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熱い夜を過ごしたい
寒風渦巻く冬の夜はオマエとずっと過ごしていたい。
皆が反対する。そんなことは知ったこっちゃない。
俺は柑橘類の香りがするお前を抱き寄せ、布団をまくり上げてお前と一体になる。
熱い熱いお前の燃える熱さに身をゆだね、代償に喉を焼く。
干からびた唇。伸ばす手のひら。時計を掴んで時を見る。
「またこたつで眠って」
「俺はこたつと添い遂げる。止めないでくれ。寒いんだ」
「風邪ひくぞ」
「うむ。だから白ごま油を買った。これでうがいをして喉の痛みはスッキリだ」
「また手間暇と時間のかかる無駄なことを」
「こたつで蜜柑とアイスクリームはまさに神」
「その差し入れ、ぼくがもってきているんだけど。あと皿を洗うのも最近ぼくだよね」
「感謝する」
「さっさと仕事に行け」
無慈悲な奴の台詞は俺たちの仲を裂こうとする嫉妬心の表れに違いない。
俺はこたつを愛している。




