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文化祭の出し物は金魚すくい

 この物語は健全な小説です。

 金魚すくいのお話です。

 何を興奮しているのですか。変態ですね。

「やめてくれっ 二匹も同時は無理だッ」


 一応フォローしておく。このお話は健全である。

 作者の友人。アザとー氏の御子息マリサメ君の高校の文化祭の金魚すくいの屋台で行われる物語である。

 幾度も繰り返すが健全なお話だ。妙に勘ぐらないほうがいい。


 千葉県のとある高校。

 浴衣姿の男女が見守る屋台。先生に叱られない程度に詰めたスカートの女子や逆に摺り降ろしたズボンの男子も集まる。その大人と子供の中間の人々の目に晒され、『彼』は危機に陥っていた。


 すっと少女の手が彼の身体を強く握りしめる。折れそうなほどに。

 苦悶に身をよじらせる彼の悲鳴を無視し、少女はそのまま彼を金魚に向けて突きこむ。

 水に溶け、勢いよく振り回された『彼』は簡単に破れた。

「ポイ(※ 金魚すくいの紙を貼った棒だ)は少し濡らしたほうが良いぜ」

 そう。少しずつ少しずつ慣らさなければならない。そして最後は一瞬の隙をついて数匹の金魚を一気に入れるのだ。そう。一度に数匹を入れるのである。


 ビンビンに張った彼の身体をゆっくり、ゆっくりと浸食していく水。



 脆く破れそうな身体。

 ビチビチと跳ねる金魚が彼を屈服させんとする。

 必死で耐える彼を情け容赦なく握りしめてその下卑た笑みを浮かべる男は衆人環視の前で彼を水浸しにし、暴れるそれを彼と壁で挟む。

「壁すくいは禁止だろうッ」

 激しくビチビチと跳ねる三匹の金魚を入れられたお椀。周囲の感嘆と称賛。衆人環視なのに。彼は崩壊しそうなその身を耐えることにしか使えなかった。

「もっとだ」「もっともっと!」「スゲー」

「この綺麗な金魚を手に入れるのは誰だ 一回一〇〇円券でお願いします」

「俺やる」「俺も」「私も」

 やめろ。やめてくれッ ガキどもッ 俺に触るなッ

 だが彼の叫びに耳を貸すモノは誰もいない。次々と金魚が跳ね、彼の身を壊していく。

「やめろぉっ」

 遂に屈し、無残にもひらひらと水中で揺れゴミとして捨てられる彼。

「今日は盛況だな」

「金魚ぇ~ きんぎょぉ~」

 子供たちがハハハと笑う声がこだまするなか、ビチビチと彼の身を苛む刺激と濡れる身体、容赦なく握りしめられ、身体を這う親指に彼は何度も何度も身を曲げ、破れ、散っていく。

 文化祭は始まったばかりだ。これから起こる惨劇にビンビンの白く薄い身体を震わせる彼は青春の迸りを全身で受けながら濡れ場に向かうのである。

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