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第六話 オープニング①

興味を持っていただきありがとうございます。物語のオープニングです。稚拙な文章表現ですがご容赦ください。


この作品は不定期投稿です。一話二千文字から三千文字くらいを予定しています。


SFもので物理法則は無視しています。言葉の選択も映画やドラマで聞く表現を常識の範囲で並べています。勉強不足で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、楽しんでいただければ幸いです。

ジーナ・リー、今年で三十歳になる。憧れのジャーナリストの世界に入った彼女は自分の夢を追いかけて、大ジャーナリストになるという野望もあった。


理想と現実は違っていて、才能だけではそこで生きていくことも厳しい茨の道。


自由奔放で、興味の対象があればどこへでも行って取材をするマリアン・モーリス 十七才年上の先輩が今は彼女の将来像だった。


ただ、ジーナが今見ているのは、デスクの上司であるジム・モーリスの背中。ウェストを軽くしぼった筋肉質のたくましい腰があった。


嫌味な上司ではあったが、彼が言った言葉にドキリとする。


「ええ、ありがとう。」と、気持ちを落ち着かせるようにジーナは何の感情もない表情で答えてみせた。「君が必要だ」と言われて、ときめいてしまう気持ちを抑える。


ジムはもともと腕利きの記者で人付き合いが上手かった。


スポーツも得意で、しなやかな強靭な身体も当時の活躍ぶりをうかがわせる。多趣味で、行動派、それを生かして人脈もある。


私生活でも顧客を生み出し、先輩や後輩からも頼られる存在。ジーナが前の職場にいた時も存在感があり、四十代で既に彼は責任者、そして今の上司である彼がいる。


自分を引き上げてくれたマリアンとは違った、女としての好奇心がジーナの心の奥にあった。


     * *


二年間でジーナはマリアンの助手として仕事に打ち込んできた。


ここ最近、マリアンは一人で行動していて、あまりジムと彼女が一緒に生活しているところを見ることが少ない。


マリアンはいくらか冷たいと感じさせる蒼い眼で有名なニュース番組企画の企業コメンテーターとして最近は活躍していて、自宅を離れて放送局のある自立型のコロニーに自分の部屋を持っている。


この半年、ジーナの仕事は月面都市からマリアンが必要と求めた情報をデータ化して送る作業が中心の仕事をしていた。


もちろん取材にもするし、コロニー行きの小型シャトルでマリアンのいる放送ステーションコロニーまで行くこともある。


「いつもマリアンのそばで仕事をしてもらって感謝している。」と、ジムはカモミールティーの入ったカップをテーブルまで運んでジーナの前に置いた。


「ありがとう。でも当たり前のことをしただけよ、サー・モーリス。」


続けて感謝の言葉を伝えたジムに、ジーナは恥ずかしそうに答え、カモミールティーに口をつけた。


「今のマリアンがあるのは、君のおかげだよ。ミス・リー!」


「先輩、いえ、奥さまの仕事ぶりからしたら、私なんて。」


ジムの妻、マリアン・モーリスはそれぞれの立場や考えを調査し、常に正しい情報を求めてきた。


いくら放送番組のコメンテーターとして場を盛り上げる立場だとしても、奥様方の井戸端会議のような内容だとしても、知らないことは必ず、自分で確かめる。


ジーナはその手伝いをしているに過ぎなかった。


「信じられないことはないさ、彼女が君のことを褒めていたのだから。」


ジムはとても魅力のある男性だった。会社の中でジーナが一人でマリアンの仕事を手伝っている時も言葉をかけてくれたり、必要な時は力になってくれる。


ジムが私だけを見てくれたなら


マリアンに嫉妬している自分がいることに気づいたジーナは急に恥ずかしくなった。


彼はクソ野郎なのだ。


「こちらこそ、奥さまと仕事が出来て感謝しています。」と、ジーナは答えた。


「君は頑張っているよ。」と、ジーナを労うと話題を変えるようにジムは資料を持って、彼女に向かう。


「さあ、仕事の話をしようか。君にとってはチャンスだと思う」


ジムは微笑みで答えると、彼女の前に座って真面目な顔で話し始めた。


彼と一緒に仕事を始めたのはいつからだろか。


マリアンに誘われて、人生の転機を迎えて二年。


最初の一年半はマリアンと一緒に来ることがほとんどで、二人の会話の中に混ざる程度だったが、この半年はジーナがジムの窓口となっている。


ジーナの仕事は順調で、私が助手。何か私、失敗したのかしら、と急に怖くなった。


「何の話でしょうか?」


恐る恐る彼の灰色の瞳を見る。


温かな瞳は上司であると同時に部下に対する眼差しに、自分には手の届かない男性だと感じた。


先ほどからジムは仕事の話と言っている。


仕事ができる上司だけに、深夜に呼ばれて、ずっと君を待っていた。なんて、陳腐な言葉を期待していたわけじゃないけれど、期待した自分が腹立たしかった。


仕事の相談話なら、電話でもよかったのではと落ち着かない気持ちになる。


「これはマリアンからの推薦でもあるのだが、君は火星にあるオニヅカ研究所を知っているかな。」


ジーナの期待は裏切られて、ジムは仕事の話を始める。


「ええ、最近は有名ですから」特に今日はレセプションのプログラムの広告ページで見たばかり。


今すぐ逃げたい気持ちでいっぱいだったが、もう逃げることはできないとあきらめた。


「僕はマリアンの意志を尊重しているし、できる限り彼女の希望に応えたいと思っている」


ジムはそう言って、紙の資料から不格好な施設を写した写真を取り出した。


「これは工業区画でしょうか?」ジーナは出された写真を見て、わからないなりに疑問に感じながら言う。


ジムは資料の中から三枚の写真を取り出して、テーブルに並べると「まあ、そうだね。」と、ジーナを肯定した。


不格好な建物が並ぶ写真は何か実験装置が詰まった研究所のようだ。


「これは核融合反応炉施設に反物質タンク、そして水素タンク」と、ジムは丸いフォルムの施設を紹介する。


次に人物を写したデータを携帯端末から折り紙状に畳まれたディスプレイを展開すると男性の写真が表示される。


「君は彼を知っているかい?」その聞き方は、既にジーナが知っている前提のようだった。


私の反応をジムは楽しんでいるような気がした。


「ええ、よく知っているわ。彼の名前はアレックスよ。」


(第六話終わり)

ハーレクインと聞いてジム・モートンとジーナ・リーのディザイア的なストーリーを期待した方にはごめんなさい。今回よりストーリーの導入が始まります。次話も楽しんでいただければ幸いです。


作者は心があまり強くないので、あたたかく見守っていただければ幸いです。

もし、良かったなど感想をいただければ作者が喜びます。返信等はしておりませんのでご容赦ください。

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