第二十教 大乗⑨〜誰でも救う
「クソッ!! レオめ!」
昔のようにレオを虐めたくて、堪らなくなったエンゾ。しかし、今のレオは昔の美貌はそのままだが、熊のような体形になっていた。今も細身のエンゾが喧嘩を売っても、殴り返されるのが関の山だろう。
…アンジェ特別養護老人ホームは、機械化が進んでおり、仕事しながら鍛えるのも非現実的だ。
「クソッ! なら…」
★★★
ある夜…。
アーサー・ラ・ランベールの個室の側の風呂場にて。
「な! 何をする!」
「クソッ! 大人しくしろ! ジジィ! 似てないから気付かなかったが、お前! レオの父親だろう?」
アーサーの風呂介助をしていたエンゾは、身体を洗っている途中で、アーサーにナイフを突き付けた。
「レオの父親だから何だと言うんだ! やめろ!」
…個室一つ一つが広いのが災いし、アーサーがどれだけ騒いでも、全く周りに届かない。いつも洋服に付けられているナースコールも、今は裸で押すことができない…。
「俺は、レオとお前にここから出て行ってほしいだけだ! 傷つけられたくなかったら、早くそこのスマートフォンでピエール所長に家に帰ると言いな!」
「馬鹿者! 儂とレオにはもうあの家は無いんじゃ…」
…エンゾは世間知らずだったので、昨今のヤクザの落ちぶれ方を知らなかった…。
「テメェら金持ちだろう? ここを出ていくくらい簡単なはずだ!」
エンゾは、逆上してナイフを振りかぶった。
アーサーは目を閉じ、
「南無真如…」
思わずお経を唱える。
★★★
その本の少し前。
「!」
仏様がパトラッシュと目を合わせて頷いた。
「え? 何? どうしたの?」
食後のデザートのパフェに舌鼓を打っていたジルベールは、二人のただならぬ様子に不安を覚えたが、もうユークリッド様の膝の上でおねむなので、早く寝たかった。
…ジルベールは、空気が読めなすぎるところが玉に瑕であった。
ユークリッド様も、ジルベールをがっちりホールドし、逃さぬ様子である。
…ユークリッド様は、ジルベールを溺愛しているので、離したくないだけであった。
仏様にひょいと抱き上げられたジルベール。
「あ、パフェ」
「冷蔵庫に置いていてあげますから」
ユークリッド様も、渋々諦めて、唇を噛んだ。
「ワン(説明している暇は無いんだ)」
仏様とパトラッシュとジルベールは、空間の歪みに身体を滑り込ませた。
★★★
…とある居酒屋。
「カンパーイ! いや〜久々にレオ様と飲めるなんて」
「もう、様はやめろ。若ではないんだから」
レオは嘗ての仲間達と居酒屋で楽しい一時を過ごすべく、乾杯をしていざ一口目を喉に流し込もうとした。正にその時。
空間の歪みから、仏様の腕が伸びてきて、レオの腕を掴んだ。
そのまま空間の歪みに呑み込まれていくレオ。
「レオ様ー!!」
嘗ての仲間達が騒ぐが、仏様には逆らえない。
皆、泣く泣くレオを諦めて、しょんぼりしながら酒を飲んだ。
★★★
仏様に掴まれながら、レオは叫んだ。
「俺の酒! まだ一口も飲んでないのに!」
…ビールは最初の一口目がめっちゃ美味しいらしい。
「それどころじゃない。お前の父親が危ない」
「何だと!」
★★★
次回! レオ大活躍! 父親アーサーの危機を救います。
お楽しみに!
しかし、ネタが尽きたら妄想日記にします。恥ずかしくて暴露できませんが、ここに書いた小説の一部が現実になったことが幾つかあります。
「先を明るく見よ!」
良い妄想で光輝く未来を! 南無真如!




