛からねば・・・。
リザアース暦1006年3月14日。
今日は従者訓練の日なので前日から“神の居住区”に帰還済みです。
今回も始祖の神様&魂の神様も一緒。
朝食が終わって一息ついたらいよいよお渡しタイムへ。
「んじゃ、そろそろバレンタインのお返しをしますかね。
ルナ達は全員整列! あ、レナ達はお父さんお母さんの横に並んでね?」
ルナ達が整列している間に、ちらっと魂の神様の方を見たら、あちらもお渡しを開始した模様。
始祖の神様も魂の神様の後に渡すつもりなのか、順番待ちしてました。
「皆並んだね?それじゃぁルナから。バレンタイン有難うね。これが俺からのお返し。受け取ってね?」
言いつつ小箱を差し出す俺。
「有難う御座います。早速開けさせて頂いても宜しいですか?」
「どうぞどうぞ。
はい。こっちはレナの分ね。お母さんとお揃いにしてあるから、これからはなるべく身に着けておいてね」
「お父さん。有難う~」
レナの頭を撫でつつ、ルナの反応を伺ってみる。
「おや?これは・・・私でしょうか?」
モチーフとしてはナインテイルって感じにしてみました。
別途着色はしてないので、白金そのままの色なので白面金毛九尾までは再現出来てません。
デザイン的には、とぐろ状に9本の尾をたなびかせたダイヤモンドを咥えたナインテイルって感じかな?
ちなみに若干面倒臭かったので、他のも含めて親子でお揃いにしてあります。
「そそ。ステータスチョーカーと同じ付与がしてあるから、チョーカーかネックレスを装備するようにしてね。
一応装備品だからサイズは問題無いと思うけど、所持者限定に関しては“最初の装備者限定”になってるから、
とりあえずチョーカーを外して着けてみて」
さっそくネックレスを着けてみるルナ(チョーカーは外してます)&レナ。
・・・うん。まぁまぁ良い感じでしょ。
「今までお前らに宝飾品ってあげた事なかったでしょ?良い機会だし、今回はちょっと頑張ってみました~。
ただし、今後はバレンタイン自体を禁止するから、最初で最後になるかも知れないけどね。
ま、気が向いたら誕生日の日にケーキの代わりに装備品をあげるかも知れないから、次があったとしたらその時かな?」
「主様。有難う御座います。大切にさせて頂きます」
「お父さん有難う♪」
「いえいえ。つーか破損不可とか自動修復も付いてるから、仕舞い込まずにちゃんと使ってね?
さて、次はタリズとエッジだな」
そんな感じで順番にお渡し。
タリズ&エッジには、口にダイヤモンドを咥えて翼を広げて威嚇しているタリズをモチーフにしてみました。
リヴィア&ルビアは水面から飛び出した海竜って感じです。目にダイヤモンドが填め込まれてます。
フェン&リルの分は、山の頂上で遠吠えしている狼がモチーフ。同じく目にはダイヤモンド。
シファード&ファーの分は、翼を広げて上空へ飛翔している竜がモチーフ。胴体の中央にダイヤモンドを配置しました。
トウは・・・散々悩んだ結果。丸まって寝ている柴犬にしてみました。
もう俺の中ではトウ=柴犬って感じなので、まぁいいやって事で。
ちなみに丸まってる中央にダイヤモンドを配置。まぁダイヤモンドを抱え込んで寝ている柴犬って感じでしょうか?
『随分と手の込んだお返しを考えた様じゃのう』
「あ、そちらのお渡しはもう終わったのですか?」
『うん。まぁ・・・リュウノスケくんの“ソレ”と比べられちゃうと、ちょっと微妙なんだけどね。
その分私達も心を込めて作ったから、許して貰えたら嬉しいかな?』
「ま、本来はそれが一番良い事でしょうね。
私の場合は一見豪華っぽいですが、所詮創造魔法で出しただけですしね。
という訳で、さっさとお渡ししますね。先ずは始祖の神様の分です。どうぞ」
“始祖の神様へ”と予め書いておいた小箱をお渡し。
『すまんの。有難く頂こう』
始祖の神様の分も、基本はルナ達と同じです。
モチーフが、従ちゃんと接ちゃんが背中合わせに祈りを捧げている感じのネックレスにしました。
当然、宝石類は付いてません。単純に白金のネックレスです。
ルナ達の分と違って、付与は装備者限定(予め決定済み)と防汚、自動伸縮、自動帰還、自動修復、鑑定不可だけです。
自動伸縮は鎖部分のみですが。
引き続き魂の神様ご家族にもお渡し。物は始祖の神様と同じく白金のネックレスです。
魂の神様&美の神様の分は、従ちゃん&接ちゃんを天使に見立てて、お互いに額をくっつけて祈りのポーズ。
ちゃんと翼もあるので、それなりに見栄えもするように考えました。
従ちゃん&接ちゃんの分は、2人の赤子を愛おしそうに抱いた性別不明の翼を広げた天使って感じにしてみました。
散々悩んだんだけど、一応魂の神様でも美の神様でも、どちらにも見える感じって所に落ち着きました。
付与に関しても、始祖の神様と一緒です。
一見するとマジで高そうな宝飾品なので、美の神様からは恐縮されましたが、所詮創造魔法で出しただけ。
苦労したのってイメージする時だけだからねぇ。返ってこっちが申し訳ない気持ちになるという微妙な空気に・・・。
俺と美の神様が遣り取りしている間に、始祖の神様と魂の神様はルナ達へお返しを渡してました。
ちらっと見えたけど、飴細工とかもちゃんと出来たみたいです。
申し訳無さそうにしてましたが、箱はかなり立派な箱なんで、それはそれでアリなんじゃね?と思ったり。
「とりあえず此処に居られる方の分のお渡しは終了ですかね?」
『そうだね・・・改めて思うけど、こんなに大事になるとは思わなかったよ・・・』
「ま、今回限りって事で納得しておきましょう。
私も、もう2度とやりたくないですし。いい加減ネタ切れですから」
『本当にのぅ。やれやれじゃ』
「んじゃ、ミツハルさん達やヒロアキさん達の分は魂の神様からお渡ししておいて貰えますか?」
『ん。大丈夫だよ』
「では・・・こちらです。
一応それぞれの箱に宛先を書いておいたので、間違えないと思いますが、宜しくお願い致します」
『了解。確かに預かったよ。ちゃんと渡しておくからね』
「ふぅ~。やれやれですね。とりあえず一息つきますか~」
「では、改めてお茶をお淹れ致しますね♪」
「ルナ、有難う~」
ネックレスを着けて、嬉しそうに給仕するルナ。
他の面々も嬉しそうにしているし、まぁ渡せて良かったです。でも、もう2度と御免だけどね・・・。
ちなみにミツハルさんとミーさん、クレマチスさんのネックレスのモチーフですが、
カイトシールドの上に剣と弓が乗った感じにしてあります。
ちなみに剣と弓の交差はさせてません。どっちが上かって優劣を付けるみたいで、何だか嫌だったので。
陸くん達の分は単純にカイトシールドだけです。まぁミツハルさんのお子さんだし、いいやって事で。
思い返せば、今回のイベントでヒロアキさんの所が一番の難問でした。
“パッ”と思いつくヒロアキさんの特徴ってダンジョンなんだよねぇ。どんなモチーフにすべきか、本当に悩みました。
で、結局は“剣と盾”ってありがちなモチーフになっちゃいましたが。
ヒロアキさんは別にコレで良いだろうけど、山吹さんの戦闘スタイルを俺は知らないので、半ば諦めた感じです。
まぁしゃーなしですな。
ネックレスの付与に関しては、ミツハルさんの所もヒロアキさんの所も、始祖の神様達と同じにしました。
まぁ装備者指定してあるから、問題ないでしょ。特にそれぞれの世界に影響を与えるほどの物でも無いし。
後日聞きましたが、魂の神様からミツハルさん達に渡した所“こんな高価そうな物は貰えない!”と一悶着あったらしい。
ヒロアキさんの所でも同様の遣り取りがあったとか。
まぁ、返却する訳にも行かないので、強引に押し付けたらしいですけどね。
さらに後日。ミツハルさんご一家&ヒロアキさんご夫婦が来られた時に、ミツハルさん&ヒロアキさんからクレームが。
“あんな物渡されたら今後のお返しの敷居が上がって、次のお返しが大変になるから辞めて!”との事。
そんな事、俺は知らんがな。 そもそも、だけど。それって俺のせいか?
改めてウチの世界に行事を持ち込む事は禁止にしたので、“次は無い”と納得して貰いました。
俺としては、これに懲りて厄介事が持ち込まれない事を祈るだけだよ・・・。