中秋の名ゲツ
「知っているか。今年の中秋の名月は満月じゃないんだ」
奴が急に話しかけてきたのはいろいろあって力尽きて天井を見上げていた時だった。
へぇ。そういえば確かに昨日見た月は間違っても満月じゃないな。「暦が少しずれるらしい。これから四年は満月じゃない中秋の名月を眺めることになる」ほう。
せっかく月見団子買ってススキもつけてもらったのになぁ。「だが、昔の人もでっかい火山の噴火の影響とかで空を見れない時期が続いたそうで、そういう時代は月見団子を眺めながら名月を想像しながら歌を歌ったらしいんだ」さわさわと柔らかく、ふわふわのススキからはいつ花粉だかなんだかがこぼれてもおかしくない。部屋が汚れるがこれも風情である。
「シーツ汚しすぎだな」
「家でやるもんじゃないな」
お互い力尽きて蛍光灯の丸い光をけだるげに眺める。
「名ゲツや 快感済んで 洗濯し」
「揺れやギシギシ 闇アンコもち」
思いっきり駄句であった。抱くだけに。
やらないか やらないかたら やらないか
いいおとこ すごくおおきいで いいおとこ




