第十六救 大乗⑤〜誰でも救う
「ママ…」
豪奢なバロック建築の部屋。高級な絨毯が敷き詰められ、これまたきらびやかな調度品。キンキラキンの部屋の中でひときわ目立つ額縁。
「…こんな美人が世の中にいるのか」
溜息を吐きたくなるほど美しい、金髪碧眼の女。白皙の肌に薔薇色の頬。金糸の髪が太陽の光を受けて煌めき、美しく風に靡いている。淡いピンクのドレスが良く似合う華奢な身体の女は、木の下に佇みながら、大きく美しい青の瞳を細めている。
「ワン(ってか、レオにそっくり)」
「そうじゃのう」
パトラッシュと仏様が同意した。一目でレオの母親だと分かるほど、レオは母親の生き写しだった。
レオは、額縁に縋らんばかりに取り付き、泣いていた。
「ママは、ちゃんと儂の部屋にいたろ? ママは、二十五歳で亡くなったからのぉ」
美人薄命というやつか。
…その昔、大工の棟梁だったという作者の母方の祖父が、毎日土下座して求婚したくらいの美人であったという祖母は、百一歳まで生きて、新聞に載ってた。W
どういうことやねんW
まぁ、昔あまりにもブラックな会社に勤めていて、「四十まで生きられたら凄いから、有名な観光名所でパレードしよう」と公言していた作者は今。
元気でーす! (笑)四十? なにそれ食べ物なの? (笑)
「ママ…」
話が逸れてる間も、レオはガチ泣きしていた。
★★★
レオが落ち着くのを待ってから、俺達、アーサーとピエール、パトラッシュと仏様は、老人ホーム内を散策した。
「凄い庭園だなぁ」
アンジェ特別養護老人ホームは、とにかく馬鹿でかく
、ヴェルサイユ宮殿を忠実に再現した造りになっていた。
「凄いだろう? こだわりすぎて、建設費が凄かったが、その分ホームはいつも満員状態で、人気があって予約も入っている状況だから、造って本当に良かったよ」
…あまりにも広いので、全部を回るには、カートなどに乗らないといけないという。
プティ・トリアノンや、マリー・アントワネットの晩年を過ごした場所「王妃の村里」を見に行こうと、カートに乗り込もうとしたその時。
「ピエール! ピエール・ラ・ブラック! どこにいるの? 宮殿の執務室まで来てちょうだい!」
大きな女の声が響いた。
「館内放送?」
「…儂がスマホを持ち歩かないからじゃ…」
所長のピエールが項垂れる。なんだか逃げられない呼び出しらしい。
急いで執務室に行くと、そこには大きな机の前に座る老齢の女性。バッチリメイクを決めて、細身のスーツに身を包んでいる。
キツそうな美人だ。グレーの髪を後ろで纏めている。
金の目がピエールを射貫く。
「ピエール、貴方の会社に就いて調べて、問題点を洗い出したわ。沢山あるけど、まぁ一番の問題点は人手不足ね」
「ぐっ…」
ピエールは、ぐうの音も出ないようだ。
「そんなことは分かっておるんじゃが…」
ピエールは、言い淀む。
2025年の介護業倒産は全国で176件。ピエールの所有するアンジェ特別養護老人ホームも、例に洩れず、しっかり人手不足だった。
「俺、どうにかできるかも」
「えっ?」
レオが、提案し、そこにいた全員が訝しんだ。
さて、続きは次回! レオの快進撃が始まります!
乞うご期待! 南無真如!




