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第十話 アレックスの物語②(両親の話 ふたりの出会い)

興味を持っていただきありがとうございます。稚拙な文章表現ですがご容赦ください。


この作品は不定期投稿です。一話二千文字から三千文字くらいを予定しています。


SFもので物理法則は無視しています。言葉の選択も映画やドラマで聞く表現を常識の範囲で並べています。勉強不足で申し訳ありませんが、お付き合いいただき、楽しんでいただければ幸いです。

サミュエルはパイロットの控え室でシャワー室の壁に背中を預けた。


ジェニファー・シリング中尉の向こうみずな賭けで約束を守ってもらおうとも思っていないだろう。


サミュエルの想いは揺れる。


彼女のキスのせいで感情がぐちゃぐちゃだ。


欲望を鎮めるため、しばらくこのまま動かずにいたが、名残は膨らむばかりだった。


シャワーを止めて、しばらく体を休めるため仮眠室のベッドに身を沈める。


意識が戻ったのは朝11時を過ぎていて、着替えを済ませるとブリーフィングルームに入る。


次の荷物は資源コンテナの輸送で正直誰でもいい仕事に思えた。


同時刻の到着便で帰ってきた男が、「途方に暮れた顔をしているぞ」とサミュエルに声をかける。


宇宙港の発着口でジェニファーとのやりとりを一部始終見ていた同僚だった。


「提案しようか」と男はサミュエルへ嬉しそな口調が降りかかる。


男はこの宇宙港で有名な世話焼きだった。


「ミスター、大丈夫です」


「大丈夫だって?」男は信じられないと言う思いできき返した。


「ああ。」サミュエルは男の顔を見ることをやめて、うなずいた。


「大丈夫なものか!君が良くても彼女はどうなるんだ?」と男が厳しい声で振り返らせる。


「彼女が何かあったんですか?」男が何か知っているのだろうかと不思議に感じ、サミュエルは口ごもった。


「興味があるのかい?」男はサミュエルの顔を見て笑った。


「大丈夫じゃないと言われればね、何があるんです?」奥歯に挟まったような言い方をする男にサミュエルは戸惑った。


「提案を受けるなら、教えてもいい」提案を受けなきゃ教えないとの男の口調に、サミュエルは覚悟を決めざるを得なかった。


男は軍隊向けの物資を優先して運ぶパイロットだ。このコロニーの向かい側にはバトルシップが停泊する桟橋がある。


「わかった。何を知っているか教えてほしい。」


「サミュエル・ゴードン。彼女は前から君を探していたようだから」と不意に男に言われ、サミュエルはジェニファー・シリングが自分と面識があることを思い出していた。


サミュエルは男の親切を煩わしく思ったが、ジェニファーが絡んできたことに理由があることがわかる。


「わざわざ教えることじゃないけど、彼女は今回の異動で二年半の任務に就く」男は勝手に話してサミュエルの肩を叩いた。


「彼のブリーフィングは俺が聞く」と彼は今日休みだと嘘を言って、管制係にIDを渡した。


「以前、木星付近の隕石と調査船の衝突事故で命を救われたそうだ」


サミュエルが今より十年ほど若く、パイロットとしては駆け出しの頃、火星と木星の間にある小惑星帯由来の隕石群が木星付近に飛来して、調査船を直撃した事故の生存者を救助した記憶が蘇ってくる。


当時、木星の衛星エウロパで調査任務にあたっていた軍属の候補生たちはエウロパへの降下任務と船外活動に分かれて行動していた。


エウロパには海があり潮の満ち引きがあって、塩が採れる。輸送は民間企業が担っていたが、警護任務にはコズミックと呼ばれる宇宙軍が行う。護衛艦には練習艦も含まれており、十八歳のジェニファー・シリングは初任務として参加していた。


練習艦のシールドに小さな隕石が直撃して、派手な光を放つ。その日は宇宙嵐がいつもより強く流れていて、けたたましく計器の電子音が鳴り響く。


いつもであれば一個、多くても二個の隕石が横切る程度だと聞いていたのに、目の前には数千個の隕石群を写したレーダー反応が計器を彩る。


通り過ぎる可能性を考えた運試しは失敗した。即座に防空ミサイルによるイージスシステムが目前の隕石群に照準をロックするが、宇宙巡洋艦クラス一隻と駆逐艦二隻、練習艦の合計四隻の単縦陣形。


巡洋艦には通常対宇宙ミサイルと対艦核ミサイルを合わせて九十発とファランクスによる宇宙用ガトリング砲、超大型核ミサイル八発を搭載するが、駆逐艦はそれより劣って、ミサイル三十二発。


練習艦に至ってはファランクスと全周囲型のシールド装置のみが実用で、後はダミーだった。


その場に立っていた者はギャンブルに関心はないが、一斉射撃によるミサイル防衛を信じて、いちかばちか祈るしかなかった。


目の前でミサイルの光が天体を彩った。超大型核で半数と通常攻撃とガトリングの三重攻撃により直撃コースの隕石群を退ける。


老提督は回避する選択肢はないと言い張り、練習艦を巻き込んだ作戦は一応の主張通りで終了した。


四隻の被害はほぼなかったことに安心したが、それは間違いだった。


船外活動していた練習生は計器に隕石群が見え始めた辺りでいち早く気づいて戻っていたが、衛星の上空を滑空降下中のポッドは宇宙に戻るだけの力はなかった。


エウロパの基地からはポッドが軌道から外れたことを確認するメッセージが流れる。


練習艦の艦長は地上用ポッドはエウロパのはるか上空を通過し、強烈な宇宙風を受けたところで木星の方角に曲がったとの報告を受けた。


「教官!」地上用ポッドの中で訓練生の一人が目の前の大人に呼びかけた。


激しく揺れる船内で向かい合わせで八人が祈るように座席に体を固定させて座っていて、お互いに大丈夫とわからせるためだったか、声をかけるが、揺れるたびに悲鳴や雄叫びに変わる。


操縦を担当するエウロパ公社職員は視線を落とし、最初のアプローチに問題はなかったことを確認していた。


数時間前に小惑星帯付近で突如発生した嵐は暴風となって、隕石を巻き込んで周囲に被害を与えた。


「これ以上の操縦できない。」と職員が何度も姿勢制御のアポジキックモーターの液体燃料ロケットを最大出力で噴射を続けたが機体は全く安定しなかった。


エウロパの上空で爆発の閃光が煌めいた。普通どんなことを想像するだろうか?ジェニファーの頭に浮かんだのは、大きくて丸いプラズマの大輪が八個、とても綺麗な光に思た。だがそれは最初に放った超大型の巡航核ミサイルが隕石群に接触した核融合の光だった。周囲に砕かれた隕石の破片、続けて飛来する隕石が二次防衛に放った通常核ミサイルが百五十個ほどの小さな閃光を立て続けに光ってはゆっくり消えていくのが見えた。


最後に見たのは防ぎきれなかった隕石が木星や宇宙の彼方に飛び散り、ポッドのすぐ横を掠めていく。


次の瞬間、職員一名と教官一名に研究生四名と訓練生四名の十人を乗せた降下用の上陸ポッドは大きな衝撃とともに全員の意識を刈り取った。


直撃!


隕石が船体の半分をえぐるように衝突する。それはビリヤードの的球と手球が弾け飛ぶようにポッドは力のベクトルが向くべき方向へ進む。衛星エウロパを目指すコースを離れて、それは宇宙を彷徨う死の棺桶となった。


アレックスの生まれる前のストーリー。序章として次話も楽しんでいただければ幸いです。


(参考)イージスシステムはアメリカ海軍の艦載防空システムでイージス武器システムの名称。本小説では未来予想して描きました。


作者は心があまり強くないので、あたたかく見守っていただければ幸いです。

もし、良かったなど感想をいただければ作者が喜びます。返信等はしておりませんのでご容赦ください。

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