第十二救 大乗①〜誰でも救う
とある寂れた街の裏路地。二人の屈強な男達が拳を交わしている…。
「ガツ! ゴツ!」
肉の上から骨を殴る鈍い音が響く。二人の男達はどちらも血まみれだ。ただ、そのうちの特に大柄な金髪青目の男は、余裕があるように見える。
「ガッツ!!」
大柄な男が拳を振りかぶり、相手の男を強打した。
「ドサッ…」
相手の男は呆気なく倒れた。金髪青目の男が、唾を吐いて立ち去ろうとしたその時だった。
「彼処です!」
複数の足音に警官と女。「喧嘩をしている」と通報されたらしい。面倒なことになった。
だが、男は逃げなかった。自分のことがどうでも良かったからだ。
男は、大人しく警官に連行されていった…。
★★★
「おい。レオ・ラ・ランベール。お前、何度豚箱にぶち込まれたら気が済むんだ。お前の親父さんも、『これ以上保釈金は払えない』って言っていたぞ」
男、レオは留置所の牢屋で寝転がっていた。
「…好きにすればいい」
警官ライオネル・ラ・ドラクロワは、溜息を吐いた。
「あのなぁ。レオ。お前ももう三十だろう? ヤクザの息子に生まれて腐る気持ちも分からんでもないが、毎日喧嘩ばかりして、親父さんを困らせるなよ」
「他に俺にどうしろって言うんだよ!」
レオは吠えた。どこに行っても「ヤクザの息子という烙印」が付いて回る。得意な力仕事のアルバイトにすらあり付けない。レオは、学校にもほとんど行っていない。
ライオネルは黙った。確かに、「ヤクザの息子に真っ当な仕事を紹介する伝」を彼は持っていない。
だからと言って、傷害罪で刑務所に何度入れたところでレオの為にはならない。レオは、もう刑務所に十回は入っている。
ライオネルは、とりあえず携帯を取り出し、レオの親父さんに連絡した。
★★★
その夜、レオは留置所の牢屋の中で泣いた。ヤクザの頭である親父が本当に、迎えに来てくれなかったのだ。
「うっ…うっ…」
レオは、誰にも見られないように泣いた。
見回りに来たライオネルは、レオの震える肩を見て察した。足音を立てないように気を付けて見回りの業務に当たった。
「カラン…」
とても小さな音を立てて、仏様の木像が転がり出てきた。母親の形見として肌身離さず大事にしている仏様。胸ポケットにいつも入れているのだ。
レオは、慌てて仏様を胸ポケットに仕舞おうとした。その時だった。
「レオ。泣かないでください。明日の朝、私が迎えを寄越します。今日はもう寝なさい」
仏様が光ってそう言った。
「…しゃ、喋った!」
レオは驚くと同時に眠気が襲ってきて、気が付くと朝になっていた。
★★★★
翌朝。
「ガチャガチャ」
レオは、牢屋の鍵を開ける音で目が覚めた。
ライオネルとは別の警官が牢屋の鍵を開けていた。
「レオ。お迎えだ。子供と犬と仏様が迎えに来てるぞ」
「??? 子供と犬と仏様?」
訳が分からぬままレオは立ち上がり、牢屋を出た。
警官所の入り口まで行くと、本当にやたら綺麗な男の子供と黒いデカい犬、仏様がいる。
「???ど、どういうことだ」
「レオ。行きますよ。これ、御父様からのお手紙です」
呆気にとられたレオが立ち尽くしていると、仏様に手紙を渡された。
「レオ、済まない。本当に家にはお金が無いのだ。俺の少ない知り合いが介護士を求めているんだ。住み込みでそこで働くといい」
手紙には、地図と電話番号も書かれていた。
★★★★
今回からは、新しいお話です。なんかどこの会社でも「反社会的…」と書かれているのが気になっていた、「◯が如く」が好きすぎる作者が送る、ヤクザの息子レオの再生の物語です。
個人的には、◯イミーをやっていた時に、一番優しく紳士的だった人は、どこからどう見てもヤクザのとある飲食店の幹部でした。
とても高そうなスーツに身を包みながらも、水びたし&洗剤塗れになって、一介の◯イミーのアルバイトである私に、一生懸命かつ丁寧に食器洗いを教えてくれたばかりか、私を常勤のアルバイトにしようと尽力してくださいました。
元レディースっぽい従業員が私のことをあまりお気に召さないようで、反対されていましたが、結構食い下がってくれました。
本当にありがとうございました。◯が如くと貴方の為に、レオ君を華々しく再生させます! 乞うご期待! 南無真如!




