表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/37

第三十四話 サミュエルとリン(12)

興味を持っていただきありがとうございます。稚拙な文章表現ですがご容赦ください。


この作品は不定期投稿です。一話二千文字から三千文字くらいを予定しています。


SFもので物理法則は無視しています。言葉の選択も映画やドラマで聞く表現を常識の範囲で並べています。勉強不足で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、楽しんでいただければ幸いです。

ホバー車両隊が迅速に迅速に移動しているのはわかっている。


先頭のブロアー車はもう定位置に差し掛かっているのだろう、まだその時刻ではなかったが、何もかもがとどこおりなく進んでいると思われた。


今、特殊工作車マーズ・フェニックス・ランド・ブロアーの内部に本物のパイロットが着いた。同時にもう一人の乗員も男の足元を駆け抜ける。


システムは完全に動いていて。立ち並ぶマルチモニターの前に、ミニbotユニットは船内を観察するようにサーチと記録を繰り返す。


「いい子だ」サミュエルは装置の上に球体を乗せて、スイッチを入れる。


コンソール画面にユニットをつなぐ。


セキュリティ情報の改変を許可。


ミニbotはシステムの解析を開始し始めると、アップデートに必要なプログラムの構築を自動で行い、ソフトウェアを上書きしていく。


ミニbotの個体名称はショー。それはシステムを管理下に置くと通常通り装備の確認や準備を始めた。各種センサーの作動をチェック。フラップ、エルロン、エレベーターにラダー、飛ぶために必要な動翼を動かす。


驚くようなものはほとんどない。


botユニット球体の中は極低温装置となっていて、外縁天体の技術はマイナス273度を実現した。


ヘリウムも凍る世界の物質をマイナス269度にするだけで液体となり、0度になると七百倍のエネルギーを発生させる。ガスを回収して再び凍らせることを外部の動力なしで自己完結するそのボールは超電導と簡易型のAIの塊だった。


超電導は超伝導状態となる。AIユニットは完全反磁性になって、それは素粒子の侵襲を防ぐ。


目の前のショーの動きを感じて、サミュエルは装置を作動させた。ヘルメットをかぶると視線追跡装置が照準とリンクをスタートさせる。


エンジンが点火し、船底で大型の双発回転翼がうなりをあげ始めた。


コンソールモニターにアーミーブルー・ユニフォームに身を包んだニコラ・ゴードンの映像が浮かぶ。


「緊急を要する、サミュエル。すぐにハッチを開けるから、しっかりやれよ」弟に対して彼女はライオンのように吠えた。


「せいぜい、生きて帰ってこいよ」心の中でつぶやく。


「期待に応えられるよう、全力を尽くすよ。」彼にとって目の前にいる人物をがっかりさせたくないと思った。問題ない、小さい頃は姉のヤンチャに付き合わされたものだ。


ニコラの美しい見かけの裏に、生まれながらの喧嘩好き。剣術だとか、格闘技だとか弟いじめに時間をかけていたのが懐かしい。もう少し可憐な少女のようにしていれば、今ごろはどこかの権力者に愛を求められて、ファーストレディにでもなっていてもおかしくない。


たしなみをわきまえるつもりはないと好き勝手しているお嬢様は軍属がお似合いだった。


おかげでこちらは危機回避能力がよくなるのは当たり前でしょうに。あれだけバカで、あれだけ争いに締まりがなっくちゃ、体力の無駄と自分に言い聞かせる。


「十分、やっていると思うがね」と、若干の抵抗を心の中で示して見せた。


ニコラにとって、あれで弟は財産が入ってくると、そんな財産、一年でさっぱり使い果たしてしまう、どうしようもない奴だった。


生まれながらに才能に恵まれているくせに、親父と一緒に飲んだくれている。いや、飲んでいるのは親父だけだが、自由気ままに生きていて、実業家でもあり、詐欺師でもあり、冒険家で、今では宇宙一の科学者といったところか。


彼女からパイロットの表情を見ることができないが、かすかに微笑んでているようだった。これから天体現象の嵐の中に放り出してやるのに、彼は楽しんでいるようで満足そうで胸の熱い思いをたぎらせている。


サミュエル・ゴードンは特別機のコックピットに乗り込み、小さな球体のツレがその脇を占める。


「ショー、船の装備を教えてくれ」


「イエス、マスター。超大型ブロアーを二基搭載してます。左スイッチで送風、ハイパースノー、電磁パルスを切り替え、右はトリガーです。照準は自動追尾型、手動でも可能、実弾装備はありません。構成としてはレーダー装置、アンテナ、情報処理装置、電源、スペクトル制御装置」


戦闘機に比べれば、はるかに機器が少ない。「かなり簡単だな」


「離陸できるな?」サミュエルはつぶやくとショーは「イエス、マスター。いつでもどうぞ」設定された中性の声で賛同した。


「さあ、姉さん、いつでも構わないよ。思いっきりやってくれ」ショーはエンジン・スタートの手順をすばやくすばやく行う。


必要な燃料タンクからブースタポンプとエンジンポンプに供給されると臨界反応を始めた。


中央管制室で技術クルーの背後に立ったニコラ・ゴードンは待っていたとばかりに冷静な声を発すると、格納庫全体を映し出す大きなスクリーンに顔を向ける。


格納庫の制御室が重力による制約を解除した。サミュエルが当たり前のように思っていた環境から解放され、身体は浮遊し始める。


自分を座席に固定するようにベルトで縛りつけるが、自分の五臓六腑までもが宙に浮こうとしているのが感じられた。


「ドッキングベイより発進を許可。減圧を開始」コンピューター制御により格納庫は圧力差の調整し始め、空気を抜いていく。同時に電源、データ、液体供給ラインのオフライン作業が始まる。


「サミュエル、座標を固定しろ。」格納庫で係留ケーブルが安全に外れたのを見ると、飛行しようとしている船のパイロットに向かって、前方に展開する無人ブロアー車の編隊との合流を指示する。


ブロアー車の配置は円筒形になるようにターゲットに接近する。火星にも大気があって送風機を底面から上方に向けて風を送ると旋風ツムジカゼ程度の気流くらいは発生が可能だった。


作戦は霧を払う、真っ黒な闇は酷く冷たく、平穏な空間。そこに光や電子が吸い込まれると、渦を巻くように位置が移動していく。粒子は円盤状に回り始めると次第に周囲を引きつけ合い、やがて衝突を始める。ぐるぐると吸い込まれるように中心の圧力が増していった。


(第三十四話 おわり)

botとはウィルスという意味もあります。ウィルスは人や動物の細胞に入り込み機能を流用して増えていきます。AI+botではウィルスを自動で生成し、機械やプログラムに入り込み、機能を流用していきます。


サミュエルとリンの話を続けていきます。ニコラが登場し、作者も焦っていますが、次話も楽しんでいただければ幸いです。


作者は心があまり強くないので、あたたかく見守っていただければ幸いです。

もし、良かったなど感想をいただければ作者が喜びます。返信等はしておりませんのでご容赦ください。

もしよろしければ、本文の下にあります評価の★を一つでもつけていただければ励みになります。


頑張って、次話が読みたいと思っていただいた方は応援よろしくお願いします。

↓↓↓の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を一つ★でもいたたけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ