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第一話 「死んだ彼女」

気づかないってこと、よくあるよね。

こないだすれ違ったのに気付かなかったとか・・・

ねぇ、あなたはもっと大事なことを気づいてないんじゃない?





彼女が死んだ。



その彼女が今、目の前にいる。

そして、食事をしている。


「たけるぅーご飯粒ついてるぅー」


気づいてない・・・


死んだんだぞ・・・


「たける?どうしたの?具合でも悪いの?」


あ、全然っ・・・と答える俺。

確かに彼女のお葬式に出たぞ・・・

どうしてだ・・・


そう、昨日お葬式だった。


俺は、あまりにも突然のことで涙もでなかった。


彼女の名は、宮下陽奈野。

高校で出会い、付き合っていた。


周りからは、「学校一の幸せカップル」と、言われていた。


陽奈野の両親から電話があり、交通事故だと聞かされた。

俺の誕生日を祝うためにこっちに向かっている途中だったと・・・。


言いずらそうだった。


いた犯人は、信号無視をしていた。

それに、たまたま陽奈野が・・・。


その陽奈野が今、目の前にいる。


なぜだ・・・


俺はおかしくなったのか?


「たけるっ久しぶりにご飯作ってあげたのにぃ・・・もしかして・・・まずかった?」


「え?あっ、すごく美味い!!完璧だよ。」


「やったぁ、なんか高校生なのに新婚夫婦みたいだねっ」


うん、と笑顔を作って見せたが

やはり、この状況が理解できなかった。


でも、陽奈野に真実を言おうとも全く思っていなかった。

出来るならば、このまま過ごしたい・・・そう思っていたからだ。


「ねぇ、たける・・・」


「ん?」


「当分ね、たけるんちに泊めてもらっていいかな?」


突然で驚いたが俺は即答でいいよ、と答えた。


「親に一応聞いてくるわ。」

そう言ったけど、ふと思ったことは

俺の親が信じてくれるかどうか、そう思った瞬間、陽奈野が驚くことを言った。


「あ、大丈夫っ!!たけるのお母さんには、もう許可とったからっ。」


え・・・、お母さんにも見えたのか・・・そんな馬鹿な・・・。


急いで母親のところに行った。


「お母さん!!」


いきなり声をかけたからびっくりしている母親。


「お母さん・・・陽奈野のこと・・・見えんのかよ・・・。」


「え?見えるって、どういうこと?。ってか、何言ってんのよぉ当たり前じゃない。」



どうなってんだ・・・


お母さんも陽奈野の葬式行ってたんだぞ・・・。


おかしい・・・


おかしいのは俺だけじゃなかったのか?


考えているうちに陽奈野が横にいた。


「おばさん、しばらくの間お世話になります!!」


陽奈野、あのさぁ・・・そう言おうと思ったが先に母が口を開いた。


「オッケー!今日の晩御飯はひなちゃんの好きなのにしよっか!いいでしょ?たける。」


あぁ、いいよ・・・そう答えたがなんだ、この状況・・・


死んだ彼女、そして昨日お葬式に行った母親。

その二人が笑って喋っている・・・。


「料理、手伝いますよ!!」

「おぉ、それじゃ手洗ってきてっ。」

「はーい。」


俺は、恐る恐る母親に聞いた。


「陽奈野、死んだんだぞ。お母さん、昨日葬式行ったじゃんか」


母親は、すごく不思議そうな顔をしてこう言った。


「何言ってんの?失礼よ、勝手に彼女殺して。それにお葬式なんてしてないわよ!あんた、寝ぼけてるの?

もう、夕方よ?もぉ顔洗ってきなさいっ!!」


なんだ、こいつみたいな目で見られた・・・。

いや、それはこっちがする行動だから。


二人は楽しそうに料理を作っていた。

死ぬ前の状況と何の変りもなかった。

まるで・・・まるで、俺だけがおかしくなったかのような・・・。






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