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RPGものなのに18回かかってようやく戦闘回にたどり着いた件について

タイトルだけではなく本文も長くなりましたので、校正&推敲はまた今度のに。疲れた。


NHKで立花誾千代がツンデレと紹介されていた、大丈夫かNHK。

全部美談にするのがさすがすぎる。立花家はやはりいいな。十時さんとか大好き。

富田信高はそのうち出るかな。そこまでいけばですが。

 猿轡を噛まされて、後ろ手に縛られ、足首も固定されてしまった俺は、座る事もままならず。無造作に地面に転がされていた。


「だから、こいつも一味なのよ!」


 先程挨拶をした、おばさんとお姉さんの中間生物が大声で喚き散らしている。


「人の良い蓬ちゃんを騙して、きっと売るつもりだったのよ。まあ、可愛い顔して恐ろしい事を考えるわ」


 生ゴミを見る様な眼で睨まれる。それでいて口元の薄い笑いを隠せない。俺はこれをよく知っていた。弱い者をどういたぶろうかと舌舐めずりしている人間以外の何でもないことを。


「全く汚らわしい人間ね」


 彼女の中ではそういうストーリーが決まってしまったんだろう。

 どこにでもいるよね、こういう人。自分だけが正しいファンタジー思想感のひと。


 最初は、俺の扱いに対して議論らしきものをやっていたが、いつか彼女の独演会と化して、男衆は苦々しげに見守っているだけになってしまった。

 議論とは、得てして声の大きいものが強いのである。


 蓬の家を囲んだのは村人である。HPがロックされている状況で、襲撃された訳だ。要は異邦人の俺と貴志が賊の仲間だと思われてしまったのである。

たしかに、客観的に見てもこのタイミングでやってきた事は怪しいにもほどがあった。

 それでも、当初は俺が女性という事もあり、すぐさま剣呑な雰囲気も一変して、戸惑いの空気がすぐに辺りに広がった。

 これなら、ひとつひとつ状況を説明して、誤解を解くのもたやすいと、二、三問答を交わした時だった。


 物陰から見えいたこのおばさんが、しゃしゃり出てきて、ヒステリーを起した。

そうして、そこまで話の流れなど関係無しに幾度も、強硬に俺を縛り上げる事だけを主張した。

 おそらくは最初は安全な所から様子を見て俺に害がないのが分かった上で、前に出てきたのだろう。目にどうしようもなく卑屈でサディスティックな光を宿していた。

 

 俺は、逆なでしないように、簡単な誤解を解こうとしたが、まあなんというか独善的な人間に納得してもらう作業は中々に困難であるのはおわかりだろうか。

この手の人間にありがちな自分の意見が通らないと、まるで自身が全て否定されたみたいに感じてしまう特有のアレである。

 話を聞くに、蓬家まで村人たちを先導してきたのはこいつらしい。要は、俺があいつらの仲間でないと、都合が悪いのだ。この一大事に村の男衆をさいて関係ありませんでした、となったら、どう考えても外聞が悪いのである。

プライドが悪い意味で高い人間は、自分の間違えを断じて認めないし、認めさせたくないのである。議論が、そちらの方向に流れると、ただ、訳のわからない金切り声でがなるだけだった。


 村のコミュニティでそれなりの立場にあるらしい、男衆は彼女の意見に逆らえず。口々に謝辞を述べながら、ごく緩く縄をかけた。


 彼女はそれも気に入らなかったらしく、村八分的なものにするぞとまで言って、まるで脅すように男衆に強要した。

こうして俺は実に丁寧に縛りあげられてしまったのだ。


 しかし、布噛まされると、人間本当にしゃべれんのな。


 俺の様な理屈屋さんは日本語が通じない状況に非常に弱い。

 この時はまだ余裕があった。貴志が戻ってくれば、力任せではあるが何とかなるだろう。この状況を切り抜けて、蓬さんをちょっと乱暴に起こせばいい。切れた、貴志を宥めるのが一番大変だろうが。あいつは自分に対する悪意にはへらへらと無頓着な癖に、俺がそういった状況になると、一変して怒りを撒き散らす。

 俺の事を自分の子どもか何かと思ってるサバンナの生き物みたいだ。


 その間ものべつ幕なくしゃべり続けている倒しているその様子を呆れた思いで、じっとみていた。


「蓬ちゃんも、蓬ちゃんだわ。こんなのを村に引き入れるなんて、これだから母親の居ない家は駄目なのよね。あの子も、澄ました顔の裏でどんな事を考えているか分かったものじゃないわ」


 さっきと事なる、支離滅裂なことをしゃべりちらかしている。

 目の前が真っ赤に染め上がった。


「ひっ、なんなのその!生意気な目は」


 怯えたように一歩下がったが、それ以上俺に何もできる力がないのを感じ取ったらしい。

 ゆっくりと近づいて来て、足を振りかぶって、蹴りを俺の腹に振りおろしてきた。


「っふぐ」


 体を庇えるわけもなく、いきなりの衝撃に体が強張った。

 崖から水面に叩きつけられたみたいに息が吸えなくなり、体を無様に縮こめることしかできなかった。


 そんな様子に気をよくしたらしい、何度も、鞠のように蹴り続けられた。

 腹だけじゃあきたらず、顔も蹴りあげられた。

 灼熱とした痛みが口の中に広がる。口布の間から、どろりとしたものが流れる。

 

 その乱行は、我に返った男衆が押さえつけるまで続いた。

 それでも無理やり押さえつけられつつも蹴り続けた所為で、バランスを崩し、足を軽くひねったらしく、ぎゃあぎゃあと大騒ぎをしている。


「きつ、わたしに怪我させたのよ!恐ろしいわ!足のここが腫れているじゃない!」


 息を荒げつつ、あくまで被害者面を厚かましく主張している。

土埃や草鞋の足跡でまるで襤褸雑巾のようになってしまった俺を気の毒に思ったのか、何人かが囲むようにして、狂騒する彼女との間に入ってくれていた。


「早く殺しちゃいなさいよ!」


「だから、やつらの一味とは決まったわけじゃないだろ、あんた無関係な人だったらどうするつもりだ」


 おそるおそる、髭面の村人がそう彼女に主張する。


「だったら人質になっている村長さんと交換すれば良いじゃないの!無関係な人間なら、ちょうどいいじゃないの!」


 その意見が一方的に彼女の中で決まったらしい。清々しいまでの厚顔さである。他人事だったら、俺も笑っていられたかもしれないが、己の身となるとそうもいかない。貴志が戻るまで時間稼ぎをしようと暴れたが、この状況では如何ともしがたく、三人がかりで担ぎあげられ、持ち運ばれてしまった。



 いかにも粗野な笑みを浮かべる落ち武者、やつれているが眼だけが研いだ刀のように鋭い。周りの武者もみな泥や血で汚れている。

 数はちょうど十人。それなりの身分である事を、いかにも頑丈そうな鎧がしめしている。

 どいつもこいつもまあ、殺す事が上手そうである。


 村人たちはその五倍はいるだろうか、交渉役の男が一人。


 あのおばさんは最初最前列を歩いていたのに、いつの間にか一番後ろに回って、交渉事を見守っている。ブレねえ。


「な、なあ、はやく村長を返してくれ」


 青くなりつつも、そうしっかりと口に出す。


「だってよ、お頭どうする。ひっひっひ」


 いかにも軽薄そうなが、下品な笑みを浮かべる小男の武者。


 その視線の先には巌のように、鎮座した男が一人。他の奴らと一回りも二回りも体の大きさが違う。そして、一目で大将と分かる筋がふんだんに使われた豪奢な鎧をつけている。

 現代でも大男の部類に入る大きさだ。

 大石の上に胡坐をかき、右手で日本刀を握りしめ、汚れた左手で握り飯をかッ食らっている。その動作がなければ寝ているのだと思えるほどに置き物のようにじっとしている男だった。

 いかにも、群れのボスの狼といった風情だ。


 そいつはまわりの喧騒を全く気にせず食事を続けている。

 辺りに飯を咀嚼する音だけが不気味に響いている。

 呆れるほどの数の、それを次々と頬張る。

 最後に足元の子供の頭ほどもある甕を片手で持ちあげる。中には並々と入った水を、ゆっくり嚥下する。

 あっと言う間に空にすると、そこで満足したのか。村人たちに今ようやく気付いたように、ぎろり視 線を動かす。

 石になったように、その場で固まってしまう村人たち。


 そして言う。デザートでも要求するように。


「…追い払え」



「ひっひっひ、待ってました」


 小男は、音もなく、大太刀を抜く。洗練された動作に、たしかな強さが見えた。


 目の前の交渉役にいかにも慣れた動作で振り下ろす。無残に袈裟に切り裂かれ、おびただしい血を流す。


「ぎゃあああああぁあああ!!!」


 一瞬遅れて、悲鳴を上げた後、その場にうずくまった。


 取り囲むように見ていた村人は、蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。

 乱世では、戦争に行っては暴れてく農民たちもいたが、この村はそこまで死というモノに慣れていなかったらしい。



「頭、追いますかい?」


「否」


 それだけ答えるとまたも塑像のように鎮座する。武者たちの頭目。


 あとには死体が一つと、放り出された鎌や槍やらと一緒に、簀巻きチックにされた俺だけが残された。

 忘れ物の無いように注意して欲しいな。本当に心の底からそう思う。


「よお、お嬢ちゃん、怖かったろうなぁ、ひっひっひ」


 血濡れの太刀を見せびらかすように、小男が静かに近づいてくる。

 その様子にひるむのを期待していたらしい。じっつとその眼を見詰めたまま、眼をそらさず地面に転がされている俺を、いぶかしげに見ている。


「肝の据わったお嬢ちゃんだな、まあいいさ。俺っちが、助けてやったんだからお前は礼をしなきゃなんねえ。そいつが人の道ってものだろ」


 ひっひっひ、と下品に笑う。


 そこで、太刀を俺の脚の間に入れて縄を断ちきる。ぬるりとしたものが、肌に残る。気持ち悪い。


「心配すんな、痛くしねぇからよ。寧ろ気持ちいいぞぉ」


 控え目に見て最悪である。テンプレ展開過ぎて言葉がない。倫理規定はNPC側も破棄されたみたいである事が分かった。良質の物語に必要な意外性がないなぁ、全く。


「うそつけー、へたくそだろお前!」


「まだガキじゃねえかよ。お前も好きだねー」


 別の武者たちが、野次を飛ばす。


「うるせい」


 とへらへら笑って、うつ伏せになっている俺のあごを持ち上げる。


「いやあ、とんでもねえ見事な器量だな。お頭について来て正解だったぜ」


 そのまま乱暴な手で、おれを仰向けにひっ繰り返すと、足側に回り割って入る様に腰を落とし跨がられた。そして、胴丸の後ろの帯に手を回すために、無造作に太刀を脇に置いた。


 はい、無防備ですね。ありがとう。


「はあぁ!」


 気合い一閃。膝でローブロー。その痛みは想像したくもない、最悪の手ごたえ。いな、足ごたえ。

 小男は悶絶して、その場に崩れ落ちる。その身体の下から素早く抜けだし、傍らの太刀を拾い上げて構える。


「さて、どうする」


 一人ダウンしても、九人か。分が悪いにもほどがある。ニヒルに笑おうとした所。


『このアイテムは装備できません』


「へ?」


 目が点になった。

 

『このアイテムは装備できません』


 無情なシステムメッセージ。


「ええー」


 不満を漏らす。

 構えたはいいが、そこからはピクリとも動かない。


「くそ、システムがびっくりするくらい律儀すぎる!」


 〈白拍子〉は槍や刀剣類は装備できなかったりする。刃物は薙刀オンリー。


 気付けば、他の落ち武者たちも腰の物を引き抜き、じりじりとこちらに近づいてくる。


「てめぇ、よくもやりやがったな」


 口角泡飛ばし、小男も立ち上がる。Oh、一対九が、一対十に戻っちまったよ。


 脇差を抜いて、太刀が一息で撥ね飛ばされた。


「ぐっ」


 たまらず、間合いを取った。


「ひっひっひ。恥かかせやがって、たっぷりとお礼をしてやろうじゃないか、えぇ、お嬢ちゃん」


 舌で脇差をなめ上げ、暗い嗤いを浮かべて一歩、二歩と歩みを進める。


「優しくしてやるのはもうやめだ、てめぇは殺す」


 高く上げた腕は首に向かって振り下ろされた。


 防ごうと懐中から、白木の扇子を出し、広げる。

 だが、太刀を撥ね飛ばされた痺れから、取り落としてしまう。


「…しまっ」


 耐えられる防御力も初期装備にあるはずもなく。


 案外、死というのはあっけないものだなぁ、薄ボンヤリとした感想を最期に思った。


「ごがっ」


 死が鈍い音とともに遠ざかる。

 突然、サッカーボール大の石というか、岩というかが、飛んできて小男の顎をたたき割った。

 さっきの死体にも負けないほどのおびただしい血が流れている。


 まるで、マンガみたいなご都合主義。

 タイミングをはかったかのような、登場シーン。

 それもまた俺の日常。

 さもありなん。俺の知る限り、あいつはずっと物語の主人公そのものみたいなやつだったから。


今度は・・・間に合ったぞ」


 子供が襲われた事に、怒れる母ライオン。全身の毛をいからせて、物騒な気配を全身に身にまとう。貴志雛姫その人である。


間あきました。この回書くと嫌な気分になるとわかっていたから。自己責任ではあるがプロット作った奴出てこいといいたい。


会社の先輩は歴史好きはガンダム好きと言ってましたが、自分は歴史好きはサッカー好きの素養があるというのが持論です。

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