おっぱいを揉まないと発動しないチート能力
「おい坂田! おっぱい揉ませろ!」
俺は次の瞬間には奴の一撃で空を飛んでいた。
「どうしよう。俺。
増田にドロップキックしちまった!?」
俺の頬に擦り切れる衝撃と炎の熱さ。
舌にこびりつく鉄の味。
頭をぶん回す破壊の翼。
σ(゜∀゜ )オレはのけぞりながらも彼の足首をホールド。
彼も意を得たとばかりに受け身を取った。
俺はジャイアントスイング気味に彼を振り上げ地面に叩きつける。
『坂田! 坂田! 坂田!』
『増田! 増田! 増田!』
歓声をあげる聴衆。右手を振り上げる坂田。
追撃の蹴りを奴の頭にかますσ(゜∀゜ )オレ
甘い喘ぎ声とともに倒れて魅せる奴にフォール。
『乳を揉ませろ?!』
『だが断る!』
俺たちの醜い争いは続いた。
「『おっぱいを揉まないと発動しないチート能力』」
「なにそれ」
「聞け。坂田。おっぱいを揉むとな」
「おう。増田。どうなる」
「おっぱいが揉み放題になる」
「え」
「パイ乙揉み放題」
「なにそれこわい」
そして俺のチート能力発動には以下の条件を満たさねばならぬ。
『相手に能力を知られてはいけない』
『お金などの見返りを渡してはいけない』
『同意の上でなければならない』
「俺にばらしてどうするの」
「だってもう失敗しちゃったもん!
失敗しちゃったんだよ!?
俺パイオツ揉み放題ができなくなったんだよ!?
どうしてくれるのキミ責任とってよ?!」
涙目で詰め寄る俺に口元をひくつかせながら奴はその大胸筋の力で俺を吹き飛ばす。
「落ち着くのだ同士よ!」
彼が魅せるは見事なフロントリラックスポーズ。
俺も負けずにリアリラックスポーズを見せつける。
「落ち着いたか」
じっとしていても噴きだす汗。
見られている恍惚にふるえる肉体の躍動。
今か今かと解き放たれるのを待つその瞬間。
「ああ。キレッキレの身体だな。最高だぜ」
「それほどでもない。そしておっぱい揉み放題の件だが」
ここで彼は眉を寄せて呟く。
「男でもいいのか」
「もちろんだ」
「うん。それで俺か」
ああ。俺らモテないもん?! わかる?!
「やっぱぷるっぷるのマッスルボディだよな!」
「脂肪の塊なんて萌えんよな!」
俺たちは肩を組みあい、お互いに抱き合った。
今日も筋トレの日が始まる。
「へい。姉ちゃん。俺の大胸筋を揉まない?」
「いややああ?!」
「やっぱ、雑念は抜けないよな」
坂田は残念そうに肩を落としていた。




