第二部 序章
──どうしてこうなった?
──どうしてこうなった?
──どうしてこうなった?
俺は、内心で何度も何度も同じ疑問を繰り返していた。
何しろ俺は……ちょっとばかり古武術をかじったことがある程度の、ただの高校生である。
某映画にもなった有名ヒロインにとって一切興味のないハズのただの人間であり、宇宙人でも未来人でも超能力者でもない、本当にただの高校生なのだ。
そんな一般人であるハズの俺がCMに惹かれてこの『夢の島高等学校』に通い始めたのは三か月ほど前。
サブリミナル効果によって超能力者ばかりが集められている『夢の島高等学校』に普通人の俺が紛れ込んだことで、色々と悶着は起こったものの……まぁ、そんな俺もここ三か月間の努力のお蔭で、何とかこの学校に溶け込み、超能力者から変な視線で見られるようなことはなくなっていた。
だと言うのに……
「どうして、こうなったんだ?」
そう呟くしかない状況に俺は陥っていた。
──何しろ、俺の前には米軍特殊部隊とかいう身長二メートルを超える黒人の大男が立ち塞がっていて。
──しかも、これからコイツと決闘させられるらしい。
まさに、某AAの如く「どうしてこうなった?」と連呼ながら踊り出したい気分である。
全てのことの起こり……いや、全ての伏線が出揃っていたのは、今思い返せば、今日から一か月ほど前の五月十五日。
連休明けにあったテストの結果が俺の手元へ帰ってきたその日のことだった。
……あの日の俺は、まさかその日の食堂に原因の全てが……俺が一月の間に超能力者相手に三〇連戦という無茶苦茶をやらかした挙句、その数日後に米軍特殊部隊と正面から決闘をしでかす羽目になる原因があったなんて……欠片も思っていなかったのだった。