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第3章 26幕 骨折肉切

 キィィン!


 いつの間に出したのだろうか、フォーゴの剣はカスチゴの握る剣で止められてしまっており、そして切り結んだまま両者は激しい剣打の応酬を始めた。


 剣の残像が走り激烈な剣撃の音が響く、両者共に譲らず一進一退の攻防が続いていた。

 がしかし僅かにカスチゴが押している、ジリジリと後退しながら縦横無尽に放たれる刃をさばいていたフォーゴだったがフェイントに気を取られた瞬間、その剣が上に弾かれがら空きになった胴体目がけてカスチゴの剣が迫り来る!

 だがフォーゴも負けてはいない。


 弾かれた剣から手を離しそのまましゃがみ込みカスチゴの攻撃をかわす!

 しゃがんだ状態から蹴りが一閃カスチゴの脇腹へ綺麗に決まる。


「ぐふっ! そうで、なく、てはな」

 脇腹にめり込む脚を掴まれ盛大に投げ飛ばされるフォーゴ。


 投げ飛ばした後を追い地面を蹴るカスチゴ、スピードを乗せた剣を水平に構え、未だ滞空しているフォーゴの首めがけて横薙ぎにする。かろうじてその刃を避けたフォーゴだったがこのまま吹っ飛べば壁に直撃してしまう。


 しかしフォーゴは飛ばされながらも体を反転させ、壁に着地する。

 そこにカスチゴが追い打ちをかけるように剣を振りかぶりながら突っ込んできた!


「まずいっ!」

 剣が迫る方向とは逆に跳ぶフォーゴ。

 跳んだ脚のブーツをカスチゴの剣がかすめる。


 ギュリリリッ!


 金属同士が擦れ合う嫌な音が響いた。

 転がりながら地面に降り立つと先ほど弾かれ転がっている剣に向かい疾駆する。


 攻撃をかわされたカスチゴは反対の全ての手に光の玉を生みだしフォーゴに打ち出していく。

 すんでの所で剣を取り戻し、背後に迫る光弾を振り向きざまに切り払うフォーゴ。


 全ての光弾を叩き斬った時、

 

 ぞわり。

 

 またしても殺気を感じ背後に剣を振りつつ前に転がるフォーゴ。

 転がりざまに目に入ったのは天井、こちらに腕を突き出し全ての手に光弾を宿らせながら落ちてくるカスチゴの姿がそこにあった。


「くっそ! まじかよっ!」

 急遽態勢を立て直しながら距離を取ろうと床を蹴り、少しでも距離を稼ごうと脚に力を込める。


 駆け出した後を追う様に無数の光弾が降り注ぐ!

 降り注ぐ光弾に追われながらフォーゴはカスチゴの姿を探す。

 もはや空中にカスチゴの姿は無い。


「意識、は常、に全方位に、無けれ、ばな」

 耳元でカスチゴの声がした。


「がはぁっ!」

 フォーゴが反応するよりも早くカスチゴの膝蹴りが決まっていた。


 メキメキと骨が軋む音がした。


(このままふっ飛ばされればまた同じだっ!)

 奥歯を噛み締め、膝が胴にめり込み骨が砕ける音を聞きながらも蹴りの反動に耐えるフォーゴ。

 ごぼごぼと肺から空気が抜けていく、それと同時に喉の奥から血潮が這いあがってくる。

「あばらの二、三本ぐらいくれてやるよぉぉおっ!」

 口から盛大に血を噴き、骨が折れていく激痛に耐えつつも空いたカスチゴの脇目がけて斬り上げる!


「しまっ……!」

 

 その刃はカスチゴの脇から斜めに入りそのまま反対側の肩まで一刀の元に斬り裂いていた。


「ぐふっ……こりゃ二、三本どころじゃなさそうだ……」

 

 ゲホゲホと血を噴き出しながらその場に倒れ込むフォーゴ。

 カスチゴは膝蹴りの態勢のまま固まっていた。


「楽し、かったぞ、我、はもう少、し戯れた、かったがな」


 カスチゴの体に斜めの赤い線が走る。


「俺はもう……ごめんだぜ……」


 肉が地面に落ちる音を聞きながらフォーゴは意識を失っていった。


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