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第3章 ⅩⅣ幕 双頭の魔獣

 フォーゴがそう口にした時だった。


 ヒタ……ヒタ……と確かに何かが近付いてくる足音が聞こえる。

 カロロロロ、グルルルルと異なった唸り声と共に。

 一気に緊張の意図が張りつめる。


「アウラ、今のうちに炎の矢1本だけ出して」

 声を潜めてアウラへ指示するクレン。


 それを聞いて無言で指示通りにアウラが動く。

 爆弾の入った袋に手をかけようとしたその時だった。


「来るぞ! 下がれ!」

 フォーゴが叫んだ。


 同時にアォォオォォォンと言う犬のような遠吠えが二つ聞こえた。

 だが目の前の通路には何もいない。


 こちらに向かって来る足音だけが聞こえる……。


「上なのですー」

 アウラの声にハッとした三人は天井を見上げる。


 双頭の犬のような魔物がこちらに走って来るのが見えた。


「爆弾投げるよ!」

 最初に動いたのはクレンだった。


 導火線に火を点け天井の魔物目がけて投げつける。

 投げられた爆弾は魔物の目の前で爆発した!


 だが爆発の瞬間、魔物は身をひるがえし地面へと降り立っていた。

 その大きさは大型犬の数倍はあり、もはや大型の肉食獣と変わりなかった。

 

 ルォォォオオン!


 突然魔物の一つの首が吠えた。


 すると魔物の周りに拳大の青いつぶてがいくつも生まれた。

 それの一部がクレンへ目がけて突き進む!


「いけません! クレン私の後ろへ!」

「うひいいい」

 言われたクレンは慌ててイデアの後ろへ隠れる。


 間一髪かわしたクレンはイデアの横から覗き込み魔物の様子をうかがう。

 残りのつぶてが真っ直ぐイデアへ向かって来る。


 だがイデアは目の前で掌を交差し、あらかじめ唱えていた魔法を発動させる!


「【リヒトモーエア】!」

 交差した掌が輝きそこから大きく円状に光が広がり光の壁を形成する。

 

 ヴァジュジュ! ヴァジュジュジュジュ!


 光の壁に当たったつぶては嫌な音を立てて消失する。

 一方フォーゴはクレンを狙ったその隙に双頭の魔物へと突っ込んでいた。


「うぉおっるぁ!」

 気合の叫びと共に一閃!

 二つある魔物の首を一気に薙いだ。

 攻撃態勢のまま固まる魔物。

 剣の鋭さゆえ切られた事が分からないのか、切られたはずの首はピクリとも動かなかった。


「ふぅ、案外楽勝だったな」

 くるりとこちらを向き剣を肩に乗せるフォーゴ。


 だがその後ろで微かに魔物の体が震えた。

「だめっ! まだ生きてる!」

 クレンが叫ぶ。


 クレンの声を聞き反射的に前へ大きく飛ぶフォーゴ。

 その瞬間、クレンは見た。

 

 魔物の背中が盛り上がり、触手のような物が無数に生えてくるのを。

 そして、

 今までフォーゴが居た場所の地面が音も無く無数の小さな穴が開いた。


「何だってんだっ!」

 地面の穴と魔物を交互に見て叫ぶフォーゴ。


 魔物が動いた様子は無い、だが目の前には明らかな攻撃の傷跡。

 背中から生えた無数の触手が獲物を探すようにウネウネと蠢いている。

 魔物と距離を取り剣を構えたまま出方を窺うフォーゴ。


「あれはオルトロスですわね……。双頭の口からは異なる魔法が発動出来て背中には無数の蛇の頭を持つ触手、そして尻尾は大蛇そのものです」

 

イデアの説明に合わせて、オルトロスと呼ばれたその魔物の切ったはずの頭がブルブルと震えボトリと落ちた。


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