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第二十二話 アステロイド・ワン⑩ 原子力(RI)パケット通信

興味を持っていただきありがとうございます。稚拙な文章表現ですがご容赦ください。

空想表現あり


この作品は不定期投稿です。一話二千文字から三千文字くらいを予定しています。


SFもので物理法則は無視しています。言葉の選択も映画やドラマで聞く表現を常識の範囲で並べています。勉強不足で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、楽しんでいただければ幸いです。

グリークマンとブレンダが司令室の管制コンピューターのコンソールにたどり着いたのは、宇宙ステーションが激しく揺れ始め、どんどん状況が悪くなってくる頃から数えると四時間ほど経過していた。


電圧を失った直後に起きた衝撃だか爆発のせいで、太いメインコンピューターにつながる回路は焼け焦げて、至る所から電気が漏れてショートを起こし、飛び出す火花が壁をさらに黒く染めていく。


トラブルの原因が何かわからない状況で警報がけたたましくなっていた。


サブコンピューターの回線に管制を接続するにはコンソールのスイッチによって手動で行うしかない。


不安に駆られたブレンダが近くにあったコンソールの起動スイッチをオン・オフに続けて繰り返してみるが、モニターに変化はなかった。


計器を見ると最初ボールのようなものが不規則に回転していた三次元コンパスのアナログの目盛は、ようやく回転が止まり、徐々に偏りを戻す。


今だに動揺は抑えられずにいたが、サブコンピューターの起動によって生き残った姿勢制御ロケットを使って、ゆっくりではあるが姿勢を直しつつあった。


この船には二基のコンピューターのラインを別のバスにつなぐ仕掛けがあって、最悪な状況で発揮する構造が施されていることを知っているのはグリークマンの他に初期の技術者たちぐらいだろうか。


「ここで一巻の終わりとは考えていないよ」グリークマンは床に膝をついて、床下のケーブリング作業フロアから下に潜る入り口を確認すると、慣れた手つきでロックを解除した。


誘導灯が侵入経路を指し示す。入り口を開けて、ハシゴをつたって作業フロアに入ると彼の姿が見えなくなった。


作業はオーバーヒートしたケーブルソケットコネクタの交換が必要になる。「ブレンダ。道具箱を取ってくれ」グリークマンはひょっこりと床から顔を出すと彼女の背後を指した。ブレンダがランプが点滅したロッカーを開けると複数の手先具がついた支援ロボットを取り出す。


昔は小型の冷蔵庫ぐらいの柔らかい素材でできた大きなバッグの中に二十数個の工具がでたらめに積み込まれて、中身を宇宙飛行士がかき回して探していたものだが、今ではロボットにアームのカセットがついた荷台とビジョンコンソールに高度な人工知能が搭載されたツールボックスは、自動で画像分析して、運搬や整備、修理ができた。


AI端末を支援ロボットに接続すると3D内視鏡カメラとリンクして高解像度で鮮明に視野を映し出す。


五本のロボットアームがあり、先端に人間の手首に相当する手は文字や絵を描くことも可能で手術にも対応する。掌には吸着により空気を吸い込む機構は鋼材も運ぶこともできる代物だ。


指先が二本と四本の把持ハンドは磁力マグネットグリッパーやクーロン力(静電気力)を帯びて、電子機器にも対応する。五本目は大型の電動ドリルインパクトドライバーや溶接機のアームのカセットを脱着し、入れ替えることができるようになっている。


グリークマンは横目でチラリと後方を見ると、道具箱の荷台部分を持ったブレンダが作業口付近でじっとこちらを見ていた。


「どんな状況?どうしたらいい?」ブレンダが荷台部分を作業フロアに設置すると、グリークマンが大声で「この辺りがかなりひどい。」とアステロイド・ワンの制御盤のサーバーを指した。


「生き延びたいなら手伝ってくれるかい」グリークマンの声が下から響いてきた。


宇宙ステーションの制御盤が使えなければ、せっかくエンジンを動かしても微小隕石や微惑星を避けることもできない。太陽の天体現象によって発生したと思われる超高速で飛来した物体との衝突。


実験棟は破壊され、アステロイド・ワンを巻き込みながら脱落した。そのような破片は一定の速度が加わって、地上で発射された砲弾の十倍の速度になる。


もし、宇宙ステーションより大きな物体が当たれば、アステロイド・ワンの船体ごと吹き飛ぶだろう。今は裸同然で、すぐにセンサーやビジョンモニターを回復させなければ、どんな高等なAIでも軌道修正システムを働かせることはできないのだ。


重力発生装置を切断しているおかげで、道具箱の重さを感じずに済んでいる。逆にブレンダは装置が上に浮かないよう気をつけながら、グリークマンの近くまで寄せていく。


船が激しく揺れているのは、状況が良くなっていると思いたいが、時おり、何かにぶつかったような衝撃は軌道上の物体と接触したと思われた。


「ねえ、ここからスキャンをかけていくわ。緊急事態に対する訓練は受けている。ロボットアームは任せてちょうだい、私もまだ生きていきたいから」ブレンダはグリークマンのやろうとしていることを奪うことになったが、これならできると確信があった。


「君ができるというなら、その方が安心だ。この与圧服は司令船の関係者用の技術承認が受けられているはず。そのビジョンコンソールとAI端末をつなげれば、いやでも教えてくれるさ」グリークマンは彼女の後ろに引っ込んで、ブレンダと道具箱を残して作業口まで下がると親指を立てた。


あとはブレンダが引き継ぐ。何を探したらいいか、基本的な修理方法は心得ている。支援ロボットはAIによって故障部分を洗い出すと必要な修復材料を見つけ出していく。


道具箱と呼ばれた支援ロボットは世界中の電気技術者を集めたようにかなり正確に解析作業を行う。電源ユニットの十六本の裸のケーブル/コネクタのソケットを抜いて、サーバーのマザーボードとCPUを確認するも過剰な電圧を受けたように、焼けて使い物にならなかった。


困難な状況ではあるが回路パスの切替ミッションは順調だった。ツールボックスのカートの中にジャンク品を見つけ出しては、パーツを交換していく。避け難い事態だったせいで、メインコンピューターのプログラムは磁気記憶装置ごと壊れてしまったのだろう。・・・なんでもいいから、どこかにシステムが残っているかAIを働かせていくと、サブコンピューターの内部に電気絶縁されて残こっていた。


今はとにかく動けばなんでもいい。


「お願いだから動いてよ・・・こんなところで死にたくないのに。助けて・・・お願い。」


それは過去の封印を解くように動き出す。マザーボードとCPUの間にメモリとビデオカードがあり、中にあるGPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)はファンが見える構造になっていて、止まっていたシロッコファンが動き出す。カタカタと動き始めると最後にマザーボードのBIOSが立ち上がった。


制御盤のOSオペレーションシステムはまだメインコンピューターを自動的に読もうとするが、それより先にDELETEキーを押して、メニューの中にあるサブコンピューターを選択する。


OSのインストーラーを自動的に起動するとパーツの性能を引き出すドライバがインストールされた。


先ほどまで空虚で何の光も出せなかったモニターがまず一枚、続いてもう一枚とその存在を表現する。電源ケーブル、コンピューター、制御盤、カメラ、通信機器といった電子機器が崩壊寸前だった世界を蘇らせていく。


ブレンダは前屈みになっている。豊満な胸元にできた深い谷間は汗で濡れていた。こんな状況だからこそお風呂に入ってさっぱりしたいと思う。中に着ているタンクトップはボディにフィットしているタイプで、ガッツリと開いている首元から大きな胸は与圧服にしめつけられて、今にも張り裂けそうだ。


スクールバス程の細長い作業フロア、アステロイド・ワンの制御室の機能が詰まった場所の先端にある天井部分が四角く開いている。制御室のコンピューターの起動に夢中になって、ブレンダは必死で頭を働かせた。何をしたらいい?救難信号を出す?今まで見つけられなかった仲間を探す?それともグリークマンを追いかけた方ががいいのかしら。


くたばるにしても、もう少し生きながらえることはできそうだ。具体的にはどうしたらいいのだろう。どうやって生きようかとそう考えてるうちに、通信機器の設定が終わる。


それと同時に緊急の小さな信号音がなった。


アステロイド・ワンの姿勢保持ロケットは原子力ラジオアイソトープ電池が利用されていて、超高熱の影響を受けにくい素材からアンテナの機能も有していた。


「こちら火星基地、応答願います!」しっかりと女性の声がスピーカーから聞こえてきた。


(第二十二話おわり)

原子力電池は主に惑星探査機によく使われているようです。通信はあくまでイメージです。

ようやく火星のリンの呼びかけが通じたようです。次話も楽しんでいただければ幸いです。


作者は心があまり強くないので、あたたかく見守っていただければ幸いです。

もし、良かったなど感想をいただければ作者が喜びます。返信等はしておりませんのでご容赦ください。

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