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宇宙(とき)の果てまでこの愛を(BL注意)  作者: 鴉野 兄貴


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18/101

キミの思い出はコーラの瓶のラクガキに(777文字)

 よ。ヤツはそういって良く笑い。良くはしゃいで勝手に帰っていく。

 ふざけ合い抱き合いゲームして同じ自転車に乗って家に帰る。

 暑い日はコーラの瓶を買って回し飲み。泡の迸りを唇に受け、喉で味わう。

 黒くて甘い泡を舐めながら奴はつぶやく「関節キスだな」莫迦だろ。そういうと奴は大笑い。

 奴が旅立つ前の日「今日は俺が奢るぜ」というから任せたらクソ寒い日なのにコーラ。勘弁してくれと言うと笑っていた。

 冷たくて甘い泡を苦労して飲み込んでいると透明なペットボトルに黒のインクで何か書いてあることに気付いた。

『ずっと』

 なんだこれ。

 バシャバシャとコーラを捨てるのももどかしくそれをふる。足に少しかかる。

 コーラの色に誤魔化されて書いてあった文字。


『ずっと好きだった』


 なんだこれ。

 俺は戸惑う。なんだよこれ。ホモじゃなくて友達って意味だよな。いやホモだよな。

 お互い笑い合ってふざけ合っていた。携帯電話の番号だって知っている。今すぐ走って行けば追いつくだろうし、電話をすれば真意を問うことも出来るはずだ。



 なのに確認できないこの気持ちは何だろう。

 友達だと言われればそれはそれで嬉しい。でも何かが違う。何かを喪う気がする。

 恋していると言われれば気持ち悪い。だが何か期待している感じもする。

 自らの想いを確定することが出来ないまま、俺はそのボトルを投げ捨て帰路につく。

 もやもやした気持ち。旅立ちの荷物の整理もつかず奴からの電話は『いないと言って』で逃れてしまった。


 田舎から出て、鼻水をすすって涙を呑んで泣いたときもあった。耳が真っ赤になるほど、膝をついて笑ったこともあった。

 仕事もやっと少し覚えて、地味だが可愛らしい後輩に告白されて付き合うようになった。

 親友の残した他愛も無いメールはそのままに、あの頃の携帯も古びて何度も機種変更した。

 久々に当時の携帯電話の電源ボタンを押した。


 電源は入らなかった。

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