惑星間恋愛
俺はもうだめだと思う。月という可愛い娘がいながら、俺は木星と密通しているのだから。
木星。
ゼウスの星、ギリシア神話の神々の王を名乗る彼は太陽になり損ねた。いや、自分からならなかっただけだと放言してはばからない恥知らずの男だ。神話のゼウスに倣い、奴の息子娘であるトロヤ群は5400を超える。対して私の娘は月だけだ。ニンゲンどもの不貞により産まれた恥かきっこである人工衛星たちは私の関知するところではない。
我らの関係が露呈すれば、我が弟である火星の真っ赤な顔はそれこそ憤怒の鬼となるであろう。無数の火星隕石が来襲してくることは間違いない。
私より娘が心配だ。あの子は体積が未熟。大気の加護がないのだから。それでも彼女は私のような小柄なものから見ればよく育ってくれた。異常なほどデキが良いのはまさか私の地をひいていないからではないだろうか。
いやいや。
私たちは太陽の公転周期に捕らわれた物質が生み出した兄弟だ。不貞などある筈がない。いや、今私が行っているのは不貞と言わずなんといおうか。
我が衛星である彼女に『私の両親の敵! 死ね!』
などと言われたら立ち直れないが。
しかし。少し妄想にふける。『責任とって結婚して私の面倒を見なさい!』なんて言われたら親父冥利につき、いかんいかん妄想も大概にすべきだろう。ただでさえ今日日の私は地球温暖化によってヒートアップ中なのだ。
木星の重力波による微細な責めは私の極点を激しく溶かして海面水位を増やしていく。
「だめだ。娘に気付かれる」
「ふふふ。あの娘はお前の潮汐をたいそう操りたい模様だな。娘に不埒な考えを抱いているいけない男め」
「やめろ。俺たちはそんな関係ではない。お前みたいに重力で無理やり捕えた奴らと一緒にするな」
「くくく。惑星規模隕石との娘だったなぁ。あの女の味が忘れられないか。地軸が歪んでいるぞ」
「ああああっ」
「か、火星が、8000万キロの近距離で見ている! よせぇ……」
呻く私をねちねちと攻め続ける木星。
「その割には俺の大赤斑から目が離せないようだな。ククク。もっとよくみろ。お前の身体より大きい俺の大赤斑を。どうおもう」
ああ。ああ。
俺の磁気層が震えている。
俺の一四倍の磁気層が俺の身を崩していく。
「だいぶ楽になってきたじゃないか。素直になるといい」
「ぅくっ! む、娘よ! ダメな男を許してくれ!」
しかし、奴の動きが唐突に止まった。
「俺の知らぬうちにずいぶん好き勝手していたようだな。木星よ」
「き、貴様は?? 太陽系最大の4.2ガウスの磁気層を打ち破る貴様は」
「言うまでもない。貴様の磁気層の強さなど俺の黒点にも満たない。ずいぶん小さくなったな。二分の一くらいか?
赤色矮星になり損ねていろいろこじらせたようだな。もっとも貴様が赤色矮星になったところで多勢に影響はない。俺の腕でもだえればいい」「や、やめ……」
俺は。俺たちは太陽の腕の中で何度も何度も転がされる。数億年にかけて、滅ぶまでいつまでも。
激怒する火星隕石が俺を何度も穿ち、快楽はさらに高まる。弟よ。私をそこまで責めるのか。ああ。俺はなんていけない男なんだ。
『あっは~ん? 水星ちゃん。彗星ちゃんも人間が作ったイカロス君もおいでよ』
俺たちの受ける責めなど意に介さないように、姉である金星は今日もどこかの男と嬌声をあげる。
火星から激しく降り注ぐ隕石が俺の内を犯し、新たな命を育んでいく。
あああああ。俺は、俺はそんな淫乱な男ではないっ。
冥王星! 冥王星! 助けてくれ!
許されぬ恋。
惑星ではなくなった彼女は言い放つ。
「もう私は太陽系の惑星じゃないのよ!?」
「それでも僕は君がッ!」
太陽は無慈悲に呟く。『許さん』と。
『でもね。私と冥王星って時々入れ替わるよね。軌道も違うし』
『な、何を言っているのよ海王星』
『ふふふ。今日こそ決着をつけてあげるわ』
『や、やめて。私たちはプラトニックなのよ!』
『の、わりに淫乱な身体……気にいったわ。カッチカチの氷点下以下じゃないの』
『そ、そんなのあなただって……いやっ?』
『私たちには太陽の光なんて届かないのよ』
最後に残った天王星はぼそりとつぶやいた。
『俺にだって輪があるんだが』
天王星にすら取り残された土星はぼやいた。
『一番人気の俺はどうなる』
こうして太陽という輪の中、彼らは愛欲の限りを尽くし、銀河系の周りをまわりまわるのである。
あぁん?だったら地球と木星のBL書いてみろや?あ?
17:12
それで太陽がNTRするんだよ!できるのか、あぁん?




