恥丘か。何もかも懐かしい
古いアニメを昔の男が見ていたことがある。
いや、俺としては絵も汚いし展開もハチャメチャで退屈だったのだが。
「な」
「今良い処なのに。ぐずっ」
「地球じゃなくて恥丘だったら笑えるよな」
「オマエな」
涙目だった野郎の面が忘れられない。
涙が残る目玉と鼻水交じりの鼻が白んで口元をサンカクにしてひくつく姿。
「チ○コばかり見ている」
「そういえば懐かしいな」
果てなき宇宙空間。
旅して旅して、仲間割れや離別や死闘を潜り抜け、
目的の品物を無事取ってきて。くるくる回る肌色の物体。
どこか黒い。何処か皺だらけ。何処か臭い。
回る。濡れる。動く。
柔らかく生暖かく時々固く。
悦楽の味と愛の言葉を求めてひくつくそれは。
「コイツ動くぞ」
「ひくひくと」
台無しだろ。こんにゃろう。
「いや、局部だったらすごくね? 男女関係なく」
「どんなにデカいんだよ?!」
おっさん。普段は受けなのに。
「いやいやいや。嗜好と関係ない。お前の言うことはおかしい」
まぁ、局部だけで恥丘。もとい地球サイズってどんなん? こいつが昔見ていた意味不明のロボットアニメの完結編みたいな映画のDVDみたいな。青い髪の女がゆっくり立ち上がるような。
「あんだけデカいのがきたら無理だな」
「何想像している」
そもそも。奴が言うには地球というヤツは1.083 207×10の12乗立方キロメートルあるらしい。
「でかっ?」
「そりゃ宇宙サイズだもん」
それは突き立てられない。
「お前は地球を犯すつもりか」
というか重さも凄いぞ。殆ど水と岩だしと続ける彼。
5.973 6 ×10の24乗キログラムあるらしい。
「それは上にのられたらやばいな」
巨漢デブの比ではない。
「だって宇宙だし」
意味不明な理由だがとにかく凄いと理解した。
やはり俺はこのケツの穴の小さい男で十分である。
「意味が違うだろ」
俺はにやりと笑い、指先で彼の髪をかき上げる。まだハゲの兆候は出ていないようだ。
「いいじゃん総受け」
「いくら年上と言っても46億年も年上じゃねえし」
「あのな」
俺はそのまま彼の首筋に舌を這わせるとお楽しみを再開した。




