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断罪された第三王女の俺は、転生して仏様におんぶに抱っこで生きる  作者: 勇者ありたま


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8/18

第七救 利他⑤〜他の為に尽くすこと

★★★


「ノエル・ラ・ヴァンドーム」


…またそんな名前で呼ばれる日が来るなんて、思ってもみなかった。


俺は確かにかつてそんな名前で呼ばれていた。…本名だが。


俺は、ビジュアル系バンドのヴォーカルだった。…一時期は世界的に有名だったアインスルナ。


俺達は、面白いように人気が鰻登りになり、世界の舞台に立った。


最高のライヴができて、アンコールも終わった。歓声と眩しいスポットライトの中、俺は人生の頂にいた。


その時だった。ベースのオルグ・ラ・クラークの口から信じられない言葉が溢れた。


「…皆! 今までありがとう! 僕達アインスルナは、今日を以て解散します!」



…俺は、何が起きたか分からず、その後どうやって家に帰ったかも覚えていない。



気付いたら、ボロボロの格好で、アパートのベッドで寝ていた。あまりに忙しくて、引っ越す暇がなかった。それが幸いというべきか。それまでの収入で、安アパートの生活はなんだかんだ細々と続いた。


…そのうちお金が無くなった。売れる前は、手当たり次第にバイトをやっていた。俺は、早速バイトを探して働き始めた。


しかし、バイトが上手くいきかけた頃、必ずマスコミが嗅ぎつけて、バイト先に押しかけてきた。俺は、追われるようにバイトを辞めて、転々とした。


…そのうちバイトもしたくなった。路上生活をしながら掏摸。俺は、元々素早さには自信があった。余り欲を出さないこと。女子供や老人には手を出さないこと。これらを守ることで、余り大きなニュースにはならず、細々と暮らしていけた。


だが、今俺はほっとしている。早く誰かに俺を止めてほしかったのかもしれない。


どんなに絶望していても、お腹は空く。俺は、生きるために食べているのか、食べるために生きるのか、それすらも分からなくなっていた。


★★★

「ノエル・ラ・ヴァンドーム」


俺は、彼を知っていた。前世で、毎日のように彼の歌を聴き、心の支えにしていた。


高めのハスキーな声。中性的な声と外見。そのどちらもで、ノエルは「正に妖精」として持て囃されていた。今も、ファンは世界中にいるはずだ。


間近で見れば見るほど美しい。今、三十超えてるはずだが、「美少年倶楽部」に勧誘されてもおかしくない外見だ。


「ノエル…どうして」


ノエルは、俯き、答えを拒否した。俺は、尋問は警察に任せるとして、その場を離れた。


「まぁ、尋問とかその他のことはこっちでやるから、とりあえずジルベール達は帰っても良いぞ」


そう交番所長ラファエルに言われた時、電話が鳴り響いた。


「ああ。分かった。今すぐ」


電話から戻ってきたラファエルが俺に告げる。


「ユークリッド様からだ。今すぐ帰って来いって」


俺は、直ぐに転移魔法で孤児院に帰った。


★★★

「遅かったですね」


俺をお膝抱っこしながら、ユークリッド様がチャーハンを召し上がっている。今日のチャーハンは、◯無チャーハン。◯ュウジのレシピにチャーハンは沢山あるが、俺は一番これが美味いと思う。野菜スープを添えてどうぞ。


ノエルが掏摸になっていることはショックだったが、事情があるのだろう。それより今は、ユークリッド様の温もりを感じていたい。


次回! 「ノエル・ラ・ヴァンドームのその後」ノエルは、「利他」を通してしっかり立ち直っていきます。真如苑では、罪を犯した人を徹底的にやっつけたりせず、手を差し伸べて立ち直る為に支援します。


誰でも間違えます。生きてさえいれば、何度でもやり直せるのです。南無真如。今週も読んでいただきありがとうございました。



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