第十四救 大乗③〜誰でも救う
「ワァァァ〜」
子供達の楽しそうな歓声が響く。レオと子供達で追いかけっこをしているのだ。
レオは、セラフィム孤児院にすぐ馴染んだ。
「本当にレオは良い奴だなぁ」
俺とパトラッシュと仏様は目を細めてレオと子供達を見守っていた。
そこにユークリッド様が。
「ちょっと、ジルベール。アンジェ特別養護老人ホームの所長のピエール・ラ・ブラックさんが、そろそろレオを返してって言ってるけど」
さっき電話があったらしい。
そもそも、レオはここに来る予定じゃなかったし、いつまでもここに居させる訳にもいかない…。懐いている子供達には可哀想だが。
★★★
皆で相談して、三日後にレオをアンジェ特別養護老人ホームに返すことにした。
「ゥワァァァ〜」
「いやぁ~! レオ! 行かないでぇ~!」
レオが去る日、案の定子供達が大泣きした。
「何だか悪いことしたなぁ」
俺は、他の子供達が大泣きする中を、レオの手を引いて、パトラッシュと仏様とで、アンジェ特別養護老人ホームに送っていった。
ワープホールを利用して、レオを送っていくと、道の途中で、レオが呟いた。
「なぁ。ジルベール。俺とお前って、そんな関係が深くないというか…知り合ったばかりだし。どちらかと言うと他人なのに、どうして俺にここまでしてくれるんだ?」
俺は、少し考えてから言った。
「仏様がさ、レオを救ってあげろって言うからかな」
隣にいる、パトラッシュと仏様様が盛んに頷く。
「俺、今までそんな信心なんか無かったけど…。こんな俺にこんなに良くしてくれるなんて…」
また、レオはポロポロと涙を溢し始めた。…本当に良く泣く男だ。レオは、体格が立派で熊みたいだけど、顔が無茶苦茶整っている。短い金髪に淡いブルーの目。特に大きな目がブルートパーズのように澄んで美しい。顔だけ見れば優男だ。
(…繊細な心に、熊のようなガタイ。このチグハグさもアレだけど、ヤクザの息子って生い立ちも相俟って、色々苦労したんだろうな)
★★★
俺は、物心ついた時から生きるのが辛かった。
「クソッ!! ちょっと顔が良くて、リンちゃんに好かれているからって調子に乗りやがって。ヤクザの息子の癖に学校に来るんじゃねーよ!」
俺は、中学に上がるまで身体も小さく、気が付いたら、いつもイジメのターゲットにされた。やるやつはいつもくだらない嫉妬に塗れたつまらん奴。好きな女が俺に気があるとか、ヤクザの息子ってだけで、ストレスの捌け口にしようとする奴。
俺は、親父の言うように小学校の初めと中学校の初めだけは学校に行ったが、くだらん奴のせいで直ぐに行かなくなった。
昔、親父の羽振りが良かった頃はまだ良かった。家庭教師を雇う金があったからだ。
俺は、家で勉強したが、高校くらいの内容を習う前に、家に家庭教師を雇う金が無くなった。
俺は高校に行く気は無く、直ぐにヤクザの世界でやっていこうと頑張ってみたが、ヤクザが表に出られなくなった昨今、貧乏の組は傾くばかりでどうしようも無かった。
…気が付いたら毎日喧嘩に明け暮れていた。
親父には、散々迷惑を掛けてしまったな…。
★★★
さて、次からレオがどうやって這い上がるか。乞うご期待! です。何か急にアクセス数が増えまくっていて嬉しいですね。ネタが尽きても頑張ろうと思います。
今週もありがとうございました。南無真如!




