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第3章 Ⅴ幕 幼馴染

「いやぁ……びっくりしちゃった……あれは何ですか」

 しばらく走り続けた後、クレンは壁にもたれながらイデアに問いかけた。


「私にも分かりかねますわ……しかしあの歪みから膨大な魔力と共に大量の悪意や憎悪が噴き出しておりました、先ほど感じた悪寒はあの歪みが原因だったようですわね。幽体の私までが感じられる程の悪寒、クレンにとってはもっと強く感じているのでしょう?」


「そうだねー……始めは若干の違和感だけだったんだけどね、今考えるとどんどん強くなっていった気がする。でももう慣れちゃったよ、あははっ」

 半ば諦めたかのようにそう言って苦笑いを浮かべるクレンだった。


「クレン、貴女は何か私に話していない事が御有りなのでは? 切羽詰まったように思えますけれど」

 そうだ、イデアはレミを知らない。

 レミが消えた時イデアはまだ覚醒しきっていなかったのだ。


「そう……だね、全部話すよ。隠しててごめん、て言うか隠してるつもりもなかったんだ」

 クレンはぼんやりと地面をみながらぽつりぽつりとこれまでの経緯を話していった。

 夢の話。

 レミとカイルの話。

 発電所のトラブルの話。

 レミが消えてクラスメイトや幼馴染のようなカイルにも忘れられてしまった話。

 朝ご飯がおいしくて嫌な予感がしていた話。

 最後は冗談交じりに話したのだがイデアは黙って悲痛な面持ちで聞いていた。


「そうでしたの……それは不憫でなりませんわね……」

「だからボクはレミを見つけたいんだよ。こんだけ異常な事が起きてるんだもの、もしかしたらそのウチにレミもひょっこり出てくるかもしれないでしょ? だからさ」

 話を終えた時クレンの頬には一筋の涙が伝っていた。

 心に溜めていた事を吐き出したせいだろう。

 クレンはすっきりとした顔をして涙を拭いた。


「さぁ進もうよ! 先に進めばもっと異常な事が起きるかも知れない、レミを見つけなきゃ!」

 気合を入れるように顔をパンパンとたたきクレンは言ったのだった。


「えぇ、そうですわね、レミさんはどこに行ってしまわれたのでしょうね」

 目に涙を溜めたイデアが賛成する。


「所でイデア、ボクがバスの中で聞いた時に彼を止めてくれって言われたんだけどあれはなぁに?」

 あの時の言葉の意味を聞く事を今まで忘れていたのだ。


「私がそのような事を申したのですか?」

 イデアが怪訝そうに首をかしげる。


「うん、彼をとめて、世界が、時が。って言ってた」

 覚えて無いの?とクレンが尋ねる。


「申し訳ございません……正直な所ですが今の私は記憶が曖昧になっておりまして思い出せない事も多々あるのでございます……」

 どうりで今の今までその話題が出なかったわけだ。

「じゃあ思い出したら教えてね」


「そのレミさんて時空間に引きずりこまれちゃったんじゃないですー?」

 それまで喋らなかったアウラが口を開いた。


「え……? で、でもあの時はひどい揺れだけであんな歪み出て無かったよ?」

「その揺れは多分時空震なのですよー、あんな大きな歪みが出来るって事はその前に予兆があったはずなのですよ」


 ふわふわと二人の間に浮かびながらアウラは続けた。

「そもそも時空、時の流れは目に見えない物ですよ、多少亀裂が入っていたとしても普通の人にはわからないですー、その亀裂がレミさんて人に偶然重なっちゃったのならその人は消えちゃうのですよー」

 もしアウラの言う事が本当ならば……。

 冷たい現実を突き付けられクレンは動揺していた。


「も、もしだよ? その時空間に引きずりこまれちゃったらその人はどうなるの?」

 恐る恐るアウラに尋ねる。


「別の時代の同じ場所に放り出されるか、その人の時間が止まったまま時空間内に取り残されちゃうか最悪……」

 アウラはその先を口に出す事をためらっているようだった。


 イデアとクレンの顔を交互に見ながら続けてもいいのかどうか目線で伺っていた。

 ある程度予測は出来るが聞かなければならない。


「いいよ、続けて?」

「はいですー、最悪な場合、その人は意識を持ったまま肉塊になって出てくるか、周りにあるものと融合して死んじゃうですー……」


 最悪だ。


 仮にレミがそんな事になってしまったら耐えられないかもしれない。

 悪夢としか言いようがなかった。

 クレンは全身の血の気が引いて行くのが分かった。


「で、ですがまだそうときまった訳ではありませんのよ? 気をしっかり持つのです! 人は悪い事ほど強く思い描いてしまいます、レミさんはきっと大丈夫ですわ!」

 クレンを励ますようにイデアは言った。

 そんな時だった。

 

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