表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神言の詠み手  作者: 夕闇 夜桜
第一章:異世界召喚
3/8

第二話:自己紹介


「くずは、クズハ……葛葉(くずは)、な」


 ヴィードさんが、私の名前を復唱する。

 どうやら、私の言い方に近く、言いやすいイントネーションを探していたらしい。


「俺は、ハルヴィード・グランド。そのままだと長いから、ハルかヴィードでいい」


 だから、『ヴィードさん』なんだ。納得。


「はい、よろしくお願いします」


 ぺこりと頭を下げる。

 この先ずっと、お世話になるかどうかは分からないけど、第一印象は大事だからね。


「あ、申し遅れました。ボクはルティベルと言います。あ、ルティで良いですよ。皆さん、そう呼んでますから」


 だから、『ルティ』か。一人称は『ボク』だけど、判断しにくいなぁ。

 服や建物を見た感じはファンタジーな方だから、実は年上かもしれないけど、私の感覚としては多分年下だと思う。


「うん、よろしく」


 さっきは、お世話になるかどうかは分からないって言ったけど、今になってずっと関わりそうな気がしてきた。

 ルティちゃんやヴィードさんと、ではなく、魔導師団と、という意味で。


(わし)はフォーレストじゃ。魔導師団長であり、こいつも言っていたが、実の祖父じゃ。よろしくの」

「あ、はい。風霧(かざぎり)葛葉(くずは)です。よろしくお願いします」


 にこにこと笑みを浮かべる魔導師団長さんことフォーレストさん。

 どうやら、本当に血縁者だったらしい。


「それじゃ、自己紹介も済んだことだし、今度こそ移動するぞ」

「あ、はい」


 ハルヴィードさんの先導で、ルティちゃんたちと歩き始める。

 迷子にならないように、ちゃんと付いていかないと。


「そんなに角を曲がったりしませんから、大丈夫ですよ」


 近くに居たからか、ルティちゃんに『迷子になりそうだ』という、心配していたことを見破られてしまった。


「それなら、良いんだけど……」


 方向音痴じゃないから大丈夫だとは思うけどーー塔のような召喚された場所を出て、城のある敷地がもの凄く広いことにびっくりした。

 けど、迷ったら、本当にヤバそうだ。少し見回して見たけど、遊園地とかみたいに案内図が無いみたいだし。

 まあ、『城』という場所柄、安全を考えれば、無いのは当たり前なのも理解はしているし、特に文句を言うつもりはないけど。


「ほら、着いたぞ」


 ハルヴィードさんにそう言われるが、そんなに歩いても、時間が経ってもない気がする。

 実は、あの塔から距離的に近かったのかな?


「着いたぞって……魔導師団に、じゃないですか!」


 ルティちゃんが突っ込む。

 雰囲気から分かってたけど、やっぱり客間じゃないのね。


「誰も伝令しに行ってないだろうが。第一、どこの客間使えばいいのかなんて、俺は知らないし」

「ハル、何のための(わし)じゃよ」


 溜め息混じりにフォーレストさんが言う。


「すぐにでも手配しよう。それまではここに居れば良い」

「すみません。何から何まで……」

「気にするでない。それに、もし気になるなら、これから少しずつ返してくれればいい。君は今、我らのお客様なのじゃから」

「はい」


 情報が少ない今、あまり自分から動くべきではないんだと思う。

 だから、フォーレストさんの言う通り、少しずつ返していけばいい。

 返すべき、その時が来たときに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ