2-2 失敗は続けて起こるものなんです
「それでは、出発は明日ということで。」
説明を終えたオイゲンは、そう付け加えて場の解散を下した。
「むぅ………」
俺は街灯の下でメモと格闘していた。
さすがに屋敷に居座り続けるわけにもいかず、
すっかり日が落ちた街路に明かりを求めて、屋敷から少し離れた階段に俺は座を構えた。
落ち着いて見直しても、やはり理解は難しい。
「アンタ、なにやってんの?」
不意に声を掛けられたが、振り向かなくても誰だか判る。
「さっきのお話の補習授業、邪魔すんなよ」
遠慮なくリルドナを邪険にする。
「ほう、先刻は随分と熱心にメモを取っていたかと思えば、」
「お仕事に熱心なのですね」
ルーヴィックもリウェンもいるようだ、まぁ当然か。
「いやぁ……全然理解できなくてね、ほとほと困ってる」
「アンタ無能のくせに、真面目なのねぇ」
「姉さんが、不真面目なだけです」
完全に煮詰まっていた頭は、思案の中断という防衛本能を紡ぎだした。
顔上げてメモを閉じる。
「お前達は理解できてたようだな、うらやましいよ」
「いや、あれは説明が悪いし、ムダに勿体ぶって余計にわかり難くなっていた」
「そうなのか?」
「はい、そうですね。
話を要約しますと、まず目的地は森の奥に存在する無人となった屋敷です、」
「そして、その屋敷には特殊な結界が掛けられていてな、普通には辿り着けない、」
「あの森は妖精の森だらからねー、そこに在る屋敷も普通じゃないのよ、」
「その結界を打ち破れるのが、先程の剣の鞘――というわけだ」
三人が演劇の役者の様に、台詞を紡ぐ。
「…それだけ?」
「それだけです」
「話の骨はこんな物だろう、何故…剣の鞘が?という疑問はあるだろうが――」
ルーヴィックは懐から時計を取り出し一瞥する。
「ここの夜は冷えるぞ、そろそろ帰ったほうがいい」
「エインさんは、何処に御宿を?」
そこでカチリと危機感のピースが合わさった。
「しまった……」
呆れるルーヴィックに、目を丸くする姉妹。
参ったな…今日はほとほと失態続きだ。