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第3章 ⅩⅡ幕 装備

 先端から柄までが湾曲しており刀身は肉厚、幅広で柄に向かって細く絞られていた。

 剣柄は長くフォーゴが両手で握っても拳一つ分余っていた。

 そして格子状のハンドガードが施されており、そこに赤い宝石が四つはめ込まれていた。


「不思議な剣ですわね。どうしてこれだけこんな重厚な箱に入っていたのでしょう」

 はて?と首をかしげながら剣と箱を交互に見るイデア。


「神殿にあるんだから何かの儀式に使う剣とかじゃないの?」

 クレンがしげしげとフォーゴの持つ剣を見ながら言った。


「いや、儀式用の剣であるならもっとシンプルな形状をしているはずだ。こんなに攻撃的じゃねぇよ」

 そう言うとフォーゴは手近にある袋を一つ掴み放りあげた。

 そしてフォーゴが手にしていた剣で落ちてきた袋を素早く横に薙いだ。


 トサっと音を立てて袋は地面へと落ちたのだが袋は切れていなかった。


「あれ、これ切れて無いじゃん。フォーゴ外した?」

 クレンがニヤニヤしながら言った。


「いや……確かに手ごたえはあったんだがな」

 驚いた表情で切ったはずの袋を持ち上げようと手をかけた。

 しかし地面から少し離すと袋は下半分が落ちてしまった。。


「んなっ、まじかよ! どんだけ切れ味いいんだ? よし、嬢ちゃん少し切らせろ」

 いきなりとんでも無い事を言い出すフォーゴ。


「はぁ!? ばっかじゃないの!? 何でボクが試し切りされなきゃいけないのさっ!」

 そのいきなりとんでもない事を言われたクレンが猛烈に反対する。


「フォーゴ。切っていいよ、なんて言う人が存在するとお思いですか?」

 はぁ、とため息まじりにフォーゴをたしなめるイデアだった。


「やっぱり駄目か。なら魔物で試してみるかね」

 フォーゴは残念そうに言いながらヒュンヒュンと剣を振ると一旦箱の中へ戻したのだった。


「剣があるなら防具もありそうだ、嬢ちゃんも探すの手伝ってくれよ」

 そう言うとフォーゴはまた物色を始めた。


「クレン、貴女にもいい物があれば良いですわね」

 箱から頭を半分だけ覗かせながらイデアが言った。


「イデア、それ軽いホラーだから止めてよ……一瞬びっくりしちゃったじゃない」

 ため息交じりに呟くとクレンは諦めた様子で手近な箱を開け始めた。


 中に入っているのは食器であったり何かの部品であったり書物であったりと様々だった。

 袋は空っぽの物が多く大した収穫は見込めなかった。

 いくつかの箱を開け終えた所でイデアがクレンを呼ぶ声がした。


「クレンーこちらへいらしてくださいませんか? いいものがありましてよ」

「今行くよー」

(片付けないでいいよね、ボクそういうの苦手だし)

 ちらりと散乱した箱を見るが自分に言い訳をしてイデアの元へ歩み寄る。


 声はするがイデアの姿が無い、よく見渡してみると木箱が三つ重なった所の上から手だけがクレンを手招きしていた。


「だーかーら! イデアそれ冗談でやってたら怒るよっ?!」

 それを聞いてウフフフフと笑い声が聞こえた。


 確信犯だったのだろう、趣味の悪い冗談だ。


「面白い物ってなにー?」

「この箱を開けて下さいな、お召し物が入っておりますわ。いつまでもその血で染められた服では良い気分ではないでしょうから?」


 箱から出てきたイデアが鼻をつまむ仕草をしながらクレンを指差した。

 ミノタウロスの臓物と血をあびたままだった事をクレンは忘れていたのだ。


 なぜだか分からないが特に血の臭い等はしなかった為に血濡れでも大して気にならなかったせいだろう。

「うーん、そうだね。服があるなら着替えようかな」


 積まれていた箱を一つずつ下ろし中身を確認するクレン。


 開けてみると中にはこれまた神殿には不釣り合いな服が出てきた。

 細かい網目の付いた金属製の七分丈のインナー。

 薄い金属の板が何枚も付けられた肘まである手袋。

 色とりどりの紋様の刺繍が施されたフード付きのワンピース。

 がっちりとした金属で作られた膝まであるブーツ。

 それらを見に付けたクレンを見たイデアが一言。


「お似合いですよ? まるで軽装備の冒険者のようですわ」

 とにっこり笑いながら手をパチパチと叩く仕草をする。


「重いし暑いしガチャガチャうるさいんですけど……」

「ですがそれぐらいしないと魔物の爪や牙でやられてしまいますわよ?」

「やられる事を前提にして話を進めないで欲しいなぁ……これさ、服じゃなくて完全に装備じゃない? ガントレットに甲冑レガースにインナーに着てるやつっていわゆる防刃ベストだよね? まともなのはこのワンピだけじゃん」


 自分の姿を見ながらクレンは不満そうにイデアを見る。


「いえ? そのローブも対魔法処理がかけられていますわよ? 威力の弱い魔法であれば無傷でいられると思われますわ」


 きょとんとした顔でクレンを見るイデア。


「ワンピースじゃなくてローブなの……そうなの……まぁ死なないならいいよ……」


 諦めたように肩を落とすクレンだった。


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