第九救 利他⑦〜他の為に尽くすこと
「仏様がノエルに餞別だって」
仏様が頷き、俺に向けて顎をしゃくる。
「分かりました」
俺は、「仏様の為」だけに魔法が使える。俺は、魔法で亜空間を展開し、ゴルフ用のグリーンを用意した。
仏様は、持っている錫杖をゴルフのウッドのように持ち、丈頭を下にした。
「な、何が始まるんだ…」
ノエルが混乱している。最近、仏様がゴルフにハマっていて…って言っても理解不能だよな。仕方ないか。
俺は、仏様の為に、ボールをティーアップした。
仏様が、ホールに向けて大きく錫杖を振りかぶる!
「スカッ」
…気持ち良いほどの空振り。仏様は固まり、ノエルは、混乱しすぎて固まっている。パトラッシュは、空気読みができるので、俺の顔を見て、途方に暮れている。ってか、空気読まない俺すらこの空気は居た堪れない。
「よし」
仏様は、そう言うと、俺に亜空間を片付けさせ、帰るよう促した。
★★★
「…何なんだ一体」
俺は、混乱しすぎて立ち尽くしていた。
少しすると、見慣れないショルダーバッグを肩から下げていた。
「なんだこれは?」
俺は、ショルダーバッグの中身を確かめた。茶色と緑が混じった変な色のジャージー上下セットに、スマホ、A4サイズのクリアファイルが入っていた。
クリアファイルの中には、ここから近いホテルの無料宿泊券と、片道の飛行機チケットに、電車の片道チケットもある。
「???」
他には、チラシが一枚と封筒が。チラシには、
「農業体験ボランティア募集! 三食&宿泊所付き!」
と書かれていた。人の良さそうなじいさんとばあさんが、小麦畑をバックに笑っている。
よく確認してみると、航空機チケットと電車のチケットは、じいさんとばあさんの畑の近くまで行けるようであった。
「ここに行けってことか?」
封筒を開いて中身を確認した。
中身は、手紙と五万円が入っていた。
手紙には、
「このチケットとお金を使ってチラシの畑に行きなさい。最初は苦労するが、その後ノエルの望み通りになる」
と、物凄く達筆な筆文字で書かれていた。
「仏様字うめぇ…」
日本の再犯率の高さには、刑務所から出所した後のアフターケアが足りなすぎると思う。保護観察官などはいるが、まだまだだと思う。
ノエルは、仏様に感謝した。
「俺が、住むとこと仕事が無いの分かっていたからか…」
チャリ…。
とりあえず、ホテルに行こうと、歩こうとした時に、首から見知らぬネックレスを下げてることに気付いた。ネックレスの先には、小さな仏様が。
「ノエルよ。私の導きに従いなさい」
「わ! 喋った! 仏様。本当に、ありがとうございます」
目的のホテルは、安いのに中に温泉がある某ホテルだった。
「温泉大好き! ありがとう! 仏様!」
ノエルは、ゲイの熱い視線に耐えつつ温泉を堪能し、ホテルに宿泊した。
「ああ…いい湯だなぁ~」
…ホテルによっては、色んな方達の「溜まり場」になっているようです。噂ですので、確かめてみてください。悪しからず。
これから、ノエルは、畑に行きます。ノエルの社会復帰が上手くいくよう、一緒に見守ってくださったらと思います。
真如苑では、仏様に祈りながら色々と物事を進めて行くと、トントン拍子に上手く行きます。もちろん、平坦な道ではありません。しかし、峠を越えた所に、美しい朝日があなたを必ず優しく照らしてくれます。
私も、それを実感した一人です。皆様にも幸せを。南無真如。




