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第十二話 サミュエルとリン

R15・ヌード表現あり・性的表現あり。


稚拙な文章表現ですがご容赦ください。男性向けの表現が多数存在します。今回は男のロマンと思っていただければ幸いです。苦手な方はここで閉じてください。


この作品は不定期投稿です。一話二千文字から三千文字くらいを予定しています。


SFもので物理法則は無視しています。言葉の選択も映画やドラマで聞く表現を常識の範囲で並べています。勉強不足で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、楽しんでいただければ幸いです。


「昨日はぐっすり眠れたかい?」


サミュエルがかすれた声で呼びかけた。


「眠れると思う?」リンの険しい黒い目が状況を物語っている。


トレーラーハウスにリンを招き入れると、筋肉質の腕が彼女の腰に触れる。


浅黒いハンサムな顔が近づいて、その視線が彼女の唇を捉えると鼻が接触しないようにアゴを上げて、自然に閉じた状態の唇同士を表面だけ重ねた。


リンも唇周辺に意識を込めて接触部分を強く確かめるように感触を求め、徐々に力が抜けて柔らかくソフトになると接触面積が広がり優しくマイルドなキスとなる。


サミュエルが彼女のコートを脱がせようとゴツゴツした手が促すように上着の上から胸を触れたが、彼女の小さな手がそれを止めた。


「今はダメよ。」吐息混じりの声で彼の感触を引き離す。


太陽の黒点が発生して四日、時速五百万キロメートルのスピードで噴き上がった旋風は昨晩に二億三千万キロメートル離れた火星に到達した。宇宙にある磁気の三千から四千倍の磁気プラズマが通り過ぎる。


大気の揺らぎが収まるには後二、三日はかかる。


ただ、天体観測基地が算出したデータが小惑星帯と木星の位置を記すとリンの胃が締め付けられたようにキュッとなった。


ヘルメットを脱いだ後の乱れた髪を手で抑えながら建物の中に入る。


リンがもっと若かったころと言っても、三十歳の今でも同年代の男たちの頭の中は、入口を開けた時点で理性よりも欲望を求める。


雰囲気が台無しになって、うつむく彼を横目に、トレーラーハウスの一番奥まで足を踏み込む。


遮音効果のある厚いカーペットを敷いた聖域の壁一面に広がる大型ディスプレイの管制モニターには彼の宇宙船を中心に内外から送信される情報を表示している。


まさに今起きていることがここに集まっていた。民間の衛星は磁気嵐よって狂ったように誤作動を始め、軌道を大きく外れてしまい、回収をするために人員を費やしている状況だった。


再び、ディスプレイを確認すると、軍用の衛星は機能を失いながらも軌道を保っているのがわかる。


二日前から交信が途切れた宇宙ステーションも火災を起こしたモジュールを切り離しながら生きていることがわかった。


夜の記憶でところどころ曖昧だが、サミュエルは軍需産業の中でも大企業の実権を握る社長の三男坊で末っ子と言うことだけは覚えている。


彼は世襲の後継者にはなりたくないと家を出て、自分の価値を見つけるべく軍の士官学校卒業後は入隊せずにパイロット稼業で暮らしている不思議な男だった。


冒険家として宇宙の果てに行きたいとの決意を胸に、暗黒の宇宙空間から星間物質を回収する計画を立ち上げて、その努力は幸運となる。


苦労の末に、研究中の支援型ミニbotの実験機のテストを兼ねて、資金と自由を獲得した。


そして火星の大地に駐機場で新たなミッションに向かう。


リン管制官は、トレーラーハウスのモニターから軍用の観測衛星の望遠カメラから送られてくる映像と緊急のレーザー通信の音声を拾う。


天文観測基地では情報を得ても見ることと聞くこと以外にできることはたいしてしていない。観測基地の仕事は天体の動きを観察し、状況が悪化したら警報やら注意報を出して、宇宙の連邦機関に報告をするだけだった。


あらゆることが現場の人間の決断任せになっていて、連邦機関も即対応態勢で待機しているが、あらゆることが混乱していて動けそうにもない。


だからリンはサミュエルを頼った。付き合って一ヶ月の恋人。


最初は彼が自分のどこに惹かれたのかわからなかった。自分の感情を止めることができなくて、深呼吸をする。


ハンサムで男らしい。背が高くて、浅黒くてセクシーな彼が、小柄で幼児体型の冴えない管制官の彼女を呼び止めた。


観測基地の休憩室で偶然に彼の隣になって、宇宙や天体や太陽系の外の話をするうち、サミュエルは彼女の知識や優しさ、熱心なところに感心して話が盛り上がる。そして途方もない彼女の可愛さに惚れた。


サミュエルはリンを知り合いたい、仲良くなりたいと思って。


国籍も年齢も関係ない、彼女に興味を持ち、知るための努力をする。だから勤務が終わったら改めて会わないかと誘った。


リンのあたたかさや無垢な知性に、サミュエルは尊敬して、その純粋な欲望を抑えることは無意味だった。


リンの黒髪がシルクのように曲線を描いて肩にかかる。彼女の肌はとても白くて美しいかった。


ドラマチックな出会いにリンはとても信じられない。周りの椅子に座る男連中を野暮ったく感じていた。


彼は自己肯定欲求を刺激してきたし、たいしたことでもないと思ったことを目を輝かせて聞いてくれる。


「君は信じられないくらい素敵だ」と言われて、嘘でも嬉しいと感じてしまう。


「信じられない?」自信を与えてくれる言葉を無視することはできなかった。


ふだん、管制官として指示を出す立場だった。これまで人からの批判を受けることが多かったし、指導すれば嫌われる。


自分を否定されて、自尊心も傷つくことも多かった。若さにおいて十九や二十歳と比較されたら年配で、いくら自分が願っても満たされず、自己嫌悪になってしまう。


なぜ彼なんだろう。彼を誘惑するつもりはなかったのに、リンは別人になった気がした。一生懸命に生きた中で、夢中で天体を追っていたから、気づかなかったのだろう。


節目の年になってからの恋だった。こんなに積極的になるほど、彼女は熱く、身を焦がす。学生時代の初々しい恋愛しか知らない彼女にとって、妄想が現実に起きた出来事だった。


リンは甘美な夜の営みを終えて、満ち足りた気分になる。


筋肉質の腕に抱かれ、彼の胸に顔を埋めると、吐息が肌を刺激した。


私はサミュエルをもっと欲した。視線を上げると浅黒いハンサムな彼の黒い瞳が重なる。


二人の唇がむさぼるように舌先と舌先が絡み合う。上下、左右、回転して動いて、露出された舌が重なるたび顔と顔の距離が縮まる。


ドキドキして、二人は再び興奮状態が激しくなる。そのまま彼女と一緒にバスルームに入るとサミュエルはタイルの壁にリンを押し付けて、お互いの唇と唇が隙間なくピッタリと重なる。


密閉された小さな空間の中で、思う存分お互いの気持ちを確認して、お互いの吐息が離れると、彼は後半戦とばかりに頬やアゴの下にねっとりと口づけをした。


リンは目を閉じて、彼の攻撃に身を委ねた。首筋に舌が這い下りて、鼻先が柔らかい脇腹を通って胸をとらえる。歯を立ててそっと噛む。感じやすくなったつつしまやかなぷっくりとした膨らみの頂を口唇が捕らえ、もう一つの頂も繊細に指が喰い込み、優しい刺激と快感が全身に広がる。


舌が下腹部に這い下り、彼女のウェストラインの曲線を羽根のような感触でなぞると、敏感になった全身が震えた。


徐々に脚の間を自ら開いていく。小ぶりだが柔らかなお尻が壁にこすられ、大腿の内側からたどって濡れた中心まで舌が来ると正気を失いそうになってうめく。


彼の手が秘密の場所を探りあてると、しっとりとした温かい狭い部分に指を滑り込ませた。


リンは我慢できなくなって唇が薄く開いてゆく。攻撃側が攻めやすいよう、興味深い場所を露出させた。


二人とも体にまとうものは何もなく、彼の興味をそそる場所がこれ以上ないほど硬くなってゆくのが分かる。リンが手を触れるとさらに脈打たせ、高まらせたように感じた。


顔同士が接近すると舌を硬くピンと伸ばし、なるべく長く出す。舌同士が触れ合う距離になって、出した舌に力を込めて、ぶつけ合うように擦り合う。


首を振って、ダイナミックに彼を求めたリンは、ワイルドな気分そのままに浴槽に彼を押した。そして彼の高まったその上にまたがって腰を先方に真っ直ぐ差し出す。


欲望に忠実な彼女は彼の手をつかみ、リンが上になって、自分の熱く潤った興味深い部分を押し当てると、下から上に突き上がった彼の欲望が彼女の最も深い部分を刺激した。


リンは腰を振ると瞬く間に登りつつめてゆく。絶頂に近づくにつれ、激しい呼吸が響いた。


そのクライマックスがあまりに強烈で、彼の腕の中にリンは崩れ落ちる。


その夜は彼の腕の中で寝る。


     * *


「こちら火星基地、応答願います!」


レーザー通信を小惑星帯の中にある半壊した宇宙ステーションに向けて、リンは発信を繰り返す。


(第十二話おわり)

アレックスの話からサミュエルの話になりました。ハーレクイン・ディザイアに出てくる表現にしています。

今回はロマンス展開、サミュエルの話が続きますが、ご辛抱ください。


次話はアクションをメインで書くつもりですので、楽しんでいただければ幸いです。

作者は心があまり強くないので、あたたかく見守っていただければ幸いです。

もし、良かったなど感想をいただければ作者が喜びます。返信等はしておりませんのでご容赦ください。

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