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第3章 Ⅶ幕 意思

「ふふふー! 自分の得意技をお忘れなのですかー」


 そう言いながらミノタウロスの前に躍り出る。


「クレン様はあげませんよ。自分のトモダチなのですから」

 ミノタウロスは突如目の前に現れた小さなアウラに驚いていた。


「ありがと、アウラ、けほっ!」

 背中を打たれた衝撃で咳込みながらイデアと共に距離を取るクレン。


「いきますですよ! 懐に潜り込みー力を込めてー必殺! アウラブリッーツ! なのですよー」

 

 ミノタウロスの目の前に飛び出したアウラは叫びと共に激しく光り輝いた。

 

 オオオオオンン! 


 激しい閃光で目を焼かれたミノタウロスは目標を見失い斧を滅茶苦茶に振り回し始めた。

 一振り毎に周りの壁や地面を叩き割りこちらへ向かって来る。


「うわ、やば! 逃げろおお!」

 掛け声と共にまたも走り出すクレン達。

 もうすぐ曲がり角だった、ここを曲がればさすがに分からないだろう。

 そう思っていたクレン。

 

 だがその期待はあっさりと破られた。

 その曲がり角から獅子の頭が生えたのだ。

 しかも不自然な程高く。


 獅子は現代にも存在する動物だ、クレンも実物も見た事がある。

 だがあの高さは明らかに獅子では無い、軽く2メートルは超えている。


 そして聞こえるカサカサと言う音。

 これはアレだ、虫の音だ、きっとあの絵だ。


「そんな……」

 目の前の異変に気付いたイデアも声にならないようだった。


 走るのをやめたクレン達の前にソレがゆっくりと姿を現した。

 頭から胴半分までは獅子であり、そこから半分は蟻。

 丸太のように太い脚、巨大な口から覗く短剣のように鋭い牙。


 絵で見た通りの魔物がそこにはいた。


「気んもち悪ぅ……」

 見る者に嫌悪感しか与えないだろうその獅子蟻は不自然な体を震わせ、唸りながらこちらへゆっくりと進んできた。


「あれはミルメコレオ。見た通りの醜悪な魔物ですわ。頭が良く、そしてとても足が速い……クレンでも逃げ切る事は難しいでしょう……」

 いきなり絶望的な事を言ってくれる。

 

 前門の獅子、後方の牛といった所か、そうしているうちにもミノタウロスは突き進んでくる。


「これ、かなりやばい状況じゃない? イデア魔法で何とかなんないの?」

 嫌な汗が額をぬらす。

 さすがにあの横を通りぬけて逃げる自信はない。


 だがそこでミルメコレオは歩みを止めた。

 低い唸り声だけをあげ、こちらを見つめていた。


「既に魔法を発動する準備は出来ておりますわ。どちらか一体でしたらなんとか相手は出来ますでしょうけれど二体同時は少し厳しい事かと……」

 イデアは止まったミルメコレオの対処に策を巡らせているようだった。


 そしてクレンも後ろから迫りくるミノタウロスを見ながら何か策は無いかと頭をフル回転させていた。

 ミノタウロスは目が見えるようになったのか、まるで追い詰めるかのようにゆっくりと斧を引きずりながらこちらへ近づいてきた。

 

 石と金属がこすれる嫌な音が神殿の通路に響く。

(こいつ……遊んでるのか……?)


 いつでも殺せる、とでも言いたげなミノタウロスの表情。

 魔物にも意思があるのだろうか、少なくともいたぶる、と言う事は知っているようだった。

 後ずさりをしながらクレンはふと後ろのミルメコレオを見る。

 やはり、動いていない。


 襲って来ないのだろうか、いや襲って来ないで欲しい。

 それが二人の正直な意見だった。


 そして眼前に迫るミノタウロスがゆっくりと斧を振り上げる。


「とりあえずこのままじゃ死んじゃうよ! アウラさっきの目くらましお願い!」

「はいですー!」


 クレンの指示でアウラが斧を振り上げたミノタウロスの顔へ飛び込もうとしたその時だった。


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