はろうぃんぱーてぃ
なんか変なのいる。
俺が目をむくと近くのバーからうじゃうじゃと魔物やらゴスロリファッションのババアが出てきた。
なんでも近所で千人単位のハロウィンパーティが開催されたらしく、大渋滞で大迷惑だ。
店の前で乳繰り合う外人さんと日本人女。
あああ。もう。イライラ。
おいこらゴスロリ女。さっさとどけろ。こっちは急いでいるんだよ。クラクションを自制する。人数が多すぎる。もう赤信号無視しているし。
「で。大変だったんだね」
そういってフライパンを返す奴。
ぽんっとオムレツが宙を舞い、俺の皿の上のバターライスに命中。とろりと程よく潰れてオムライスの完成である。こいつ腕をあげやがったな。
「あのゴスロリどもをどこかヘリでもなんでもいいから撤去してくれ。ったく」
あははと笑う学生のヤツは思うところがあるらしい。
「うちもイベントで大変だった」
「学園祭のシーズンだもんなぁ」
うちの店も戦場のように忙しかった。二次会特需は昨今、一〇月末からである。
「ヘリよりオスプレイが良いよ。ごつい海兵隊を二十四人載せれるらしいし」
俺の頭の中に浮かんだ映像を説明する。
ゴスロリに塗装したオスプレイ。
三十人くらいのゴスロリファッションを身にまとい、汗臭くも暑苦しいマッチョたちがあでやかな笑みを浮かべつつポージングして乗り込む図が。
「オスプレイなら許せるが、ゴスプレイだったら嫌だな」
「なにそれ。超受ける」
「いや、ゴシックロリータファッション仕様のオスプレイでゴスロリに身を包んだマッチョな海兵隊たちを乗せていくんだ」
「戦地に?」
「おう秋葉原だ」
大阪なら日本橋だな。どこぞのロボゲームの大統領よろしく叫ぶのさ。
『レッツ! パティー?!』
「降下! と叫んですね毛ぼうぼう、ゴスロリのスカートをパラシュート替わりにひらめかせて天より二十四人のマッチョが舞い降りるのか」
「壮観だな!」
天空から舞い降りる、逸物がはみ出た真っ白なパンティ二十四人分が目に浮かぶようだぜ!
スプーンで柔らかくとろみを帯びた卵汁をすくってコメに軽く混ぜ、あつあつの湯気をはふはふしながら口に含む。
「帰りは巣鴨だね」
「いいな。巣鴨プリズンだ」
「というか犯罪だね」
こんなバカな会話をいつもやっている俺たちはたぶん仲が良い。




