第四救 利他②〜他の為に尽くす
「よく戻ってきてくれた。ジルベール。早速だけど、これ」
「バサッ」
俺の目の前にユークリッド様が書類の束を置いた。
「何ですか? これ」
「お前の大好きなものだよ」
「???」
俺は、書類を確認した。ユークリッド様が俺に悪いことをするはずはないけど…。
「これは…」
捲った書類を見て俺は青くなった。
「お前の大好きな勉強だよ」
「…あ、ありがとうございます」
特に算数が分厚い。
「お前、しばらく実家にいたから勉強サボってただろう? 私の補佐になるのが夢なんだろう?」
「…」
それを言われると、嫌いな算数にも精を出さざるを得ない。
「ほら、ここに座って。私が書類仕事をする間にそれをやりなさい」
俺は、ユークリッド様の隣の机と椅子に座った。俺専用で、ユークリッド様の監視付きでお勉強ができる特等席である。
「うう…算数…」
俺は、バリバリの文系だ。作者は、三次関数のグラフを見ているだけで、永遠に眠れる気がするそうだ。
…三十分後。
「えっと、これを足してうーんと」
俺は、算数に四苦八苦していた。そこに…、
「ワン(ジルベール。ここ間違っているよ。ほら)」
「ありがとう。パトラッシュ」
パトラッシュの専属家庭教師付き。まぁ、この時間は嫌いじゃない。算数は嫌いだけど。
「算数終わったら、歴史だよ」
「…おおお」
苦手な教科からさせてくれるユークリッド様…。ドS。
「国語や外国語は抜群なのになぁ」
「俺のポテンシャルは、国語特化なんです」
「書類仕事には、満遍なく幅広い知識が必要だけど?」
「…」
ぐうの音も出ねぇ。
「それ終わったら、明日の献立立てて、詳細なレシピと共にコック長に渡して」
ここ、セラフィム孤児院では、たまに俺が献立を立てている。前世は、放置王女だったため、料理やり放題だった。
前王と王妃が出かけたら、王女の私のご飯は無し。書類仕事で疲れた時は、使用人のご飯を分けてもらったりしたが、気力がある時は自分で料理してた。
その時の知識を生かして、献立を立てる。ユークリッド様が喜んでくれるなら、なんぼでもやりますよ!
★★★
次の日。
朝ごはんは、半熟目玉焼きをのせたトーストにサラダ。もちろんレシピは、◯ュウジのもの。トーストは、悪◯の目玉焼きトーストで検索してね。簡単でめっちゃ美味しいよ。
「いつもよりは良いですね」
ユークリッド様がパクパク食べてくれている。大満足。
「これで、三皿目だよ。よっぽど気に入ったんだね」
朝食後は、書類仕事をするユークリッド様そばで、勉強した。
算数難しい。
お昼は、納豆パスタとサラダ。納豆パスタも◯ュウジのレシピ。本当に美味しくて、自分もハマった。おすすめ。
「まぁまぁですね」
澄ました顔でユークリッド様が上品にパスタを召し上がってらっしゃる。
「これで、五皿目だよ。お前、ここに居てくれないとユークリッド様が実家に突撃するんじゃないか?」
俺はとっても嬉しかった。どんなことでも、ユークリッド様のお役に立ることが幸せである。
献立頑張ろう。
「さて、ジルベール。これは、紹介状です。交番に行きなさい」
「はーい」
俺は、ユークリッド様の紹介状を持って近くの交番に行った。
★★★
「ジルベール。来てくれて嬉しいよ。今困っているんだ」
交番に入ると、交番所長が駆けつけてきた。
交番所長、ラファエル・ラ・ベルジェとは、前からの知り合いである。ちょくちょく俺が、パトロールのバイトに入っているからだ。
「普通の五歳児には、パトロールなんてさせられないけど、お前は、仏様の加護もあるし、パトラッシュもいるからな」
「最近、掏摸が出て困っているんだ。同一犯の犯行だと思うんだが、場所をよく替えていてね。なかなか捕まえられないんだ」
「なるほど。分かりました。今日は、お話を聞かせていただいて、明日捕物ということでも大丈夫でしょうか」
「…そうだね。そうしてくれると助かる」
俺は、パトラッシュと所長と話し合うべく、会議室に入った。
次回、掏摸の犯人を捕まえろ! 仏様が大活躍します! 乞うご期待。
今週も読んでくださりありがとうございました。南無真如。




