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全員が主役

だからこの世界は全員が主人公だ。


玲奈の名前が蘭に変わっただけで、私はどうしてもその言葉が胸に響く。思い出すのは、彼女と一緒に過ごした時間。あの時も、私がどれだけその世界に息苦しさを感じていても、蘭はずっと一緒にいた。


「あなたは、今、どこにいるんだろう?」


蘭がいなくなった後、私は一度その問いに答えられなかった。どこに行ったのか、どうして、なぜ。そういう問いが沸き上がるたびに、私はただ呆然とするばかりだった。


でも、私はその答えを見つけた。蘭がいなくなったあの日の意味を、そしてその先にある道のりを。


その答えは、少しずつ分かっていった。


歩みを進めながら、私は気づいた。この世界は、私たちが思っている以上に広く、そして誰もが独自の物語を歩んでいる。どんなに小さな出来事でも、その中で全ての人が大切な役割を担っている。誰もが一度は自分が主人公だと思いたくなる。でも、その中でも誰かと繋がっている限り、他の人もまた主人公であるという事実に気づく。


「蘭、きっとあなたもそうだね。」


今でも蘭がどこにいるのか分からないけれど、きっと、彼女も自分の物語を歩んでいるんだろうと思う。


私は一人じゃない。私がいることで、誰かの物語も少しずつ進んでいく。そして、私もまた他の誰かの物語に影響を与え、またその誰かが私に影響を与えてくれる。小さな一歩でも、それが大きな物語の一部であることに気づいた時、私は初めて心から安心できた。


「私も、今、この瞬間が私の物語なんだ。」


そう、私も主人公だ。誰かが私を主人公にすることはなく、自分で選んで歩んでいく。


そして、蘭もどこかでそのことに気づいているだろう。彼女も自分の物語を歩んでいて、それが私にとっても大切なものだと心から思えるようになった。


「また、会える日が来るのかな?」


今はまだ、蘭と再会する道は見えないけれど、もしもその時が来たら、きっと私は自分の物語の続きを語りながら、彼女に会いに行こうと思う。


だって、世界のどこかで誰もが主人公でいるから。私たちの物語が繋がり、交わり、また新しい道を作り出す。そうして全員が大切な役割を果たすのだと信じて。


それが、この世界の素晴らしさだと気づけたから。

疲れた

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