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第ニ話 お勉強しましょう(背景①地球のお話)

本作品に興味を持っていただきありがとうございます。稚拙な文章表現ですがご容赦ください。今回は説明回となっています。これはファンタジー小説です。物語として楽しんでいただければ幸いです。


この作品は不定期投稿です。一話二千文字から三千文字くらいを予定しています。



SFもので物理法則は無視しています。言葉の選択も映画やドラマで聞く表現を常識の範囲で並べています。勉強不足で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、楽しんでいただければ幸いです。



「さあ、お勉強をしましょう」と教室で女性の先生が手を叩いた


手の叩く音が教室に響くと、生徒たちがそれぞれの席に着いたが、勉強嫌いな子供たちは手足を広げて不満を漏らす。


クラスでいかにも委員長といった感じの女子が、恐ろしく真面目にいかにもなセリフを言っては周囲に溝を作っている。


そんな雰囲気も気にせず、先生は荷台の段ボール箱を開ける。箱の中には球体のような物体がいくつか入っているようで、大きさの違う球体の模型を三つ取り出してみせた。


台座に球体を固定し、授業を始める。


太陽を中心に置いて、地球と月。地球の色は青ではなく、褐色の赤黒く塗られ、その上を都市のような建造物が見える月があった。


これは地上に生物が住めなくなってからの物語。


地球の人類文明の滅亡は海面温度の上昇から始まったらしい。


十八世紀の産業革命以来、熱エネルギーによる文明開花は、人間に新たな可能性を産み出したが、その代わりに地球の二酸化炭素濃度の上昇が始まった。


二酸化炭素濃度の上昇は地球の温暖化が進んでいく原因となった。


温暖化の影響は水中に及び、海面温度の上昇は巨大に発達した台風やハリケーンを作り、地上では小雨で大河が干上がるなど気候変動の凶暴化を生む。


二十世紀では一度平均気温が上昇するのに一百年かかったが、世界の氷が溶けてからは早かった。


温暖化対策とやらで、学者や活動家がしきりに警告を出しても、人類は与えられた環境を捨てようとしなかった。


年老いた長老たちが自分達の権利を図々しく主張し、敵を作っては若者たちを争わせる。


犠牲になるのは、いつでも力のない子供や民間人達。


貧困もまた、生きるために戦争をする。街が焼かれ、山や森が死んでいく。


それでも一千年くらい地球も頑張っていた思うのだけれど。


結果的には西暦三千X年、その人類は滅亡した。いや正確に言えば、地球上の生物が消えたといっておこう。


人は貧弱な生き物だ。誰の世話もかけずに、世界の片隅で一人生きていくなんて世迷言に近い。誰だっていい環境があれば、生きていくのに都合の良い環境を選ぶに決まっている。


人は考える生き物だ。だから好奇心旺盛で欲しがりだ。年を取ると、我慢ができなくなって、配慮ができなくなる。人は長く生き過ぎたのかもしれない。


地球は歴史を繰り返す。人がまたバクテリアや微生物になることを願ったのかもしれない。


     **


人間の先祖といえば猿というのが一般的である。


四百万年前に猿から人に進化したことを学校で教えているくらい有名だ。


最終氷河期を乗り越えた人類の歴史は二万五千年前から始まって、大河を中心に文明が発生すると地上を人間が支配するまでになった。


地球は終始無言のままだった。人間は風が吹こうが雨が降ろうがたとえ傷ついても止まることをやめなかった。原因は推測でしかないけれど、人類は地球から多くの資源を得たかわりに地球の表面である地殻は薄くなって。穴を開ければ、スポンジみたいにソフトになって、地球の温暖化が続くと、凍っていたメタンハイドレードが融解し、地表に噴出した。地球が終末のドアを開けたのだ。


メタンが溶け出したことで、空気中のメタン濃度が上がっていき、メタンガスは無色透明で無臭、空気より比重が重く、そこにいるものに対して酸素欠乏状態を引き起こした。


ガスは常温で空気中の化合物と反応すると発熱した。その爆発は至る所で起きる。巨大な隕石が墜ちたような衝撃波で地球の表面が吹き飛び、火山の噴火も始まって、地中で滞留していたマグマがその表面を覆った。四十六億年前の光景が地上には再現されたような。


地球はこれ以上、人間に意のままにされることに恐怖を感じたのかもしれない。宇宙に怪物を産み落としたのかもしれないと自らを罰したのかもしれない。宇宙に出てしまった人類を止める術はもうないと知った時、自分にできた傷口にあふれたバイ菌のような膿んだ何かを意図的に取り除くように、新しい生物の再生を望んだのだ。


人類は滅び行く中で何もしなかったわけではない。運良く爆発を逃れて、生き残った彼らは地球を離れるしか選択肢がなかった。


すでに人類の生活圏は宇宙に達していたものの、凶暴化した異常気象と最初のガスの噴出、最初の爆発による衝撃波で地球生物の九割が死滅、残された人類も燃え盛る地上から脱出できたのは一億人超であった。


一番近い月面都市、もともと月の内側をくり抜いた構造の住居はそれだけの人数を支える容量がなかった。その他の小惑星帯も三百万人程度が生活できるコロニー群があったが、難民となった彼ら全員を受け入れることは困難だった。


宇宙圏にはすでに二億人を越える人間が移住していた時代、八千万人以上の人間が行き場を無くし、いくつもの難民船で地球圏を離れていった。人の住む環境には程遠いが火星をに希望を抱く者や中には新しい恒星系を目指して旅立つ者もいた。


人類は強制的に宇宙世紀に突入していく。


     **


人類が宇宙に出て、七世紀半が過ぎようとしていたころ、金星の観測基地で一人の研究者が絶望的なデータを観測した。


太陽で異常なほど大きなコロナホールが発生したと研究チームが発表、コロナホールの向きが地球を正面に捉え、強力なスーパー太陽風が地球付近を直撃すると予測したのだ。


磁気嵐は二、三日で地球圏に到達する。規模や被害予測に研究者たちはメディアに命の危険を訴え、命を守る行動を一斉に伝えた。


地球圏では宇宙に浮かぶコロニー群にも寿命があって、かつては六十年おきに外装の交換を繰り返して延命をしてきた。そして人類にも終わりが来る。地球から資源を得ることができなくなってからというもの、宇宙に残った資源惑星を探しては掘り尽くしてゆく。電源は月面で採取されるヘリウムを用いた原子力発電と太陽光パネルによるソーラー発電に頼っていた。


通常の一千倍に達した磁気嵐は防衛設備を無視して送電線を遮断し、コンピューターのプログラムを破壊する。地球は人類を見殺しにした。それは電源の喪失から始まって、機械に文明を託した人類は制御不能になる、原子核爆発による光とともに月の明かりが消えた瞬間だった。


地球が業火に包まれてから、人類が地球の惑星圏に存在したのは七百五十年ほどだった。


周辺位あったコロニー達も電気のない時代まで時間を戻された人類は無力だった。生きようとした。だが酸素を必要とする人間にとっては息もできなくなり、いつの間にか凍えてほとんど感覚がないまま命を失った。全ての機能が停止した機械文明は再び滅亡した。


歴史はまた繰り返されていく。


     **


それからどれくらい時間が経ったのだろう。


廃墟となった月面都市は静かだった。誰もいないはずの階層で、ぼんやりとした、今にも消えそうな作業灯がただ一つ漏れている。内部電源を主にした五百体の装置が奇跡的に生きて、外部の接触を待って休眠する。


(第2話おわり)

第一話の次回予告で九兆五千億キロからの訪問者と書きましたが、申し訳ありません。全く触れることなく終ってしまいました。次回はまだ人類が活躍する話です。ミステリー展開となりそうです。がんばって次話も書いていきますので、あたたかく見守っていただければ幸いです。


もし、よかったら感想などいただければ作者が喜びます。返信等はしておりませんのでご容赦ください。


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